「自動車」の版間の差分

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英語の ''automobile'' は[[フランス語]]を語源としている。[[日本語]]の'''自動車'''という語は、先述の ''automobile''(オートモービル)に由来しており、''auto'' は「みずから」''mobile'' は「動くもの」という意味を持つことから作られた。なお、同じ[[漢字文化圏]]でも[[中国語]]では別の語・'''汽車'''([[繁体字]])/'''汽车'''([[簡体字]])を用い、自動車という語は[[自動運転車]]の意味になる。また、英語で''Motor vehicle''([[モータービークル|モーターヴィークル]])と言う場合には[[軌道 (鉄道)|軌道]]を走る[[鉄道車両]]は含まれず、単に'' car ''といった場合、[[馬車]]や鉄道車両なども含めた'''[[車両]]全般'''を指す。
 
自動車は、18世紀に蒸気機関を用いた蒸気自動車として登場し、19世紀にはイギリスやフランスで都市間を移動するためのバスに用いられるようになっていた。19世紀後半、1870年代から1880年代にかけてはオーストリアやドイツでガソリンの内燃機関を用いた自動車の制作や特許取得が行われた。1896年に米国のヘンリー・フォードもガソリン自動車を開発し、1903年に自分の名を冠したフォード・モーター社を設立し、まずは2気筒エンジンの小さな車の製造・販売を開始、1905年には4気筒エンジン車を販売開始、1908年には改良し(価格も比較的安く設定した)フォード・モデルTを発売し、大人気となり、1909年の1年間だけでも1万台を越える台数が売れ、米国で急速に自動車が普及してゆくことになり、米国ではそれまで街の大通りを走る車と言えば(裕福な人々が所有し、[[御者]]付きの)[[馬車]]ばかりだったのだが、その後 わずか10年ほどのうちに馬車の所有者たちはそれを自動車へと換えてゆき、米国の通りの景色は一変することになった。1910年代~1920年代には安価な大衆車も普及しはじめた。→[[#歴史]]
自動車を動かすこと・操ることを[[運転]]という。[[オートパイロット|自動運転技術]]も研究されている。
 
自動車は基本的には、[[人]]や[[貨物]]を運ぶための実用の道具として用いられるものであり、人を運ぶこと(人の移動)では、たとえば[[通勤]]・[[通学]]、客の送迎、顧客先訪問、[[旅行|旅]] 等々等々に用いられている。貨物を運ぶことに関してはトラック等を用いて、多種多様な荷物が運ばれており、陸上輸送に関して(鉄道が駅から駅への輸送しかできないのに対して、自動車は戸口から戸口へ(=建物から建物へ)と輸送できるという特徴があり<ref name="nihondaihyakka">小学館『日本大百科全書』「自動車」</ref>、かつての陸上輸送の主役だった鉄道を大きく超えて)現代ではほとんどの国で陸上輸送の主役である。
 
また自動車は基本的には人や[[貨物]]を運ぶための実用性を離れて、愛着道具対象なっ用いられるものではあるが、[[旅行趣味]]的に所有されり<ref name="nihondaihyakka" />また運転を楽しむため(スポーツ・ドライビング)に用いられるたりあるいは所有して[[趣味]]で[[メンテナンス|整備]]すること("機械いじり")が目的を楽しむために用いられるこされもある。まり、[[高級車]]の場合[[ステータスシンボル]]として利用される場合などもある。
 
自動車の分類法はさまざまあるが、構造による分類や使用目的による分類などがある。→[[#分類・種類]]
 
自動車は世界中で大量に普及したため、[[大気汚染]]の原因となったり、その石油資源の消費量によって[[石油危機]]時のリスク要因となったり、道路上の自動車の過密状態などの問題を引き起こしており<ref name="nihondaihyakka" />、課題の解決に向けた努力が続けられている(消費する石油を減らすこと、つまり[[燃費]]の向上(低燃費エンジンの開発)が行われてきた歴史があり、[[電気自動車]]、[[ハイブリッド・カー]]、[[水素自動車]]などの開発・販売も行われている)。
 
