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*6.9578→{{val|6.9578}}(スペースを挿入しない)
ただし、製図や財務文書においては、桁を分けるのにスペースを用いないのが普通である<ref>[http://physics.nist.gov/Pubs/SP811/sec10.html Guide for the Use of the International System of Units (SI)]<blockquote>10.5.3 Grouping digits<br />Note: The practice of using a space to group digits is not usually followed in certain specialized applications, such as engineering drawings and financial statements.</blockquote></ref>。
 
== 割合の表現 ==
小数は、[[長さ]]や[[重さ]]といった細分できる量や、[[割合]]や[[平均]]を表現する際に用いられる。[[仮分数]]や[[帯分数]]では繁雑になる割合の表現が、小数では簡素化されるという長所を持つ。真分数の「[[1/2]]」「[[1/3]]」「[[3/4]]」「[[4/5]]」「[[8/9]]」といった表現は勿論だが、例えば「2倍半」「1と1/3」といった帯分数や、「8/3」「5/4」「9/5」といった仮分数が、小数を使うと「m倍と端数倍」として判り易い表現になる。
 
特に1倍(=同等量)を超える割合の表現は、例えば十進表記の仮分数で「11/4」「25/9」「8/5」、これらを帯分数に直すと「2と3/4」「2と7/9」「1と3/5」という言い方になるが、仮分数では「何倍と端数倍」なのかが判り難くなり、帯分数では括弧書きが増えて表記が繁雑になる。
 
;二分割(2{{sup|-1}})・四分割(2{{sup|-2}})・八分割(2{{sup|-3}})・十六分割(2{{sup|-4}})
 
例:三十六の「四分の十一」は九十九
*仮分数:十進表記:[[36]]の11/4は[[99]]。六進表記:100の15/4は243。十二進表記:30のB/4は83。二十進表記:1GのB/4は4J。
*帯分数:十進表記:36の「2と[[3/4]]」は99。六進表記:100の「2と3/4」は243。十二進表記:30の「2と3/4」は83。二十進表記:1Gの「2と3/4」は4J。
このように、仮分数では端数倍が判り難く、帯分数では括弧書きが増えて表記が繁雑になる。
 
しかし、これらの数式が、小数を使うと「n × 2'''.m''' = p」として表現できる。この場合は、基数の素因数に'''[[2]]'''が含まれていれば、有限小数として小数化できる。3/4は、[[十進法]]では (75/100){{sub|10}} なので「0.75」、[[六進法]]では (27/36){{sub|10}} = (43/100){{sub|6}} なので「0.43」となる。底が奇数の四倍である[[十二進法]]では「0.9」(十二分の九)、同じく[[二十進法]]では「0.F」(二十分の十五)となる。従って、「11/4」といった端数倍の判り難さや、「2と3/4」といった繁雑な表現が、十進法では「2.75」、六進法では「2.43」、十二進法では「2.9」、二十進法では「2.F」となり、簡素化されて表現できる。
 
この方法では、仮分数や帯分数となる「三十六の "四分の十一" は九十九」は、小数を使うと:
*十進表記:36×2.75 = 99。六進表記:100×2.43 = 243。十二進表記:30×2.9 = 83。二十進表記:1G×2.F = 4J。
のように簡素化される。
 
;三分割(3{{sup|-1}})・九分割(3{{sup|-2}})・二十七分割(3{{sup|-3}})
 
例:三十六の「九分の二十五」は百
*仮分数:十進表記:[[36]]の25/9は[[100]]。六進表記:100の41/13は244。十二進表記:30の21/9は84。二十進表記:1Gの15/9は50。
*帯分数:十進表記:36の「2と[[7/9]]」は100。六進表記:100の「2と11/13」は244。十二進表記:30の「2と7/9」は84。二十進表記:1Gの「2と7/9」は50。
 
この場合は、基数の素因数に'''[[3]]'''が含まれている場合は、有限小数として小数化できる。7/9は、六進法では (28/36){{sub|10}} = (44/100){{sub|6}} なので「0.44」となり、十二進法では (112/144){{sub|10}} = (94/100){{sub|12}} なので「0.94」となる。よって、「三十六の "九分の二十五" は百」は:
*六進表記:100×2.44 = 244。十二進表記:30×2.94 = 84。
となる。
 
;五分割(5{{sup|-1}})・二十五分割(5{{sup|-2}})
 
例:三百六十の「五分の八」は五百七十六
*仮分数:十進表記:[[360]]の8/5は[[576]]。六進表記:1400の12/5は2400。十二進表記:260の8/5は400。二十進表記:I0の8/5は18G。
*帯分数:十進表記:360の「1と[[3/5]]」は576。六進表記:1400の「1と3/5」は2400。十二進表記:260の「1と3/5」は400。二十進表記:I0の「1と3/5」は18G。
 
