「野良犬 (1949年の映画)」の版間の差分

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『'''野良犬'''』(のらいぬ)は、[[1949年]](昭和24年)[[10月17日]]公開の[[日本映画]]である。[[新東宝]]・[[映画芸術協会]]製作、[[東宝]]配給。監督は[[黒澤明]]、主演は[[三船敏郎]]。[[モノクローム|モノクロ]]、[[画面アスペクト比|スタンダード]]、122分。
 
終戦直後の[[東京]]を舞台に、[[拳銃]]を盗まれた若い[[刑事]]がベテラン刑事と共に犯人を追い求める姿を描いた、黒澤監督初の[[犯罪]][[サスペンス映画]]である。[[東宝争議]]の影響で[[東宝]]を離れていた黒澤が他社で撮った作品の1本である。第23回[[キネマ旬報ベスト・テン]]第3位。昭和24年度[[芸術祭 (文化庁)|芸術祭賞]]。
 
== あらすじ ==
 
ある猛暑の日、村上刑事は[[射撃]]訓練からの帰途のバス中で隣に立った女性に[[コルト・ベスト・ポケット|コルト式自動拳銃]]を掏られ、犯人を追うも見失ってしまう。拳銃の中には7発の銃弾が残っていたため、事件が起きるのではないかと彼は焦り戸惑う。村上は上司の中島[[警部]]の助言で、[[スリ]]係の市川刑事に相談し、鑑識手口カードを調べるうちに女スリのお銀に目星を付ける。村上はお銀のもとを訪ねるも、彼女はシラを切るばかり。そこで村上は彼女を執拗に追い回し、拳銃がもう手元に無いなら、せめてヒントだけでもと懇願を続けた。とうとう観念したお銀は、場末の盛り場で食い詰めた風体でうろついているとピストル屋が袖を引くというヒントを与える。
 
ピストルを探すため[[復員兵]]姿で[[闇市]]を歩く村上は、ついにピストルの闇取引の現場を突き止め、ピストル屋のヒモの女を確保するが、先に女を捕まえたためピストルを渡しに来た売人の男に逃げられてしまう。そこへ[[淀橋]]で強盗傷害事件が発生し、その銃弾を調べると村上のコルトが使われたと分かった。責任を感じた村上は辞表を提出するが、中島警部はそれを引き裂き「君の不運は君のチャンスだ」と叱咤激励する。村上は淀橋署のベテラン刑事佐藤と組み捜査を行うことになった。
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ついに村上のコルトで強盗殺人事件が発生、夫が出張した留守宅の妻が犠牲となった。帰宅して死体を発見し、慟哭する夫に、捜査員たちはかける言葉を失い、犯人への憤りを募らせる。まだピストルには弾が5発残っている。二人はハルミのアパートへ向かい、村上はハルミが遊佐について白状するのを待つ。佐藤は部屋にあった「あづまホテル」のマッチを手掛かりに単独で遊佐の姿を追い、彼が宿泊する弥生ホテルに辿り着く。佐藤はホテルのロビーからハルミ宅にいる村上に電話をかけようとするが、捜査の手が伸びてきたことに気付いた遊佐の凶弾に倒れてしまう。ハルミと村上は受話器越しに2発の銃声を聞き、村上は絶叫する。遊佐はそのまま雨が降る中を逃走した。
 
翌朝、[[警察病院]]で佐藤の回復を待つ村上の元にハルミがやって来て、遊佐が午前6時に大原駅(架空の駅){{Refnest|group="注釈"|大原駅のシーンは、[[西武池袋線]]の[[大泉学園駅]]で撮影された<ref>[[#小学館2011|小学館2011]]、p.14</ref>}}で待っていることを告げる。村上は駅へ駆け付け、待合室の人々の中から泥だらけの靴を履いた男、すなわち遊佐を探し出す。村上と目が合った遊佐は逃亡、それを追いかけ、雑木林の中で格闘を繰り広げる。1発の銃弾が村上の左腕を射抜き、残りの2発は外れ、弾丸はなくなった。力尽きた遊佐に村上は手錠をかける。罪を悔いてか、やるせない思いからか、遊佐は絶叫し、悶絶する。その側を登校する子供たちが「[[ちょうちょう (唱歌)#唱歌「蝶々」|蝶々]]」を歌いながら通っていくのだった。
 
数日後、病室の佐藤を訪れた村上は、遊佐の行状を他人事とは思えないと述懐する。それに対して佐藤は、この町では犯罪は毎日のように起きており、遊佐のことなどいずれ忘れるだろうと諭すのだった。