「繊維強化プラスチック」の版間の差分

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[[File:Glass reinforcements.jpg|thumb|ガラス繊維]]
[[Image:Kohlenstofffasermatte.jpg|thumb|260px|right|CFRP成形用[[炭素繊維]]]]
'''繊維強化プラスチック'''(せんいきょうかプラスチック)または {{lang|-en-short|Fiber Reinforced Plastics}})または'''FRP'''}} (Fiber-Reinforced Plastics の略称) (以下FRP)と、[[エポキシ樹脂]]や[[フェノール樹脂]]などに、[[ガラス繊維]][[炭素繊維]]などの[[繊維]]を[[成樹脂|プラスチック]]の中に入れて[[強度]]を向上させた強化[[複合材料プラスチック]]のことである
 
==概要==
[[Image:Cfk heli slw.jpg|thumb|140px|right|成形されたCFRP製品]]
[[画像:Doraika-bonn.JPG|thumb|right|200px|[[ドライカーボン]]の使用例 (財布)]]
[[合成樹脂|プラスチック]]は軽量で、加工が容易であるが、[[弾性率]]が低く、構造用材料としては適していない。そこで、ガラス繊維のように弾性率の高い材料と複合材料とすれば、軽量で強度の高い、つまり[[比強度]]の大きな材料として用いることができる。強化材としてガラス繊維を用いたもの(GFRP)のほか、[[炭素繊維]]を用いたもの ([[炭素繊維強化プラスチック|CFRP]])も用途が広がっている。他にも強度の高い[[ケブラー]]、[[超高分子量ポリエチレン|ダイニーマ]]などの樹脂繊維で強化したもの (AFRP, KFRP, DFRP等)もある。
 
安価・軽量で耐久性がよく、成型、穴あけ等の加工も比較的容易なことから、小型船舶の船体や、[[自動車]]・[[鉄道車両]]の内外装、[[ユニットバス]]や[[浄化槽]]などの住宅設備機器で大きな地位を占めている。
 
==製造方法==
繊維の混入複合方法には大きく2種類ある。細かく切断した繊維を均一にまぶす方法と、繊維に方向性を持たせたままプラスチックに浸潤させる方法とがそれで、ガラス繊維は前者、炭素繊維は後者の方法が採られることが多い。ただし繊維の方向の引張りには強いが、繊維と直角方向の引張りには弱く(強度に[[異方性]]がある)、通常は板状の繊維の層を、繊維方向が異なるように複数枚重ねることが行なわれる。このような単純な積層では、層同士の[[接着]]強度の不足が問題(層間剥離、デラミネーション)となるため、繊維層間を縫うステッチングや、繊維そのものの3次元化といった手法が開発されている。
 
繊維強化プラスチックFRPは、[[可塑性]]材と非可塑性材の利点を組み合わせて実用材として用いる点において、[[鉄筋コンクリート]]と同様である。こうした複合材料において、強化される側の部材を母材(マトリックス)と呼ぶ。繊維強化プラスチックの場合はプラスチック、繊維強化金属の場合は金属、鉄筋コンクリートの場合はコンクリートがそれぞれマトリックスとなる
 
繊維強化プラスチックFRPのマトリックスとしては、一般に、[[ポリエステル|不飽和ポリエステル]]等の[[熱硬化性樹脂]]を使用することが多い。[[エポキシ樹脂]]、[[ポリアミド樹脂]]、[[フェノール樹脂]]を使用する場合もある。[[メチルメタアクリレート]]などの熱可塑性樹脂を用いた'''繊維強化熱可塑性プラスチック''' (FRTP<ref>{{lang-en-short|fiber reinforced thermo plastics}}</ref>) もある。
 
