「Vフォー・ヴェンデッタ」の版間の差分

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{{Otheruses|アメリカンコミック|2006年『Vフォー・ヴェンデッタ』|実写映画版の『Vフォー・ヴェンデッタ』|Vフォー・ヴェンデッタ (映画)}}
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{{出典の明記|date=2018-12-03}}
<!--Wikipedia:WikiProject Comics-->
『'''Vフォー・ヴェンデッタ'''』 (V for Vendetta) は、[[アラン・ムーア]]がストーリーを担当し、デヴィッド・ロイドがアートを(ほぼ全て)担当した[[漫画|コミック]]作品。
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陰惨な近未来の[[イギリス]]の社会を舞台に、[[全体主義]]の政府を破壊するために暗躍する1人の[[アナーキスト]]"V"と、彼に人生を左右される人々の姿を描いている。タイトルは、「VはVendetta(復讐)のV」の意味。
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なお、テレビドラマ『[[V (テレビドラマ)|V]]』とは無関係である。
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== 漫画作品 ==
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; ウォリアー (漫画)([[:en:Warrior (comics)|Warrior (comics)]])
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: Vのデビュー作。
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| publisher = {{仮リンク|クオリティ・コミュニケーションズ|en|Quality Communications}}<br/>[[DCコミックス]]
| date = [[1982年]]3月 - 1989年5月
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| issues = 10
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| writers = [[アラン・ムーア]]
| artists = {{仮リンク|デヴィッド・ロイド|en|David Lloyd (comics)}}<br/>トニー・ウィア
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| letterers = スティーブ・クラドック
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| editors = デズ・スキン<br/>カレン・ベルガー<br/>スコット・ニーバッケン
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『'''Vフォー・ヴェンデッタ'''』 (V for Vendetta) は、[[アラン・ムーア]]がストーリーを担当し、デヴィッド・ロイドがアートを(ほぼ全て)担当した[[漫画|アメリカン・コミック]]作品。陰惨な近未来の[[イギリス]]の社会を舞台に、[[全体主義]]の政府を破壊するために暗躍する1人の[[アナーキスト]]"V"と、彼に人生を左右される人々の姿を描いている
 
== 刊行の歴史 ==
『Vフォー・ヴェンデッタ』は当初、イギリスのコミック雑誌『ウォリアー』(''[[:en:Warrior (comics)|Warrior (comics)]]'')に1982年から1985年にかけて白黒の作品として連載された。なお、ムーアの初期の代表作『マーベルマン(ミラクルマン)』も同時期に連載されている。『Vフォー・ヴェンデッタ』というタイトルは編集長のデズ・スキンがつけたものだという。タイトルは「VはVendetta(復讐)のV」の意味。また主人公の"V"の外見は、近代的な警察官の制服をもとにしたデザインが予定されていたが、ロイドの発案により現代版の[[ガイ・フォークス]]という姿になった。
 
