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|英名 = [[:en:Oilfish|Oilfish]]
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'''バラムツ'''(薔薇鯥、[[学名]]:''Ruvettus pretiosus'')は、[[スズキ目]][[サバ亜目]][[クロタチカマス科]]のバラムツ属 ''Ruvettus''に属する[[魚]]。
 
== 特徴 ==
数百[[メートル]]の深度に生息する[[深海魚]]であるが、夜間には浅場に浮上することが多いため、[[刺し網]][[延縄]]などにかかることが多い。
 
大型であり、成魚は全長2メートル以上になることもある。顔立ちはいかつく、[[ムツ]]のように目と歯が大きいが、スズキ目の深海魚という共通点以外にはムツとは近縁ではない。口には鋭くて細かい歯が多く並んでいる。[[和名]]の由来は、体を覆う[[バラ]](薔薇)の棘のような棘状の硬い鱗から採られており、素手で触れると裂傷を負ってしまうほどである。
 
深海魚にしばしば見られる形質であるが、体内の油脂成分のほとんどが、人体で[[消化]]されない[[ワックスエステル]](いわゆる「[[蝋]]」)でできている。そのため、大量に摂取すると[[皮脂漏症]](皮膚から油が漏れる病気)を起こしたり、消化吸収されなかった油脂が[[肛門]]からそのまま漏れ出したりしあるいは[[下痢]]や腹痛を起こす場合がある。多量に摂食した場合は[[昏睡]]状態に陥る重篤な症例も報告されている。油脂が肛門から出る時、便意などは一切生じず、そのまま垂れ流す状態になるという。このため[[大東諸島]]では、同じクロタチカマス科の魚である[[アブラソコムツ]]と区別せずに、'''インガンダルマ'''(「犬が(お尻から油が)垂れる」または「犬が(下痢で)ダレる」と言う意味。「胃が垂れる」は誤りで、前触れもなくいきなり尻から垂れる)または'''ダルマ'''(「(人間の)(お尻から油が)垂れる」と言う意味)という別名([[地方名]])で呼ばれる。
 
==利用==
[[釣り針]]にかかると引きがく、30~40キログラムにも育つ個体がいて<ref name="トランヴェール">「平坂寛さん、食べてもヤバくない深海魚の旅」/[[東日本旅客鉄道|JR東日本]][[車内誌]]『トランヴェール』2019年4月号<おいしい伊豆ハンティング>、p.14-16.</ref>体が大きいので、[[スポーツフィッシング]]の対象にもなっているほか<ref name="sirikara_abura">{{Citeweb|url=https://dailyportalz.jp/kiji/120224153792 |title=巨大深海魚を釣って食べたら尻から油が |publisher=デイリーポータルZ |date=2012-02-25 |accessdate=2019-01-03}}</ref>しっかりとした歯応えや大[[トロ]]のような濃厚な脂分など、味はとてもいとされるため<ref>[http://www.zukan-bouz.com/saba/kurotatikamsu/baramutu.html スズキ目サバ亜目クロタチカマス科バラムツ属バラムツ]</ref>、毒性はあるものの食用としている国もある。
 
日本では1970年から[[食品衛生法]]第2章第6条第2号に該当する食品として[[厚生労働省]]から販売禁止指定されており<ref name="dokugyo">{{Citeweb|url=http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/itiba/suisanbutu/dokugyo1.html |title=厚生省通達により措置が定められた魚介類 |publisher=東京都市場衛生検査所 |date=2015-01-29 |accessdate=2015-02-08}}</ref>流通しない。同じ仲間の魚に[[アブラソコムツ]]があり、こちらも同法により販売禁止に指定されている<ref name="dokugyo"/>。ただし美味であるため自身で釣って食べるものもいる<ref name="sirikara_abura" />が、「二切れまで」といった量の自主規制をすることが望ましい<ref name="トランヴェール"/>。
 
[[台湾]]では流通に制約はなく刺身として食すほか、卵巣を加工し[[カラスミ]]のようにして食べる[[油魚子]]という料理で知られる。カラスミより大型で加工が難しいが、臭みや色味の悪さにつながる血が混じりにくいため、カラスミより高値で取引されている。
 
[[大韓民国|韓国]]では「白マグロ」として食用にされていたが、[[マグロ]]と称して販売していたことに加えて[[食中毒]]患者が続出したことなどが問題視され、[[食品医薬品安全処]]が2007年6月に流通禁止の行政予告を行なったものの、規制改革委員会が「過度な規制」として撤回を勧告した<ref name="kinshi">{{cite web |url=http://www.chosunonline.com/news/20100619000026 |title=マグロと偽り売られる魚を食用禁止品目指定へ |accessdate=2015年2月7日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20100620213117/http://www.chosunonline.com/news/20100619000026 |archivedate=2010年6月20日 }}</ref>。2010年に改めて食用禁止とする告示改正を進める動きがあったが<ref name="kinshi"/>、その後もマグロに偽装しての流通が続いている<ref>{{citeweb|url=http://japan.hani.co.kr/arti/politics/7835.html |title=業者5ヶ所に1ヶ所…有名ショッピングモールでも…腹痛誘発油分‘マグロもどき’ |publisher=『[[ハンギョレ]]』 |date=2011-04-17 |accessdate=2015-02-08}}</ref>。[[中華人民共和国|中国]]でも、本種を[[サケ]][[タラ]]に偽装して提供する業者があり、上記のように食べた人の肛門から大量の油が漏れたケースが報じられている<ref>[http://www.narinari.com/Nd/20151134635.html 『“サケ”食べ尻から油止まらず、レストランが有害深海魚を偽装して提供か。』  Narinari.com 2015年11月10日]</ref>。
 
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