この場合は、基数の素因数に'''[[5]]'''が含まれている場合は、有限小数として小数化できる。3/5は、十進法では「0.6」(十分の六)、二十進法では「0.C」(二十分の十二)となる。よって、「三百六十の "五分の八" は五百七十六」は:
*十進表記:360×1.6 = 576。二十進表記:I0×1.C = 18G。
となる。
 
===使用例===
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=== 有限小数 ===
上に挙げた例のうち、円周率以外の小数は有限桁の数字で表現されている。このような小数は有限小数と呼ぶ。
 
分数を小数で表したとき有限小数になる既約分数の分母の数は、[[六進法]]と[[十二進法]]と[[十八進法]]では [[2]]<sup>''a''</sup> × [[3]]<sup>''b''</sup> の形になり、[[十進法]]と[[二十進法]]では 2<sup>''a''</sup> × [[5]]<sup>''b''</sup> の形になる(''a'', ''b'' は0以上の整数)。このときの具体的な分母の数は、{{OEIS|A003586}}(素因数が2と3)と {{OEIS|A003592}}(素因数が2と5)を参照のこと。
 
=== 無限小数 ===
有限小数では正確に表現できない数が存在する。そのような、無限桁の小数で表現したものを無限小数と呼ぶ。上に挙げた例では円周率は無限小数でなければ表現できないが、逆に無限小数を用いることによってどんな実数をも表現することができるようになる。殆どの場合に異なる無限小数表示は異なる実数を与えるが、[[六進法]]の 0.4555… や[[十進法]]の 0.4999… のように途中から「10 - 1」の数がずっと続くような表示は、「10 - 1」の数の列の直前の数字を1つ増やして、後は0を続けたものと同じ実数を与える(例えば、十進法の0.4999...と0.5000...は同じ実数を表していることに注意しなければならない)。この詳細は、「[[0.999...]]」も参照すること。
 
==== [[循環小数]] ====
[[八進法]]や[[九進法]]や[[十六進法]]のような「[[素因数]]が一つだけ」だと無限小数だらけになるので、無限小数を減らすには、素因数が複数になる「[[6|六]]の倍数」進法(素因数が[[2]]と[[3]])か「[[10|十]]の倍数」進法(素因数が2と[[5]])のどれかを採用することになる。「素因数が一つだけ」と「素因数が複数」がどう異なるかは、「[[位取り記数法#可分性]]」も参照すること。
無限小数のうち、同じ形の数字の列が無限に繰り返される類を'''[[循環小数]]'''と呼ぶ。循環小数は繰り返す部分を指定することで表記する。正式な記法は
 
==== [[循環小数]] ====
無限小数のうち、同じ形の数字の列が無限に繰り返される類を'''[[循環小数]]'''と呼ぶ。循環小数は繰り返す部分を指定することで表記する。正式な記法は
: <math>0.249724972497\cdots = 0.\dot{2}49\dot{7}</math>
のように、繰り返す部分の始めと終わりにドットを書く。小数第二位以降から繰り返しが始まる場合も
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このような小数で表される数は、数学的な分類としては[[無理数]]となる。
 
===小数の図式化===
有限小数と循環小数を図形記号で示すと、以下のようになる。◎を零、▲を整数第一位、●を整数第二位、◆を整数第三位とする。
 
; 有限小数の例
* [[六進法]] 1/3 = 0.2
** ● = ▲▲▲▲▲▲
*** 三分割すると、▲▲ ▲▲ ▲▲ → よって、1/3 = 0.2 となり割り切れる。
* [[十二進法]] 1/9 = 0.14
** ● = ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲
*** 第一桁:▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ + ▲▲▲ → ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ が「▲」個で、▲▲▲個余る。
** ●●● = ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲
*** 第二桁:▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲<br>   → ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲が「▲▲▲▲」個で余り無し。
**以上より、「▲|▲▲▲▲」となって割り切れ、1/9 = 0.14 となる。
* 六進法 1/43 = 0.012(1/3{{sup|3}}、十進換算で1/27)
** ● = ▲▲▲▲▲▲
*** 第一桁では収まらない → 「◎」
** ◆ = ●●●●●● = ●●●● ▲▲▲ + ▲▲▲ ●
*** 第二桁:●●●● ▲▲▲ + ▲▲▲ ● = → ●●●● ▲▲▲ が「▲」個で、● ▲▲▲個余る。
** ● ▲▲▲ × ▲▲▲▲▲▲ = ◆ ●●● ◎
*** ◆ ●●● ◎ = ●●●●●● ●●● = ●●●● ●●●● ▲▲▲ ▲▲▲
*** 第三桁:◆ ●●● ◎ = ●●●● と ▲▲▲ が「▲▲」個で、余り無し。
** 以上より、「◎|▲|▲▲」となって割り切れ、1/43 = 0.012 となる。
* [[二十進法]] 1/2A = 0.08(1/2×5{{sup|2}}、十進換算で1/50)
** ● = ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲
*** 第一桁では収まらない → 「◎」
** ◆ = ●●●●● ●●●●● ●●●●● ●●●●●
*** ●●●●● = ●●●● ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲
*** ◆ = ●●●● ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ <br>   ●●●● ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ <br>   ●●●● ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ <br>   ●●●● ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲
*** 第二桁:◆ = ●● と ▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲が「▲▲▲▲▲▲▲▲」個で、余り無し。
**以上より、「◎|▲▲▲▲▲▲▲▲」となって割り切れ、1/2A = 0.08 となる。
 