自動車を動かすこと・操ることを[[運転]]と言い、ほとんどの国で、公道(一般の道路)での自動車の運転には免許([[運転免許]])が必要とされている。自動車の最初期の段階からすでに運転を誤る事故([[交通事故]])が発生したが、自動車によって怪我をさせられたり命を失ってしまう[[被害者]]が生じ、同時に運転者が[[加害者]]として生きていかなければならなくなることは、自動車普及後の社会が抱え続けている重い課題のひとつである。最近では[[オートパイロット|自動運転技術]]([[自動運転車]])も研究されており、人間が運転するよりも事故率が劇的に減るであろうと期待されてもいて、一部ですでに(実験的な)導入が開始しており、世界での本格的な普及開始の時期が近付いている。
 
自動車の生産は、部品となる様々な工業品があってはじめて可能となるので、他の様々な工業の振興、一次的工業品の製造とも関連する<ref name="nihondaihyakka" />。その規模の大きさ、影響の大きさによって、政府にとっては自動車の製造は(一国の)経済を支える重要な産業となりうる。現在のところ、一握りの先進国が自動車の生産を[[独占]]してしまっているような状況にある<ref name="nihondaihyakka" />。多くの発展途上国の政府が、自動車製造を行うために懸命の努力を行っている(例えば、先進国の自動車メーカーや政府と交渉し、自動車を輸入するだけでなく、自国内に製造工場などを設けさせる努力を続けている)のは、経済的な影響が大きいからである<ref name="nihondaihyakka" />。
 
自動車は基本的には人や[[貨物]]を運ぶための実用の道具として用いられるものではあるが、[[旅行]]のため、また運転を楽しむため(スポーツ・ドライビング)に用いられる、あるいは所有して[[趣味]]で[[メンテナンス|整備]]すること("機械いじり")が目的とされたり、[[高級車]]の場合は[[ステータスシンボル]]として利用する場合などもある。
 
== 歴史 ==
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かつては[[SF]]作品中の存在であった「空飛ぶ車」の開発も進んでいる。日本では、[[トヨタ自動車]]グループの支援を受ける有志団体「[[CARTIVATOR]](カーティベーター)が、2018年の試作機完成を目指している<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170828-00050071-yom-bus_all 「空飛ぶクルマ」開発、目指すは東京五輪聖火台]『[[読売新聞]]』朝刊2017年8月29日(経済面)</ref>。
 
== 分類・種類 ==
自動車の分類法はいくつもあるが、おおまかに言うと、構造(ハードウェア)による分類と使用目的(ソフト)による分類がある<ref name="nihondaihyakka" />。
 
理屈の上では使用目的と構造の組み合わせがマトリックス(縦横の表)のように多数あるわけだが、実際には全ての組み合わせが用いられるではなく、使用目的ごとに適している構造は(全ての構造ではなく)いくつかの目的に適した構造に絞られることになり、また多くの使用者・購入者から評価される典型的な組み合わせや傾向のようなものが生じ、ただしそれはまったく固定しているわけではなく、時代とともにそれが緩やかに変遷を経てきた歴史がある。
 
特定の国に限らない分類としては、基本的には、たとえば、目的によって「乗用車(数名の人を運ぶための自動車) / 貨物車(貨物を運ぶための自動車)/ 特殊な車(それ以外の目的の自動車)」と分ける方法がある。またたとえば、大きさによって「小型車 / 中型車 / 大型車」などと分ける方法が、基本的にはある。
 
なお自動車が登場する以前の馬車の時代に、馬車がその姿(形状)によって分類され、すでに分類法やその分類用語が確立していたので、(馬を排したとは言え)自動車の車体に関してもそれに沿った分類法が採用されてきた歴史がある。「セダン」「クーペ」「ワゴン」などという分類法はもともとは馬車の分類法を継承したものである。→[[#普通自動車の分類]]
 
その後、さまざまな形状が新たに開発され、中間的な形状のバリエーションも増えるにしたがい、分類が困難なものも増え、従来の分類用語では分類不能になったり混乱する場合が出てきたので、「箱状の形状がいくつあるのか?」という観点で、車体の形状を(単純化して)再分類することも行われるようになった。
 
