「飯田市立図書館」の版間の差分

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中央図書館を中心に加筆。
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|正式名称 = 飯田市立図書館
|愛称 =
|前身 = 市立飯田図書館、町立鼎図書館、町立上郷図書館など
|専門分野 = 総合
|事業主体 = [[飯田市]]
|管理運営 = 飯田市教育委員会<ref name="ssz">{{cite web|url=https://www.city.iida.lg.jp/uploaded/attachment/39297.pdf|title=飯田市行政組織機構図(その2)(教育委員会・広域連合ほか(H31.4))|date=2019-04|accessdate=2019-05-18}}</ref>
|建物設計 =
|延床面積 = 5,346.42<ref name="tg">{{cite web|url=http://www.iida.nanshin-lib.jp/cmsfiles/contents/0000000/639/H30gaiyou.pdf|title=平成30年度図書館概要|editor=飯田市立中央図書館 編|publisher=飯田市立中央図書館|date=2018-06|accessdate=2019-0506-1205}}</ref>
|開館 = [[1901年]](明治34年)<ref name="tg"/>
|閉館 =
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=== 本館・分館体制(1956-1993) ===
[[1956年]](昭和31年)[[9月30日]]には飯田市が[[座光寺村]]・[[松尾村 (長野県)|松尾村]]・[[竜丘村]]・[[三穂村]]・[[伊賀良村]]・[[山本村 (長野県)|山本村]]・[[下久堅村]]と合併して、新・飯田市となったことに伴い、市立飯田図書館を本館、旧7村が設置していた公民館図書室を飯田図書館の分館とする複数館体制に移行した<ref name="tg"/>。公民館図書室から飯田図書館分室へと移行した旧7村では、職員の異動も発生し、図書室を拠点に活動していた女性の学習活動を動揺させた{{sfn|小川・寺﨑・平原 編|2001|p=219}}。その後、飯田市域の拡張に応じて分館を増やしていき、旧飯田町・上飯田町内でも分館・分室を整備していった<ref name="tg"/>。また児童奉仕の重視が運営方針に掲げられ、[[19781972年]](昭和5347)7月モデル分館事業飯伊子どもの本研究会が飯田図書館飯田下伊那の学校教師によっ設立された{{sfn|斉藤|1987|p=67}}。研究会員の一部の分館での児童向けは身近土曜日に特別貸出開始す借りられなど利便性向環境を整えることが大事であると考え、独自の文庫を立ちげ、最盛期取り組み[[1979年]](昭和54年)には飯田市内に20開始の文庫が存在した<ref name{{sfn|斉藤|1987|p="tg"/>67}}
 
[[ファイル:飯田文化会館と飯田人形劇場 2014.9.09 - Panoramio 111922263.jpg|thumb|仮館が置かれた飯田文化会館]]
[[1974年]](昭和49年)[[2月27日]]に新館が竣工し、児童室・婦人文庫室・会議室を設けた<ref name="tg"/>。[[1978年]](昭和53年)には「モデル分館事業」として方、部の分館で児童向けに土曜日に特別貸出を開始した<ref name="tg"/>。本館は老朽化したため、[[1979年]](昭和54年)[[10月28日]]に一旦閉館、[[1980年]](昭和55年)[[3月18日]]に取り壊して改築工事に取り掛かり、[[1981年]](昭和56年)[[5月15日]]に完成した<ref name="tg"/>。改築工事中、1980年(昭和55年)[[1月8日]]に飯田文化会館で仮開館を実施し、飯田市公民館図書室で土曜貸出を行っていた<ref name="tg"/>。1981年(昭和56年)[[7月3日]]、竣工式を挙行し、[[7月5日]]に新館が開館した<ref name="tg"/>。飯田図書館の歴史上、初めて図書館のために建設された建物であった{{sfn|斉藤|1987|p=68}}。職員は7人となりほとんどが[[司書]]資格を有し、専任の館長も着任した{{sfn|斉藤|1987|p=68}}。新事業として[[1983年]](昭和58年)に保健課と連携し、7か月乳児相談の際に絵本の読み聞かせを開始し、[[1991年]](平成3年)[[6月15日]]に[[ヤングアダルト]]コーナーを設置した<ref name="tg"/>。乳児への読み聞かせは、全乳児の3分の2ほどが受けていた{{sfn|斉藤|1987|p=69}}
 
