「国鉄ワム90000形貨車」の版間の差分
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== 概要 ==
昭和20年代後半から貨車（特に二軸車）の速度向上のため研究を重ねた結果、1952年（昭和27年）の実験でばね吊り装置を[[2段リンク式走り装置|二段リンク式]]にすることでこれまでより高速時の安定性が取れることが判明したため、翌年から標準形有蓋車として1938年から大量製作されていた[[国鉄ワム23000形貨車|ワム23000形]]を名古屋工場で150両二段リンク化した際に新形式として'''ワム90000形式'''と付けられたのが始まりである。なお、番号が90000番台と大きくなった理由は「9」が試作の意味だからと言われている<ref>[[#渡辺1979-2|（渡辺1979-2）p．131]]</ref>。
製造初年は[[1953年]]（昭和28年）で、ワム90000形としての新製は翌1954年（昭和29年）から開始され、1958年（昭和33年）まで製作された。[[1969年]]（昭和44年）3月末での両数は、18,790両<ref>『貨車の知識』、p.108。</ref>であ
<!--塗装は[[黒 (国鉄制定色)|黒]]、全長は7,850[[ミリメートル|mm]]、全幅は2,742mm、全高は3,740mm、軸距は3,900mm、床面高は1,090 mm、床面積は15.9 [[平方メートル|m<sup>2</sup>]]、容積は37.6 [[立方メートル|m<sup>3</sup>]]、自重は9.9t、[[換算両数]]は積車2.0、空車1.0である。走行装置は平[[軸受]]に12 t 長軸を使用した二段リンク式であった。←スペックは主要諸元の表があるので、表にない「床面高・床面積」ならびに軸関係の記述だけのせます。-->▼
床面高は1,090 mm、床面積は15.9 [[平方メートル|m<sup>2</sup>]]、走行装置は平[[軸受]]に12 t 長軸を使用しており、側面に片開き 1,700 [[ミリメートル|mm]] の荷扱い用扉をも
なお、ドアに横2本のリブのあるのが外見上の特徴であるが、ワム23000形の初期のものはこのリブがないため、この時期製造の車両を改造したものはリブがない。
▲側面に片開き 1,700 [[ミリメートル|mm]] の荷扱い用扉をもつ、戦後の国鉄有蓋車の代表形式であるが、やがて国鉄の有蓋車は[[1958年]]（昭和33年）から製作された[[国鉄ワム70000形貨車|ワム70000形]]など、両開き扉を持ち近代的荷役に対応する形式に移行した。<!-- 製造は打ち切られましたが、かなり後年まで使われているので「淘汰」強すぎるかと-->
ただし、後日番号をつけなおした車両が存在する<ref>番号つけなおしがはっきりしているものでは[[#渡辺1979-2|『鉄道ファン』214号・p．133-134]]によると30126と31805~31809（注）の6両は番号上は戦後新製組だが、前者が戦中廃車の復帰（参考文献に元番号未記載）、後者5両が[[二車現存]]車があったため23194→31805、23718→31806、23740→31807、23194→31808、23718→31809（23718はワム21000形との重複）とそれぞれ新しく番号をつけなおしたもの。<br>（注：「鉄道ファン」p.134本文中では二車現存車の改番は「31805~3180'''8'''」だが、記述中に「31806と31809は23718の2車現存車」とあるため誤記と判断した。）</ref>ため、戦後再生産組の番号（29998番以後）でもドアにリブのないものもある<ref name="RP232-72">RP 332, p.72。</ref>。
[[1955年]]（昭和30年）8月より本形式車中250両が、だいだい色の帯線、「急行便」の標記が行われ、[[国鉄ワキ1形貨車|ワキ1形]]、[[国鉄ワキ1000形貨車|ワキ1000形]]とともに急行貨物列車に運用された。
[[1959年]]（昭和34年）1月31日より急行便表示のある車（[[1958年]]（昭和33年）11月末日現在1,798両）に対して記号番号表記は[[国鉄貨車の車両形式#特殊標記符号|特殊標記符号]]「キ」（急行）を前置し「<sup>キ</sup>ワム」と標記した。
▲塗装は[[黒 (国鉄制定色)|黒]]、全長は7,850[[ミリメートル|mm]]、全幅は2,742mm、全高は3,740mm、軸距は3,900mm、床面高は1,090 mm、床面積は15.9 [[平方メートル|m<sup>2</sup>]]、容積は37.6 [[立方メートル|m<sup>3</sup>]]、自重は9.9t、[[換算両数]]は積車2.0、空車1.0である。走行装置は平[[軸受]]に12 t 長軸を使用した二段リンク式であった。
[[1986年]]（昭和61年）に形式消滅した。
== 製造番号 ==
