「D.B.クーパー事件」の版間の差分

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m 固定翼機の文脈では「航路」や「航行」は使わないので、表現を修正いたします
フラップの説明を補足
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太平洋標準時午後5時24分、クーパーは自分の要求が叶えられたことを通知された。午後5時39分、飛行機はシアトル・タコマ空港で着陸した{{sfn|Gunther|1985|p=43}}。日没から1時間以上経過した頃、クーパーはスコット操縦士に飛行機をタキシングして[[エプロン (飛行場)|エプロン]]の中で照明が明るく孤立した区画へ移動させるように指示し、警察の[[狙撃手]]の妨害のために客室内の窓掛けを全て閉めさせた<ref name=":8">{{Cite episode|title=Mystery: D. B. Cooper|network=[[NBC]]|date=October 12, 1988|series={{仮リンク|Unsolved Mysteries|en|Unsolved Mysteries}}|series-no=1|number=2}}</ref>。ノースウエスト・オリエント航空のシアトル運用管理者のアル・リー ({{Lang-en-short|Al Lee|links=no}}) は要求の物品を持って航空機の方へ向かった。リーは航空会社の制服から警察官と勘違いされないように普段着を着ていた。リーは身代金の詰まったナップザックとパラシュートを機体尾部のエアステアからマックローに届けた。身代金とパラシュートの受け渡しが完了すると、クーパーは乗客全員とシャフナー、主任客室乗務員のアリス・ハンコック ({{lang-en-short|Alice Hancock|links=no}}) に飛行機から出るように命令した{{sfn|Himmelsbach|Worcester|1986|p=28}}。
 
飛行機に燃料を補給する間、クーパーはコックピットにいる乗員に対して自身の飛行計画のあらましを説明した。南東へ進路を取って、最高高度1万[[フィート]] (約3千メートル)、失速しないで済む最低速度、つまりは約100[[ノット]] (時速約190キロメートル) で[[メキシコシティ]]の方向へ向かうというものだった。クーパーはさらに、[[降着装置|ランディング・ギア]]は離着陸時の位置のままにすること、フラップの角度を15度に下げること、客室の[[与圧#航空機|与圧]]はかけないでいることといった詳細な指示も与えた<ref name=":9">Rothenberg and Ulvaeus, p. 5.</ref>。フラップとは主翼の後縁に備わる[[高揚力装置]]である。フラップを出すことで、低速飛行時に翼で発生する[[揚力]]を大幅に増やすことができるが、[[抗力]]の増加も招く。<ref>{{Citation|和書 |last=李家 |first=賢一 |contribution=高揚力装置 |editor= 飛行機の百科事典編集委員会 |title=飛行機の百科事典 |date=2009-12 |pages=221–223 |isbn=978-4-621-08170-9}}</ref>。副操縦士のウィリアム・ラタクザック ({{lang-en-short|William Rataczak|links=no}}) はクーパーに、指定の条件での航続距離は約1千マイル (約1,600キロメートル) までしかないと伝えた。この条件では[[メキシコ]]に辿り着く前に2度目の燃料補給が必要になる。クーパーと乗員たちは話し合い、[[ネバダ州]][[リノ (ネバダ州)|リノ]]で燃料補給することで合意した{{sfn|Gunther|1985|p=45}}。機体後方の出口が開いてエアステアが展開されると、クーパーは操縦士に離陸を指示した。ノースウエスト・オリエント航空本社は機体尾部のエアステアが展開されたまま離陸するのは危険であるとして異議を唱えた。クーパーは実際には安全であると反論したが、この件で言い争おうとはしなかった。離陸した後にエアステアを展開するつもりだったのである{{sfn|Himmelsbach|Worcester|1986|pp=33–34}}。
 
連邦航空局はクーパーが航空機に乗った状態での面談を要求したが、受け容れられなかった<ref name=":10">{{cite book|last1=Rothenberg|first1=David|last2=Ulvaeus|first2=Marta|title=The New Earth Reader: The Best of Terra Nova|publisher=[[MIT Press]]|year=1999|location=Cambridge, Massachusetts|page=4|isbn=978-0-262-18195-2|date=}}</ref>。給油車の燃料を汲み取る機構で[[ベーパーロック現象]]が発生したことにより燃料補給は遅れた{{sfn|Himmelsbach|Worcester|1986|p=32}}。クーパーは疑念を抱いたが、代わりの給油車を使用することを許可して給油を続けた。2台目の給油車から燃料が出なくなると3台目の給油車で燃料を補給した<ref name="Gray-NYmag2007-10-21" />。