「ダンス・ミュージック」の版間の差分

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ダンスミュージック自体の先端としては、下記のような経緯を辿っており、クラブカルチャーには直接的な源流を持たず、仮想と現実の境界を跨いだ表現が増加している傾向にある。
 
[[2010年]]にDaniel Lopatinにより自身の好きな音楽作品をチョップド&スクリュードで加工した後に継ぎ接ぎして作られたChuck Person's Eccojams Vol. 1という作品がWebサイトにアップロードされた。この作品のスタイルの音楽は参入障壁が低く、スタイルを真似る音楽家が多数現れたことで[[ヴェイパーウェイヴ]](最初期はEccojamsと呼ばれていた)という音楽ジャンルとして認知されるようになった。その後にヴェイパーウェイヴの知名度が高くなってくると、ヴェイパーウェイヴが風刺していた大量消費社会にヴェイパーウェイヴ自体が組み込まれ始め、[[2013年]]には一部のリスナーから「ヴェイパーウェイヴは死んだ」との意見が出るようになるが、制作者の活動は継続し、ヴェイパーウェイヴから多数のサブジャンルが派生した。そのサブジャンルの1つであるフューチャーファンクを介して、日本の1970年代末~1980年代初頭の[[シティ・ポップ]]が世界中で[[レア・グルーヴ]]として脚光を浴び、世界中の音楽マニアがシティ・ポップのレコードを買い占めるために来日するほどのムーブメントとなった。続いて2017ヴェイパーウェイヴとは異なる流れで、2012年に純粋なインターネット発の音楽としてクラブシーンでの成功を狙うWaveという音楽ジャンルが登場したと言われており、2017年頃から流行の兆しを見せている<ref name=":0" />(Waveの作曲者達は「URL to IRL」というスローガンを掲げている)が、未だにWaveに対する評価は定まっていない。WavemobというコレクティブがWaveの黎明期からシーンを牽引しており、ダンスミュージックの本場であるイギリスではDubstep以来の発明と目されているようではある。
 
====== ヴェイパーウェイヴ(2010年~) ======
ヴェイパーウェイヴは、音楽史上初となる純粋なインターネット発の音楽ジャンルであり、古今東西問わずネットで収集した素材をコラージュする[[ミュジーク・コンクレート|ミュージックコンクレート]]を基盤として、ダンスミュージックの形式を部分的に借りた、単一のPCのみで制作されることが多い音楽である。この[[ヴェイパーウェイヴ]]には、ダンスミュージックの現場とは全く関わりがない者たちが、自宅の個室における音楽体験のみで制作を開始し、制作者自身は匿名性を好み表舞台への露出を嫌うという、[[インターネット]]時代特有の背景があり、他の全ての音楽ジャンルと出自を全く異にしている。ヴェイパーウェイヴは大量消費社会や音楽の作品性自体を風刺することが主目的で制作され、スーパーのBGMやTVCMや1980年代のマイナーな音楽と言った、現在では商品価値の低い(一般人からすればガラクタ同然の)音源を素材として幻想的に加工した上でコラージュする<ref>{{Cite web|title=Vaporwave特集――ネット世代が生んだアングラムーブメント|url=https://tabi-labo.com/288916/vw-vaporwave|website=TABI LABO|accessdate=2019-04-09|last=小川真吾}}</ref>。また、インターネット発の音楽であるにも関わらず、アナログ全盛の時代に大量消費されて忘れ去られたメディアと化したカセットテープで作品をリリースするなど、時代の流行に対する風刺も込めた奇妙なアナログ感覚も持ち併せている。ヴェイパーウェイヴでコラージュする素材として1980年代~1990年代の日本の大衆文化が盛んに引用されたことで、2010年代中盤からは1970年代末~1980年代初頭の日本で制作された[[シティ・ポップ]](竹内まりや,山下達郎,角松敏生,大貫妙子などの作品群)が世界各国のDJの耳に届き、世界中で注目されるようになった。結果として、ヴェイパーウェイヴ以外のジャンルのDJにもシティ・ポップが[[レア・グルーヴ]]として重宝されるようになり、海外の音楽マニアが来日してシティ・ポップ関連のレコードを買い集めるようになり、海外の文化に憧れた日本国内のミュージシャンによりガラパゴス的に制作され、世界では全く通用しないと日本国内では思われていたシティ・ポップが、逆に世界の最先端の音楽文化に大きな影響を与えるようになった。その過程で、[[ヴェイパーウェイヴ]]は膨大なサブジャンルに派生して行った。
 
====== Wave(2017Wave(2012年~) ======
[[20172012年]]にはヴェイパーウェイヴからの更とは異なる大きな発展として流れで、Dubstepの以来の発明と目されるベースミュージックであるWaveというジャンルが出現したとされているが、[[2017年]]頃まで長らく認知されていなかった<ref name=":0">{{Cite web|title=Dubstep以来の発明?今、UKで躍進する新ジャンル「Wave」とは? {{!}} block.fm|url=https://block.fm/news/wave_new_genre|website=block.fm|accessdate=2019-04-09}}</ref>。Waveの代表的な制作者達は、純粋なインターネット発の音楽ジャンルが現実のクラブで通用していない現状を認識しており、インターネットから現実世界への波及を意味する「URL to IRL」をスローガンに掲げて活動している。イギリスで活動するDTMの作曲家が意図的にWaveという名称を付けて広めようとしているため、未だにWaveが真の意味でダンスミュージックの新しいジャンルであるか定かではないが、WavemobというコレクティブがWaveの黎明期からシーンを牽引し続けており、日本では2018年に[[ディーン・フジオカ]]がWaveを世界基準の音楽と主張しており、J-POP化して商業展開を行っている<ref>{{Cite web|title=ディーン・フジオカが最新曲「Echo」で注目の音楽ジャンル「Wave」をJ-POP化。でも「Wave」ってどんな音楽なの? {{!}} block.fm|url=https://block.fm/news/deanfujioka_wave_newsong_echo|website=block.fm|accessdate=2019-04-09}}</ref>。
 
== ギャラリー ==