ワム90000形は番号別に大きく分けると90000番台4,335両（ワム90000 - ワム94334）と123000番台14,672両（ワム123000 - ワム131809, ワム132000 - ワム133599, ワム135000 - ワム140534。欠番あり）に分かれ、前者は基本的に昭和28年以降の新製車であるのに対して、後者は昭和13年度からワム23000形として製作された車両を二段リンク改造した際に原番号に100000（十万）をプラスしてワム90000形に編入したものである。例外的に90000番台でも改造車が一部あり下記の通り<ref>[[#渡辺1979-2|（渡辺1979-2）p．132]]</ref>。
* '''90000~90149'''：昭和28年に初のワム90000形となったワム23000の二段リンク初期改造車グループ。
* '''90875~91174'''・'''91825~92224'''：国鉄工場で[[国鉄トキ900形貨車|トキ900形]]を改造したグループ。
* '''91775~91824'''・'''93725~93764'''：国鉄工場において[[国鉄ワム50000形貨車|ワム50000形]]を改造したグループ。
123000番台側にはワム90000形としての新製車は存在しないが、以下のような理由で番号が一部抜けている<ref>[[#渡辺1979-2|（渡辺1979-2）p．132-134]]</ref>。
;元々ワム23000形時代から番号が抜けている。
:ワム23000形は戦中製造のものがあり、製造工場によっては戦争激化で割り当てられてた車両が製造中止になっている<ref>'''23000~28680'''までは連番だが、この辺から30000番台付近までちょこちょこ番号が抜けているものがある。</ref>。
:昭和25年から作られたトキ900形からの改造車<ref>ワム23000形になったものは車軸を長軸の物を用意したもののみ、トキ900の短軸をそのまま使った車両は「[[国鉄ワム2000形貨車|ワム2000形式]]」になっている。</ref>（実質は部品流用）は'''32000~35599'''とこれまでのもの（31804）と番号が離れている。
:戦後新製した車両は戦中の物のラストナンバー（29997）を引き継ぎ、'''29998~31804'''（欠番あり）となったが、上記のトキ900形改造車と同時期の物は'''35000~40534'''とまた番号が離れている。
;ワム23000形では存在していたが、ワム90000形（123000番台）には該当番号がない。
:ワム23000形時代に廃車されている。
:昭和28年にワム90000~90149に真っ先に改造されたので123000番台に入っていない。
<!-- 番号別詳細の出典をお持ちの方追記お願いします。--><!--記述増加により元出典の範囲を超えたのでコメントアウト <ref>RP 332, p.30。</ref>--><!--90000番台先の方が解説しやすいので順番入れ替えます-->
=== 年度別製造数 ===
各年度による製造会社（改造所）と両数は次のとおりである。
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** （多度津工場） 143両 ワム23000形よりの改造
** （幡生工場） 14両 ワム23000形よりの改造
=== 特筆車両 ===
;ワム91665(空気バネつき二軸車）<ref name="さまざま">[[#渡辺1979-2|（渡辺1979-2）p．132-134]]</ref>
:昭和32年8月、大宮工場で試験的に空気バネを取り付けたがその後二段リンクに戻された。
;ワム92551・92552（簡易冷蔵車。<sup>レ</sup>ワム）<ref name="さまざま">[[#渡辺1979-2|（渡辺1979-2）p．132-134]]</ref>
:冷蔵車不足を解消しようと普通有蓋車に保冷性能を施したが中途半端に終わった。
;ワム133170~133174（鋼板屋根車）<ref name="さまざま">[[#渡辺1979-2|（渡辺1979-2）p．132-134]]</ref>
:ワム90000形は通常屋根が木造に防水布だが、この5両のみ試験的に屋根まで鋼板を試用。構造は1両づつ異なっており、例としてワム133174は張り上げ屋根だが、同じ張り上げ鋼板屋根の[[鉄製有蓋車]]達と異なり、普通の有蓋車であるため通気口が妻面にあり側柱は内側にある<ref>[[#渡辺1979-2|（渡辺1979-2）p．131右下写真]]</ref>。
== 派生形式 ==
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* 輸送業務研究会『貨車の知識』交通日本社 1970年。
* 電気車研究会『[[鉄道ピクトリアル]]』1977年4月号 No.332 特集・貨車のすべて
* {{Cite journal|和書 |author =渡辺 喜一|authorlink =渡辺 喜一 |date =1979年2月1日|title =貨車千一夜 <small>消えゆく貨車 ワム90000</small> |journal =鉄道ファン 第19巻第2号（通巻214号、雑誌06459-2） |pages =130-134 |publisher =株式会社交友社 | ref =渡辺1979-2}}
* 貨車技術発達史編纂委員会『日本の貨車―技術発達史―』2009年 社団法人 日本鉄道車輌工業会
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