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{{Otheruses|仏教における欲界・色界・無色界の総称としての三界}}
'''三界'''(さんがい、{{lang-sa-short|tri-dhātu}})とは、仏教における[[欲界]]・[[色界]]・[[無色界]]の三つの世界のことであり、[[衆生]]が生死を繰り返しながら[[輪廻]]する世界をその三つに分けたもの<ref name="コトバンク三界">{{Cite web|url=https://kotobank.jp/word/%E4%B8%89%E7%95%8C-70355|title=三界(さんがい)とは - コトバンク|publisher=朝日新聞社|accessdate=2017-10-13}}</ref>。'''三有'''(さんう)ともいう<ref name="コトバンク三界" />。[[欲界]]よりも[[色界]]のほうが、色界よりも[[無色界]]のほうが、いっそうすぐれた生存のしかたであると考えられており、その場所も、欲界が最下にあり、無色界が最上に位置する{{sfn|櫻部・上山|2006|p=39}}。
 
== 三つの世界 ==
* '''[[欲界]]'''(よくかい、よっかい、{{lang-sa-short|kāma‐dhātu}}) - [[性欲|淫欲]]と[[食欲]]がある[[衆生]]が住む世界<ref name="コトバンク三界" /><ref name="コトバンク欲界">{{Cite web|url=https://kotobank.jp/word/%E6%AC%B2%E7%95%8C-653686|title=欲界(ヨクカイ)とは - コトバンク|publisher=朝日新聞社|accessdate=2017-10-14}}</ref>{{efn|淫欲と食欲に[[睡眠]]欲を加える説もある<ref name="コトバンク三界" /><ref name="コトバンク欲界" />。}}。無色界および色界の下に位置する<ref name="コトバンク欲界" />。本能的欲望が盛んで強力な世界{{sfn|櫻部・上山|2006|p=39}}。[[八大地獄]]から[[六欲天]]までの領域であり、地獄、[[餓鬼]]、[[畜生]]、[[阿修羅|修羅]]、[[人間界|人]]、[[天 (仏教)|天]]の6種の世界が欲界に含まれる<ref name="コトバンク三界" />。[[六道]]はここに位置する<ref name="コトバンク三界" />。つまり、地下の世界と、地表の世界と、空中の世界(天界)の最下層とが、欲界に属する{{sfn|櫻部・上山|2006|p=39}}。
 
* '''[[色界]]'''(しきかい、{{lang-sa-short|rūpa-dhātu}}) - 淫欲と食欲の2つの欲を離れた衆生が住む世界<ref name="コトバンク三界" />{{efn|淫欲と食欲に加えて睡眠欲をも離れているとする説もある<ref name="コトバンク三界" />。}}。'''色天'''や'''色界天'''ともいう<ref name="コトバンク色界" />。欲界の上、無色界の下に位置する<ref name="コトバンク色界" />。[[色 (仏教)|色]]とは物質のことであり、色界とは物質的な世界という意味<ref name="コトバンク三界" />。欲界とひとしく物質的世界ではあるが、それほどに欲望が盛んではないところを単に色界とよぶ{{sfn|櫻部・上山|2006|p=39}}。色界には、清らかで純粋な物質だけがあるとされる<ref name="コトバンク三界" />。欲や[[煩悩]]は無いが、物質や[[肉体]]の束縛からは脱却していない世界である<ref name="コトバンク色界" />。[[四禅]]を修めた者が死後に生まれる世界<ref name="コトバンク色界" />。色界は{{要出典範囲|禅定の段階によって|date=2017年10月14日 (土) 01:45 (UTC)|title=}}[[四禅天]]に大別され<ref name="コトバンク三界" /><ref name="コトバンク色界">{{Cite web|url=https://kotobank.jp/word/%E8%89%B2%E7%95%8C-517613|title=色界(シキカイ)とは - コトバンク|publisher=朝日新聞社|accessdate=2017-10-14}}</ref>る。天界の上層は色界に属し{{sfn|櫻部・上山|2006|p=39}}、またそれを細かく17天{{要出典範囲|(経典によっては18天または16天)|date=2017年10月14日 (土) 01:45 (UTC)|title=}}に分ける<ref name="コトバンク色界" />。
 
* '''[[無色界]]'''(むしきかい、{{lang-sa-short|ārūpa-dhātu}}) - 物質的なものから完全に離れた衆生が住む世界<ref name="コトバンク三界" /><ref name="コトバンク無色界">{{Cite web|url=https://kotobank.jp/word/%E7%84%A1%E8%89%B2%E7%95%8C-641454|title=無色界(ムシキカイ)とは - コトバンク|publisher=朝日新聞社|accessdate=2017-10-14}}</ref>。欲界および色界の上に位置する<ref name="コトバンク三界" /><ref name="コトバンク無色界" /> 、天界の最上層に位置する{{sfn|櫻部・上山|2006|p=39}}。物質が全く存在せず<ref name="コトバンク三界" />、心の働きである[[受]]・[[想]]・[[行 (仏教)|行]]・[[識]]の四[[五蘊|蘊]]だけからなる世界<ref name="コトバンク無色界" />。無色界は四天に分けられ、その最高処を[[有頂天]](非想非非想天、非想非非想処)という<ref name="コトバンク三界" /><ref name="コトバンク無色界" />。
 
==用法==
*『[[法華経]]』譬喩品「三界は安きことなく、なお、火宅のごとし」というのは、迷いと苦しみのこの世界を、燃えさかる家にたとえたもの{{sfn|岩波仏教辞典|1989|p=309}}
{{出典の明記|date=2017年10月14日 (土) 01:45 (UTC)|section=1}}
『[[法華経]]』譬喩品に「三界は安きことなく、なお、火宅のごとし」というのは、迷いと苦しみのこの世界を、燃えさかる家にたとえたもの。
 
*「三界に家なし」とは、この世界が安住の地でないことを意味し、後には女性の不安定な地位を表す諺になった{{sfn|岩波仏教辞典|1989|p=309}}
 
*「子は三界の首枷」とは、親が子を思う心に引かれ、終生自由を束縛されること <ref name="コトバンク子は三界の首枷">{{Cite web|url= https://kotobank.jp/word/%E5%AD%90%E3%81%AF%E4%B8%89%E7%95%8C%E3%81%AE%E9%A6%96%E6%9E%B7-493371|title= 子は三界の首枷とは - コトバンク|publisher=朝日新聞社|accessdate=2019-5-19}}</ref> 。
 
== 脚注 ==
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=== 出典 ===
{{reflist}}
 
===参考文献===
*{{Cite book |和書 |author=[[中村元]]他 |year=1989 |title=岩波仏教辞典 |publisher=岩波書店 |isbn=4-00-080072-8 |ref={{SfnRef|岩波仏教辞典|1989}} }}
*{{Cite book |和書 |author=[[櫻部建]] ; [[上山春平]] |year=2006 |title=存在の分析<[[阿毘達磨 |アビダルマ]]>―仏教の思想〈2〉 |publisher=[[角川書店]] |series=[[角川ソフィア文庫]] |isbn=4-04-198502-1 |ref={{SfnRef|櫻部・上山|2006}} }}(初出:『仏教の思想』第2巻 角川書店、1969年)
 
==関連項目==