[[1984年]](昭和59年)[[12月1日]]、[[鼎町]]と合併したことにより、町立鼎図書館を飯田図書館鼎分館とした<ref name="tg"/>。
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}}
'''飯田市立中央図書館'''(いいだしりつちゅうおうとしょかん)は、長野県飯田市追手町二丁目にある公立図書館。[[1901年]](明治34年)に飯田町同窓会が飯田藩主堀氏の蔵書を基礎とする飯田文庫として創設し、[[1915年]](大正4年)に公立化、[[1993年]](平成5年)より中央図書館を名乗っている<ref name="tg"/>。地域館・分館の活動・連携拠点として位置付けられており、[[郷土資料]]の収集を重視する<ref name="bk82c"/>。また、読書会、文学連続講座、[[ジョブカフェ]]など多彩な行事を月に数回開催している{{sfn|宮下明彦|2013|p=122}}。
 
[[飯田城 (信濃国)|飯田城]]跡にある図書館の建物は1981年(昭和56年)に竣工したもので、鉄筋コンクリート構造3階建、外壁は[[煉瓦]]造りで、[[切妻屋根]]である{{sfn|今村|1991|p=91}}。1階と中2階に一般開架と児童開架、2階に郷土資料、3階に書庫を配置する{{sfn|今村|1991|p=91}}。
 
<gallery>
ファイル:Iida City Central Library interior 1F ac (3).jpg|1階(一般開架)
ファイル:Iida City Central Library interior 2F ac (3).jpg|2階(郷土資料)
</gallery>
 
=== 特色 ===
中央図書館では、集会文化事業としてさまざまな行事を開催しており、それらは市民参加・市民協同型の事業として、長野県の図書館界では[[上田情報ライブラリー]]と双璧を成すものとされる{{sfn|宮下明彦|2013|p=122}}。宮下明彦は「飯田の地熱のような[[民度]]の高さを感じます」と評している{{sfn|宮下明彦|2013|p=122}}。
 
==== 児童サービス ====
[[1959年]](昭和34年)時点で児童室を設置するなど、中央図書館の児童サービスの歴史は長い{{sfn|斉藤|1987|p=66}}。当時の児童室では[[岩波少年文庫]]などを所蔵していたが、日本の児童書刊行数そのものが少なく、[[絵本]]は特に少なかったという{{sfn|斉藤|1987|p=66}}。読書会活動が盛んであった飯田市では、児童の読書熱も高く、小学校高学年が読むレベルの『[[ドリトル先生シリーズ]]』を中学年の児童が借りていくほどで、書架の本はほぼ貸し出され、ぼろぼろになった本だけが残っているという状態であった{{sfn|斉藤|1987|p=66}}。
 
その後、児童書刊行数の増加と子供を持つ図書館員の増加による児童書の効用の認識の高まりにより、児童奉仕に力を入れることが運営方針に加えられた{{sfn|斉藤|1987|pp=66-67}}。1972年(昭和47年)7月には「飯伊子どもの本研究会」が設立され、[[椋鳩十]]・代田昇の講演を開いたり、実践例を披露しながら意見交換をしたりするなど活発に活動した{{sfn|斉藤|1987|p=67}}。この研究会は当初、図書館員と教員による組織であったが、後に子供を持つ母親主体となって{{sfn|斉藤|1987|p=67}}、2019年(平成31年/令和元年)現在も活動を続けている<ref name="tg"/>。
 
1981年(昭和56年)の改築に伴って、児童の貸出実績は改築前の2.5倍に跳ね上がったものの、[[1982年]](昭和57年)を頂点に減少傾向が見られ、当時の図書館員は、[[少子化]]、[[ファミリーコンピュータ]]の普及、塾通いの増加、新規入荷に占める複本の比率上昇、小中学校の読書教育の不振を理由に挙げた{{sfn|斉藤|1987|p=68}}。児童担当職員はいるものの、基本的には全職員が児童奉仕に従事する体制で、[[読み聞かせ]]やお楽しみ会なども全職員で担当した{{sfn|斉藤|1987|pp=68-69}}。
 
2018年(平成30年)現在、児童向けサービスとしてお楽しみ会などの各種行事、[[ブックスタート]]、幼稚園・保育所・小学校との連携事業(読み聞かせ、図書館の利用体験など)を行っている<ref name="tg"/>。地域館や分館でも児童サービスは行われており、取り組み内容によっては地域館の方が中央図書館よりも活発に行われている<ref name="tg"/>。
 
==== ビジネス支援 ====
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  ''詳細は飯田市立図書館「[http://www.iida.nanshin-lib.jp/category/1-6-0-0-0.html 貴重資料の紹介]」を参照。''
 