シリーズの連載中に『ウォリアー』は1985年に廃刊になったものの、1988年に[[DCコミックス]]から今までの話がカラーとなって復刊され、さらに残りの話が追加されて全10巻のミニ・シリーズとなってストーリーは完結を迎えることとなった。現在では2つの短編とともに一冊にまとめられて出版されている。1970年代後期から1980年代にかけてのイギリスでは、[[冷戦]]や[[マーガレット・サッチャー|サッチャー]]政権による不況の影響から全体主義をテーマにしたコミックが数多く生まれており、前述の『マーベルマン』や『ジャッジ・ドレッド』などもそれに含まれる。
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== ストーリー ==
;=== 第1部 EUROPE AFTER THE REIGN ===
: 1997年11月5日([[ガイ・フォークス|ガイ・フォークス・ナイト]])の[[ロンドン]]。生活苦のため[[売春]]をしようとした若き少女イヴィー・ハモンド(Evey Hammond)は、秘密警察のメンバーに声をかけたことから彼らに暴行されそうになる。しかしそこに仮面をつけた謎の男"V"が現れ、彼女を救出する。そして"V"は国会議事堂を盛大に爆破したあと、イヴィーを彼の隠れ家「シャドウ・ギャラリー」へと迎え入れる。そこで彼女は自分の過去を語り、核戦争のあとに父親が警察に連行され、いかに暮らしが苦しいものになったかを述べるのだった。
: 一方、政府内では、議事堂の爆破事件の調査がエドワード・フィンチという刑事と、彼の相棒ドミニクに任される。フィンチは腐敗した政権において、権力欲のためではなく秩序を愛する気持ちから政府に仕えている希有な人間だった。そして彼を通じて政権内のさまざまな人間が紹介されていく。また政府のリーダーであるアダム・スーザンが、全てを統括するコンピューター・システム「フェイト(Fate)」に異常なほど没頭する人物であることが明らかにされる。
: 次に裁判所を爆破した"V"は、政府の[[プロパガンダ]]放送のナレーターを務めるルイス・プロセローを誘拐し、強制収容所のセットを用いて彼を狂気に追い込む。それから"V"は政府お抱えの聖職者であるリリマン主教、女医のデリア・サリッジを毒殺する。サリッジの手記を調査したフィンチは、3人の犠牲者が過去に同じ強制収容所で働いていたこと、そして彼らのほかにも、その収容所で働いていた者たちはすべて"V"の復讐によって死んでいるらしいことを知る。またサリッジの手記からは、"V"が強制収容所の唯一の生存者であること、彼の経歴は全くの謎であること、彼が人体実験を施され、その結果として今の人格と才能を備えるようになったらしいことが判明するのだった。
;=== 第2部 THIS VICIOUS CABARET ===
: イヴィーは"V"に強く惹かれる一方で、彼の破壊的な手段などに疑念を抱くようになっていた。そしてある日、彼女は突然「シャドウ・ギャラリー」の外に連れ出され、"V"に見捨てられてしまう。その後、"V"は政府の放送センターに侵入する。彼はイギリス国民に向かって放送を行い、政府に束縛されず自らの意思で生きるように訴えかけるのだった。放送室を警察に囲まれながらも彼は脱出に成功し、フィンチは彼の調査から外される結果となる
: その後、"V"は政府の放送センターに侵入する。彼はイギリス国民に向かって放送を行い、政府に束縛されず自らの意思で生きるように訴えかけるのだった。放送室を警察に囲まれながらも彼は脱出に成功し、フィンチは彼の調査から外される結果となる。
: 数か月後。イヴィーはゴードンという男性と出会い、共に暮らしていた。そしてゴードンと足を運んだナイトクラブで、彼女はローズという女性を知る。秘密警察のトップだったローズの夫は、サリッジの家で"V"に殺されたのだ。彼の死後ローズは生活苦から、クラブのダンサーとして暮らすことになり、政府に対して強い怒りを感じるようになっていた。またローズの夫の後任となったクリーディは闇社会にも支配力を持つ人物で、"V"の起こす争乱を利用してクーデターを起こし、自らが政府のリーダーになろうと画策していた。
: トラブルに巻き込まれ、クリーディの部下によって殺害されるゴードン。イヴィーは銃をとって復讐を遂げようとするものの、その前に警察に捕まってしまう。彼女は独房に入れられ、頭を丸刈りにされて厳しい[[拷問]]を受けるが、独房に隠されていた手記によって勇気づけられる。手記はヴァレリーという名の女優によるもので、彼女は同性愛者だったために同じ独房に入れられ、処刑されたのだった。イヴィーは処刑されたくなければ政府に協力するように告げられるが、彼女はこれを拒否する。その瞬間、彼女は自分が解放されたことに気づく。
: 実は拷問は"V"の手によるもので、自分が受けたものと同じような経験を彼女にさせることで、イヴィーの精神を鍛え上げようとしたのだった。またヴァレリーが実在の人物で、強制収容所で彼の隣の独房に監禁されていた女性であり、イヴィーが読んだ手記も本物であることを"V"は告げる。彼の仕打ちに最初は怒りを感じていたイヴィーも、自分の精神が社会の束縛から自由になったことを感じとり、やがて"V"に感謝するのだった。
;=== 第3部 THE LAND OF DO-AS-YOU-PLEASE ===
: 1998年11月5日。"V"は政府の諜報施設を次々に爆破する。これをきっかけにロンドンでは暴動が頻発するが、これは彼の最終的な目的ではなく、ただの混沌状態であり、この後に自主的な秩序としてのアナーキズムが確立されると"V"はイヴィーに伝える。また"V"は最初から「フェイト」をコントロールしていたことが明らかになり、これがアダム・スーザンの精神をさらに不安定なものにしてしまう。
: 一方、フィンチは"V"がいた強制収容所の跡地へ向かい、彼の心理を理解するために[[LSD (薬物)|LSD]]を服用する。[[幻覚]]によって深い洞察力を得た彼は、「シャドウ・ギャラリー」が廃駅となった地下鉄のヴィクトリア駅にあることを突き止め、"V"と対面して彼を射撃する。「この服の下には理念しかない。理念を銃弾で殺すのは不可能だ」と"V"は語ってその場を離れるものの、彼はイヴィーの腕に抱かれて絶命する。イヴィーは"V"の仮面をとって彼の正体を知りたいと思うが、彼が本質的にどのような存在であるかを理解し、彼のスペアの衣装と仮面をまとって、新たな"V"となることを決意する。
: ロンドンは混沌に包まれ、ローズはアダム・スーザンを撃ち殺して政府への復讐を遂げる。そして自分の部下に殺されるクリーディ。フィンチの報告により政府は"V"が死亡したことを国民に告げるものの、群衆の前に"V"となったイヴィーが出現し、これに刺激されて大規模な暴動が発生する。"V"の最後の望み通り、イヴィーは彼の遺体を爆薬が満載された地下鉄車両に乗せ、首相官邸の下で爆発させる。そして彼女は暴徒から救い出したドミニクを「シャドウ・ギャラリー」に迎え入れ、かつて自分がされたように、"V"の理念の後継者としてドミニクの教育を開始する。
: "V"の最後の望み通り、イヴィーは彼の遺体を爆薬が満載された地下鉄車両に乗せ、首相官邸の下で爆発させる。そして彼女は暴徒から救い出したドミニクを「シャドウ・ギャラリー」に迎え入れ、かつて自分がされたように、"V"の理念の後継者としてドミニクの教育を開始するのだった。
: 全体主義の体制が崩壊したイギリスだが、自主的な秩序がこの先訪れるのかは不明なままである。炎に包まれるロンドンを後にして、フィンチは1人で地方へ去っていくのだった。
 