; 循環小数の例
* [[十進法]] 1/3 = 0.3333…
** ● = ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
*** 第一桁:▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ + ▲ → ▲▲▲が「▲▲▲」個で、▲個余る。
** ● = ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
*** 第二桁:▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ + ▲ → ▲▲▲ が「▲▲▲」個で、▲個余る。
** ● = ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
*** 第三桁:▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ + ▲ → ▲▲▲ が「▲▲▲」個で、▲個余る。
** ● = ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
*** 第四桁:▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ + ▲ → ▲▲▲ が「▲▲▲」個で、▲個余る。
**以上より、「▲▲▲ が『▲▲▲』個で、▲個余る」を無限に繰り返し、「▲▲▲|▲▲▲|▲▲▲|▲▲▲|…」になってしまう。これが、十進法では 1/3 = 0.3333… となり割り切れない仕組みである。
 
* [[十六進法]] 1/5 = 0.3333…
** ● = ▲▲▲▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲▲▲▲
*** 第一桁:▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ + ▲ → ▲▲▲▲▲が「▲▲▲」個で、▲個余る。
** ● = ▲▲▲▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲▲▲▲
*** 第二桁:▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ + ▲ → ▲▲▲▲▲が「▲▲▲」個で、▲個余る。
** ● = ▲▲▲▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲▲▲▲
*** 第三桁:▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ + ▲ → ▲▲▲▲▲が「▲▲▲」個で、▲個余る。
** ● = ▲▲▲▲▲▲▲▲ ▲▲▲▲▲▲▲▲
*** 第四桁:▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ ▲▲▲ + ▲ → ▲▲▲▲▲が「▲▲▲」個で、▲個余る。
**以上より、「▲▲▲▲▲が『▲▲▲』個で、▲個余る」を無限に繰り返し、「▲▲▲|▲▲▲|▲▲▲|▲▲▲|…」になってしまう。これが、十六進法では 1/5 = 0.3333… となり割り切れない仕組みである。
 
=== 進んだ注意 ===
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現代の小数と同じ[[十進法]]における小数は、記録に残る所では古代中国が最古である。[[劉徽]]は[[263年]]に[[九章算術]]という数学書の注釈本を著していて、現代のアラビア数字表記での8.660254寸を「八寸六分六釐二秒五忽、五分忽之二」と書いている(小数第6位を表す単位が無いため、分数との併記になっている)。しかしこの時代の[[分 (数)|分]]はあくまで計量単位で『(長さの場合は常に)寸の1/10』を表しているのであり、現代的な無名数の小数が成立するのはもっと後の時代になる。{{See also|漢数字#小数}}
 
現代の数学の系譜であるヨーロッパの数学においては、小数の導入は遅れた。これは[[エジプト式分数]]表記が普及していたためである。ヨーロッパで初めて小数を提唱したのは、オランダの[[シモン・ステヴィン]]である。[[1585年]]に出版した「十進分数論」の中で、初めて小数を発表した。その名が示す通り、分数の分母を[[10|十]]の累乗に固定した場合に計算が非常にやりやすくなると主張し、それが小数の発明となった。しかし、[[奇数]]では[[5|五]]よりも[[3|三]]の方が小さくて頻度が高いにも拘らず、ステヴィンは「"[[1/3|三分の一]]"が割り切れること」の重要性を理解しておらず、「[[1/2|二分の一]]」「三分の一」「[[1/4|四分の一]]」「[[1/9|九分の一]]」の全てが割り切れる[[6|六]]の累乗や[[12|十二]]の累乗を軽視している
 
ないなお、ステヴィンの提唱した小数の表記法は、現代の「0.135」であれば、これを「1①3②5③」と表記する。現代のような小数点による表記となったのは、20年ほど後に[[ジョン・ネイピア]]の提唱による。
 
== 出典 ==