=== 法上の分類 ===
それぞれの国で法規によって[[排気量]]や車体の大きさ、輸送能力などによって分類されている。それが税区分や通行区分、[[運転免許]]の区分の基準とされる。
 
日本においては、[[道路交通法]]第三条により、[[大型自動車]]、[[中型自動車]]、[[準中型自動車]]、[[普通自動車]]、大型[[特殊自動車]]、小型特殊自動車、[[大型自動二輪車]]、[[普通自動二輪車]]の8種類に分類され、[[道路運送車両法]]第三条により、普通自動車、[[小型自動車]]、[[軽自動車]]、大型特殊自動車および小型特殊自動車に分類されている。
 
{{see also|日本における自動車}}
 
=== 普通自動車の分類 ===
{{節スタブ|date=2015年4月29日}}
 
==== 姿形による分類 ====
もとは馬車の形状による分類用語である。その後、馬車にはなかった分類用語が追加されてきた歴史がある。
 
*'''[[セダン]]''':トランクを持つスリーボックスカー。原則は4ドア。)
*'''[[クーペ]]''':(もとは基本形のセダンをフランス語で「クペ」したもの、つまり少し「切られて」短くなった形)スリーボックスだが(4ドアから2ドア分減って)原則<u>2ドア</u>の車。
*'''[[ワゴン]]''': (もとは[[荷馬車]][[:en:Wagon]]を指す用語で)荷室が主となっている自動車。
**後部が主に荷物を乗せるのに使われるのを'''バン'''という。
**'''[[ステーションワゴン]]''':(ワゴン車の一種ではあるが)後部には乗員の座席とひとつづきの荷室を備えているツーボックスカーで、後部が主に人を乗せる為に使われる車。
*'''[[ハッチバック]]''':キャビン(人が乗る空間)と荷室が一体化している車で、「ハッチバック」(跳ね上げ式の後部ドア)になっている車。結果として3ドアもしくは5ドア。
 
屋根による分類法は次のようなものがある。
*'''[[オープンカー]]''':屋根のない車
*'''[[ハードトップ]]''':もとは硬い屋根を持つ車。その後、スリーボックスで主に側面中央の窓柱(Bピラー)を持たない車を指す用語に。
*'''[[ソフトトップ]]''':布などでできた柔らかい屋根を持つ車。(その後、これを採用する車はほぼ消えた。)
*'''[[コンバーチブル]]''':可動式の屋根を持ち、屋根無しの状態でも屋根を出した状態でも、どちらも可能な車。
 
==== スペースによる分類 ====
自動車メーカーが消費者を満足させるために、乗用車(普通自動車)に関してさまざまな形状のものを開発してきた結果、1980年代~2000年代以降、従来の分類法や分類用語では分類しきれない車や、あるいは複数のカテゴリに該当するような車が増え、消費者も自動車メーカーも自動車誌等も、従来の分類法やカテゴリ名に困惑を感じることが増え、メーカーや販売会社と消費者のコミュニケーションでも混乱が生じるようになった。そうした困惑や混乱を回避するために、多種多様な普通自動車をざっくりと以下のように分類する方法が考えだされ、それが採用されることが増えた。
 
*'''[[ワンボックスカー]]'''(モノスペースカー):全体が一つの大きな箱(ボックス)状になっている車。内部的には、エンジンルーム、キャビン(=室内スペース)、荷物室があっても、見た目は大きな一つの箱のように見える車。
 
*'''ツーボックスカー'''([[ファストバック]]カー、カムバックカー): キャビンと荷物室が1つの大きなボックスで、エンジンルームが別のボックスとして飛びだしているように見える車。
 
*'''スリーボックスカー'''([[ノッチバック]]カー):キャビンが1つ大きなボックスとして真ん中にあり、そこから前後に(キャビンよりは高さが低い)エンジンルームと荷物室のボックスが飛び出している形状の車。
 
