「記号学」の版間の差分

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記号学の初出が一般言語学講義である旨、概要に記載。
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</ref>。
 
[[チャールズ・サンダース・パース]]が提唱した[[記号論]](semiotics)と呼ばれる類似した分野もあるが<ref>パースの記号論において、記号は物理的指示作用と図像的表示能力をもつとし、さらにこの二つの作用の総合として[[象徴]]作用という第三の意味作用が生じると考える。パースは記号のこのような三つの意味の差異を<インデックス><アイコン><シンボル>と呼び分ける。記号とは常に低次の意味作用から高次のものへと発展する、記号は時間の中にある、と考える。
</ref>、こちらはパースによる記号の三区分(表現、内容、指示対象)に基づいており、ふつう記号学とは区別されることが多い<ref>[[フェルディナン・ド・ソシュール|ソシュール]]は記号学(''semiology'')と呼び、[[チャールズ・サンダース・パース|パース]]は記号論(''semiotics'')と呼んだ。それぞれの流れにあるものを区別したい場合など、使い分ける場合も多いが、総論的な文脈では(たとえば、この記事において記事名を「記号学」としているように)どちらかに片寄せする場合も多い。
</ref><ref>代表的な記号論者としては、[[ウンベルト・エーコ]]が挙げられる。</ref>。
 
== 概要 ==
1907年からの[[フェルディナン・ド・ソシュール]]によるジュネーブ大学における「一般言語学」の講義は<ref>[[ジュネーブ大学]]において1906年12月8日の大学当局の決定で「一般言語学」の講義を前任者から渋々引き継ぐことになった[[フェルディナン・ド・ソシュール]]が、前任者の退職にともなって閉じられていた講義を再開したのは1907年1月16日であり、ソシュールが講義のために準備できた時間はひと月もなかった。また、対象となる学生も、言語学専攻の学生ではなかった。
{{出典の明記|date=2015年10月20日 (火) 18:59 (UTC)|section=1}}
* {{cite book | 和書 | title=ソシュール講義録注解 | author=フェルディナン・ド・ソシュール | editor=前田 英樹(訳・注) | series=叢書・ウニベルシタス | publisher=法政大学出版局 | year=1991 }} p.vii
=== ソシュール ===
</ref>、彼の死後の1916年に彼の弟子たち、言語学的文体論を開拓した[[シャルル・バイイ]]と統辞論に関心を向けた[[アルベール・セシュエ]]<ref>{{cite book | 和書 | title=現代言語学とソシュール理論 | editor=谷口 勇(訳) | author=H. A. スリュサレーヴァ | publisher=而立書房 | year=1979 | ref=スリュサレーヴァ(1975) }} p.35</ref>、によってまとめられ『一般言語学講義』の題で刊行されたが、バイイとセシュエの編纂方針は、ソシュールの講義の意図を汲み取った上で、講義全体を新たな文章で書き下ろすという大胆なものであった。
{{Main|フェルディナン・ド・ソシュール}}
記号学や記号論が記号に関する学問というのは間違いではないが、特にソシュールの記号学においては記号とその記号の体系、そしてその解釈、生成を行う主体に関する学問であり、その解釈における[[イデオロギー]]やシステムを問題にする批評理論とも結びつきが強い。
 
そのような編纂方法であったことから、主張内容が必ずしもソシュールによるものではないという批判があるものの、その講義録の中で提唱された意味の一般学が'''記号学'''(la sémiologie)である。
=== パース ===
{{Main|チャールズ・サンダース・パース}}
それに対してパースのほうは、記号は物理的指示作用と図像的表示能力をもつとし、さらにこの二つの作用の総合として[[象徴]]作用という第三の意味作用が生じると考える。パースは記号のこのような三つの意味の差異を<インデックス><アイコン><シンボル>と呼び分ける。記号とは常に低次の意味作用から高次のものへと発展する、記号は時間の中にある、と考える。
 
== 脚注 ==