歴史の長い中央図書館は数多くの貴重資料を保有し、2011年(平成23年)時点で約3万冊に上る{{sfn|宮下明彦|2013|p=122}}。これらの貴重書は原則、一般公開するものという位置付けである{{sfn|今村|1991|p=91}}。特に「堀家所蔵古書」(堀家蔵書)は飯田文庫として開館して以来所蔵する貴重書群であり、中央図書館の蔵書の中心的な存在である<ref name="hb"/>。特に[[太宰春台]]と福住清風の著書を求めて来館する[[研究者]]が多い{{sfn|今村|1991|p=91}}。堀家所蔵古書のうち、[[日本文学]]関係の資料はほとんどが『[[国書総目録]]』に収録されており、[[国文学研究資料館]]が[[マイクロフィルム]]で保管している{{sfn|今村|1991|p=91}}。以下にその[[コレクション]]の一覧を示す<ref name="tg"/>。
{| class="wikitable sortable" style="text-align:center; font-size:90%"
|+
158 ⟶ 174行目:
|青年運動史関係資料||||『下伊那青年運動史』編纂の元となった資料群。
|-
|自由大学関係資料||||「伊那自由大学」の講義ノート、テキスト、[[新聞]]記事等。
|-
|鉄斎資料||||飯田鉄斎愛好会が寄贈した[[富岡鉄斎]]の図書、書、画、[[拓本]]。
174 ⟶ 190行目:
|木下農業関係資料||||飯田市民・木下氏寄贈の[[農業]]・[[園芸]]資料。
|-
|横田文子資料||||作家・横田文子が創刊した[[雑誌]]と関係雑誌類。
|-
|古島文庫||757||農業史学者・[[古島敏雄]]の著書。古島の死後、[[東京大学]]から寄贈された。
188 ⟶ 204行目:
|武部善人氏寄贈資料||||[[経済史]]学者・武部善人執筆の産業経済書・[[歌集]]。
|}
貴重このほか、[[自由民権運動]]研究に多用される「深山自由新聞」{{#tag:ref|中央図館で18部所蔵するほかは、[[東京大学大学院法学政治学研究科・法学部|東京大学法学部]]が1部コレクション保管するだけのみなくある{{sfn|今村|1991|p=92}}。|group="注"}}青年運動・[[社会運動]]研究に利用される「政治と青年」{{#tag:ref|中央図書館で所蔵するのは複製物であり、原本は[[法政大学大原社会問題研究所]]が保管する{{sfn|今村|1991|p=92}}。|group="注"}}といった郷土で発行された新聞・雑誌をも多く所蔵する{{sfn|今村|1991|p=92}}。2009年(平成21年)・2010年(平成22年)度に[[光学式文字読取装置]](OCR)を用いて[[地方紙]]「[[南信州新聞]]」と「[[信州日報]]」をデジタル化し、記事検索を可能とした{{sfn|宮下明彦|2013|p=124}}。地方紙は利用頻度が高く傷みやすいことからデジタル化が行われ、長野県の[[緊急雇用創出事業]]補助金が活用された{{sfn|瀧本|2016|p=47}}。
{{clear}}
 
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== 参考文献 ==
* {{cite journal|和書|author=今村兼義|title=文書館・史料館めぐり35 市立飯田図書館|journal=[[日本歴史]]|publisher=[[吉川弘文館]]|issue=522|page=91-92|date=1991-11-01|ref={{sfnref|今村|1991}}}}
* {{cite journal|和書|author=奥泉和久・小黒浩司|title=戦後復興期における上郷図書館の民主化運動をめぐって|journal=図書館界|publisher=日本図書館研究会|volume=55|issue=3|date=2003-09|page=158-167|naid=110007985368|ref={{sfnref|奥泉・小黒|2003}}}}
* {{cite book|和書|author=是枝英子|title=知恵の樹を育てる 信州上郷図書館物語|publisher=[[大月書店]]|date=1983-10-28|page=203|ref={{sfnref|是枝|1983}}}}{{全国書誌番号|84012225}}
* {{cite journal|和書|author=斉藤俊江|title=伊那谷に読書の灯を!―飯田市立図書館の児童奉仕のあゆみ―|journal=みんなの図書館|publisher=図書館問題研究会|issue=123|page=66-73|date=1987-08|naid=40004166057|ref={{sfnref|斉藤|1987}}}}
* {{cite book|和書|author=瀧本明子|title=2015年度(平成27年度)公立図書館における課題解決支援サービスに関する報告書|publisher=全国公共図書館協議会|chapter=飯田市立中央図書館におけるビジネス支援サービスの取組|page=46-47|date=2016-03-31|ref={{sfnref|瀧本|2016}}}}{{全国書誌番号|22730037}}
* {{cite book|和書|author=丸山信|title=長野県の図書館|series=県別図書館案内シリーズ|publisher=[[三一書房]]|date=1998年3月31日|page=278|ISBN=4-380-98223-8|ref={{SfnRef|丸山|1998}}}}