== 構造 ==
自動車の構造はその歴史のなかで様々な形態構造が現れ、変遷してきた。ここでは現在市販されている自動車として一般的なものを示す。したがって、いくつかの自動車には例外があり、特に競技用や工作用など、特殊な用途に特化したものについては構造が大きく異なる例もある。
 
=== 車体構造 ===
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=== 運転装置 ===
運転者の座席は座部と背もたれを備えた椅子形のものが主流である。運転席の正面には操舵用のハンドルとアクセルペダルとブレーキペダル、あるいはクラッチペダルが備えられているのが標準的な自動車の構造である。ハンドルは[[円 (数学)|円]]形が一般的だが、[[オート三輪]]では棒状のハンドルも存在した。また、近年は楕円形のハンドルを採用している車種もある。駐車ブレーキを操作する装置は、レバーを引き上げる方式のものが主流であるが、古いトラックや[[ワンボックスカー]]では杖状のレバーを車体前方の奥から手前に引き寄せる方式のものもある。また、近年では足踏み式のものや電気的に作動する押しボタン式も採用されるようになった。変速機の操作レバーはMTの場合はシフトレバー、ATの場合はセレクトレバーと呼ばれる。いずれの場合も運転席の脇、車体中央側の床に設置されているフロアシフトが大半を占める。古いタクシーやトラック、ワンボックスカーではステアリングコラムにシフトレバーを設置したコラムシフトのMTも多く存在した。現在のAT車ではステアリングコラムにセレクトレバーを備える車種はミニバンを中心に珍しくないものとなっている。近年はインストルメントパネルにセレクトレバーを配置したものも多い。
 
== 分類 ==
それぞれの国で法規によって[[排気量]]や車体の大きさ、輸送能力などによって分類され、税区分や通行区分、[[運転免許]]の区分の基準とされる。
 
{{see also|日本における自動車}}
 
=== 法令上の分類 ===
 
日本においては、[[道路交通法]]第三条により、[[大型自動車]]、[[中型自動車]]、[[準中型自動車]]、[[普通自動車]]、大型[[特殊自動車]]、小型特殊自動車、[[大型自動二輪車]]、[[普通自動二輪車]]の8種類に分類され、[[道路運送車両法]]第三条により、普通自動車、[[小型自動車]]、[[軽自動車]]、大型特殊自動車および小型特殊自動車に分類されている。
 
=== 普通自動車の分類 ===
{{節スタブ|date=2015年4月29日}}
 
==== スペースによる分類 ====
 
普通自動車はその形状により以下のように分類される。
まず、エンジンルーム、キャビン(=室内スペース)、荷物室が一つの大きな箱(ボックス)に入っており、見た目はキャビンしかないように見える車を'''[[ワンボックスカー]]'''(モノスペースカー)、キャビンと荷物室が1つの大きなボックスとなり、エンジンルームが別のボックスとして飛びだしている車を'''ツーボックスカー'''([[ファストバック]]カー、カムバックカー)、キャビンが1つ大きなボックスとなり、そこから前後にエンジンルームと荷物室のボックスが飛び出しているのを'''スリーボックスカー'''([[ノッチバック]]カー)という。
 
==== 姿形による分類 ====
 
トランクを持つスリーボックスカーを'''[[セダン]]'''(日本国内ではほとんどが4ドア)といい、スリーボックス2ドアの車を'''[[クーペ]]'''、後部には乗員の座席とひとつづきの荷室を備えているツーボックスカーで、後部が主に人を乗せる為に使われるのを'''[[ステーションワゴン]]'''、後部が主に荷物を乗せるのに使われるのを'''バン'''という。ステーションワゴンを略して'''ワゴン'''とも呼ぶが、ワゴン車はワンボックスカーの意味にも用いられる。
 
3ドアもしくは5ドアでキャビンと荷物が一体化している車を'''[[ハッチバック]]'''、スリーボックスで主に側面中央の窓柱(Bピラー)を持たないものを'''[[ハードトップ]]'''、屋根のない車を'''[[オープンカー]]'''、屋根を出す事ができるオープンカーを'''コンバーチブル'''という。
 
== 自動車の利用 ==