「トチノキ」の版間の差分

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書誌情報
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[[落葉性]]の[[高木]]で、[[温帯]]の[[落葉広葉樹林]]の重要な構成種の一つ。水気を好み、適度に湿気のある肥沃な土壌で育つ。谷間では、より低い標高から出現することもある。[[サワグルミ]]などとともに姿を見せることが多い。
 
大木に成長し、樹高25m、直径1mを超えるものが少なくない。[[葉]]も非常に大きく、全体の長さは50cmにもなる。長い葉柄の先に倒卵形の小葉5-7枚を掌状につけ([[掌状複葉]])、葉は枝先に集まって着く。
 
5月から6月に、葉の間から穂状の花が現れる。穂は高く立ち上がり、個々の花と花びらはさほど大きくないが、雄しべが伸び、全体としてはにぎやかで目立つ姿である。花は白〜薄い紅色。
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[[種子]]は[[デンプン]]や[[タンパク質]]を多く含み、「栃の実」として[[渋抜き]]して食用になる。食用の歴史は古く、[[縄文時代]]の遺跡からも出土している。渋抜きは[[コナラ]]や[[ミズナラ]]などの果実([[ドングリ]])よりも手間がかかり、長期間流水に浸す、大量の[[灰汁]]で煮るなど高度な技術が必要だが、かつては耕地に恵まれない山村では[[ヒエ]]やドングリと共に[[主食]]の一角を成し、常食しない地域でも[[飢饉]]の際の食料(救荒作物)として重宝され、天井裏に備蓄しておく民家もあった。積雪量が多く、稲作が難しい[[中部地方]]の山岳地帯では、盛んにトチの実の採取、保存が行われていた。そのために森林の伐採の時にもトチノキは保護され、私有の山林であってもトチノキの勝手な伐採を禁じていた[[藩]]もある。また、各地に残る「栃谷」や「栃ノ谷」などの地名も、食用植物として重視されていたことの証拠と言えよう。山村の食糧事情が好転した現在では、食料としての役目を終えたトチノキは伐採され木材とされる一方で、渋抜きしたトチの実をもち米と共に搗いた[[栃餅]](とちもち)が現在でも郷土食として受け継がれ、土産物にもなっている。
 
粉にひいたトチの実を麺棒で伸ばしてつくる栃麺は、固まりやすく迅速に作業しなければならず、これを栃麺棒を振るうという。これと、慌てることを意味する「とちめく」を擬人化した「とちめく坊」から「狼狽坊」(栃麺棒、とちめんぼう)と呼ぶようになり<ref>{{Cite book|和書|author = 大槻文彦|title = 大言海 第3巻|url=http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1265336/282|accessdate = 2017-06-11|date = 1932年10月|publisher = 富山房}}</ref>、「狼狽坊を食らう」が略されて「面食らう」という動詞が出来たとされている<ref>{{Cite book|和書|author = 大槻文彦|title = 大言海 第4巻|url= http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1265406/594|accessdate = 2017-06-11|date = 1932年10月|publisher = 富山房}}
</ref>。
トチノキの若芽の粘液をたむしの患部に塗る伝統的民間療法が長野県秋山郷地域などにみられる<ref>『信州の民間薬』全212頁中20頁医療タイムス社昭和46年12月10日発行信濃生薬研究会林兼道編集</ref>。
 
トチノキ種子のエスチン(escin)類、イソエスチン(isoescin)類には[[小腸]]での[[グルコース]]の吸収抑制等による[[血糖値]]上昇抑制活性が認められた<ref>吉川雅之、[https://doi.org/10.1271/kagakutoseibutsu1962.40.172 薬用食物の糖尿病予防成分 -医食同源の観点から-]、吉川雅之、化学と生物Vol』 2002年 40巻 3号 p.172-178, {{doi|10.1271/kagakutoseibutsu1962.40、No.3、2002172}}</ref>。{{main|サポニン}}
 
花は[[ミツバチ]]が好んで吸蜜に訪れ、[[養蜂]]の蜜源植物としても重要であったが、[[拡大造林]]政策などによって低山帯が一面針葉樹の人工林と化していき、トチノキなどが多い森林は減少し日本の養蜂に大きな打撃を与えた。
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== 栃木県の県木として ==
トチノキは[[栃木県]]の県木で、[[1966年]][[6月28日]]に制定された<ref>栃木県告示第501号</ref>。関連用語としてトチノキの葉を表す「栃の葉」(とちのは)や「[[マロニエ]]」共々栃木県に関連する物象に冠されることがある。
* [[とちのきファミリーランド]] - 宇都宮市の[[栃木県総合運動公園]]にある[[遊園地]]
* マロニエプラザ - 宇都宮市にある[[展示場]]・イベントホール「[[栃木県立宇都宮産業展示館]]」の愛称。
* [[とちの木号]]・[[マロニエ号]]・[[マロニエ新宿号]] - 栃木県を発着する[[高速バス]]の愛称。
* トッチー - 1995年に栃木県で開催された第10回[[国民文化祭]]のイメージキャラクター。トチノキの葉の形をしている。
* 栃の葉国体 - 1980年に栃木県で開催された[[第35回国民体育大会]]の通称。