成型方法としては、型に繊維骨材を敷き、硬化剤を混合した樹脂を脱泡しながら多重積層してゆく[[ハンドレイアップ]]法や[[スプレーアップ]]法のほか、あらかじめ骨材と樹脂を混合したシート状のものを金型で圧縮成型するSMCプレス法、[[射出成形|インジェクション]]成形の様に繊維を敷き詰めた合わせ型に樹脂を注入するRTM法、[[オートクレーブ]]で熱硬化性樹脂を硬化させて成形する方法がある。また、近年ではオートクレーブを使用しない[[脱オートクレーブ成形法]]も普及しつつある。
 
==種類==
;ガラス繊維強化プラスチック (GFRP, Glass-Fiber-Reinforced Plastics) - 比較的安価で、電波透過性に優れる。
主に繊維の種類により分類されるが、繊維の形状による分類もできる。また、使用する[[合成樹脂]]による分類もできる。
 
;ガラス繊維強化プラスチック (GFRP, Glass-Fiber-Reinforced Plastics)
:;ガラス長繊維マット強化熱可塑性プラスチック(GMT, Glass-Mat reinforced Thermoplastics) - ガラスの一種で、強度に優れ、自動車部品などに使用される。
:比較的安価で、電波透過性に優れる。
 
:;ガラス長繊維マット強化熱可塑性プラスチック(GMT, Glass-Mat reinforced Thermoplastics)
::ガラス[[炭素繊維強化プラスチック]](CFRP, Carbon-Fiber-Reinforced Plastics) - [[アルミニウム合金]]一種で、強度に優れ、自動車部品などに代替材料として使用される。
 
;[[炭素繊維強化プラスチック]](CFRP, Carbon-Fiber-Reinforced Plastics)
;[[ホウ素|ボロン]]繊維強化プラスチック (BFRP, Boron Fiber-Reinforced Plastics) - 強度、対弾丸性が大きく、軍事兵器などによく使用される。
:[[アルミニウム合金]]の代替材料として使用される。
 
;[[ホウ素|ボロン]]繊維強化プラスチック (BFRP, Boron Fiber-Reinforced Plastics)
;アラミド繊維強化プラスチック (AFRP, Aramid-Fiber-Reinforced Plastics) - アラミド繊維による強化で耐衝撃性に優れる。
:強度、対弾丸性が大きく、軍事兵器などによく使用される。
 
;アラミド繊維強化プラスチック (AFRP, Aramid-Fiber-Reinforced Plastics)
:ケブラー繊維強化プラスチック (KFRP, Kevlar-Fiber-Reinforced Plastics) - アラミド繊維の一種の[[デュポン]]社の[[ケブラー]]による強化で耐衝撃性に優れる。
 
:;ケブラー繊維強化プラスチック (KFRP, Kevlar-Fiber-Reinforced Plastics)
::アラミドダイニーマ繊維の一種の強化プラスチック (DFRP, Dyneema-Fiber-Reinforced Plastics) - [[デュ超高分子量リエチレ]]社の[[ケブラ|ダイニ]](現イザナス)による強化プラスチック耐衝撃高強度、熱伝導性に優れる。
 
;ダイニーマ繊維強化プラスチック (DFRP, Dyneema-Fiber-Reinforced Plastics)
:[[超高分子量ポリエザイロン強化プラスレン]]繊維であるック(ZFRP, Zylon-Fiber-Reinforced Plastics) - [[東洋紡]]の[[超高分子量ポリエチレザイロ|ダイニーマ]](現イザナス)による強化プラスチックで、きわめて強度、熱伝導と難燃にも優れがある。
 
;ザイロン強化プラスチック(ZFRP, Zylon-Fiber-Reinforced Plastics)
;[[液晶ポリマー]](LCP, liquid crystal polymer) - 射出成型でき、再利用できる。
:[[変性ポリフェニレンエーテル樹脂]]の一種である[[東洋紡]]の[[ザイロン]]による強化プラスチックで、きわめて高い強度と難燃性がある。
;[[液晶ポリマー]](LCP, liquid crystal polymer)
:射出成型でき、再利用できる。
 
==利点==