== 書誌情報 ==
=== 日本語訳 ===
* Vフォー・ヴェンデッタ 2006年4月発売 ISBN 978-4796870290
=== 原語版 ===
* V for Vendetta 1995年4月発売 ISBN 978-0930289522
* V for Vendetta 2008年10月発売 ISBN 978-1401208417
* Absolute V for Vendetta 2009年9月 ISBN 978-1401223618
* V for Vendetta 30th Anniversary Deluxe Edition 2018年11月発売 ISBN 978-1401285005
 
== 他のメディア ==
=== 音楽 ===
ムーアと一時期バンドを組んでいたこともある、元[[バウハウス (バンド)|バウハウス]]のベーシストのデーヴィッド・Jは、"V"が作中で歌う曲「THIS VICIOUS CABARET」をカバーして、「V FOR VENDETTA」というEPレコードに収録した。
 
=== 映画 ===
{{main|Vフォー・ヴェンデッタ (映画)}}
2006年には[[ナタリー・ポートマン]]主演による映画版が公開された。監督は[[ジェームズ・マクティーグ]]で、脚本は『[[マトリックス (映画)|マトリックス]]』の[[ウォシャウスキー兄弟]]。なお、他の彼の作品の映画化と同様に、ムーアは映画版への関与を映画版の準備段階から一切拒否している。ロイドは映画化に好意的だったという。
 
== 外部リンク ==