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'''トビムシ目'''(トビムシもく; Collembola)は、原始的な[[昆虫]](とみなされている)分類群である。特徴的な跳躍器でよく飛び跳ねるものが多いので、この名がある。森林[[土壌]]中では平方メートルあたり数万個体と極めて高い密度に達する。通説ではトビムシ目は、原始的な[[昆虫]]の1つの群とされている。基本的な構造には昆虫と共通する点が多いからであるが、跳躍器や粘管などの独特の器官をもち、[[角]][[筋肉]]があるなど特異な特徴をもつ。このため昆虫綱にいれるべきかどうかという点については議論がある。近年は分子的手法による系統推定により、トビムシ目よりも[[甲殻綱]]のほうが有翅昆虫に近縁であるとする研究者もあり、[[綱]]に格上げする分類もかなりメジャーになっている。
 
 
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*マルトビムシ科は、丸っこい頭と膨らんだ腹部をやや幅の狭い胸部でつないだ形で、触角、足、又状器は長め。体節が違いに融合している。
 
== [[生活史]] ==
[[変態]]せず、[[脱皮]]を繰り返して成長する。成熟後も脱皮を繰り返す。多くの場合、年多化であり温帯では年間3-6世代が経過する。一部に夏季の乾燥を避けるために夏眠をする種もおり、これは年一化性の種である。
 
基本的には交接は行わず、雄は土の表面に[[精包]]を置き、雌がそれを拾い上げることで受精が行われる。ただしマルトビムシの一部ではオスが触角をつかってメスの触角をつかみ、後脚を使って直接精包を受け渡すものもある。また、交尾を経ないで繁殖する単為生殖を行う種が知られており、深層性の生活を行うものに多くみられる。
 
== 生息環境 ==
乾燥に弱く、水湿地、[[土壌]]などに生息する。特に土壌中に生息するものが多く、土壌中の個体数は[[ササラダニ]]と並んで[[節足動物]]では最も数が多いものである。まれに畑地などで大発生をして、辺り一面を埋め尽くして人を驚かす種がある。ほかに、[[海岸]][[洞穴]]、[[アリ]]の巣に住むものもある。
 
[[北アメリカ]]にはある種の[[シロアリ]]の兵アリの頭の上に住み、兵アリが働きアリから餌をもらう時、わきから食べるトビムシが知られている。
 
食性は多くの種が雑食で、落ち葉や腐植を中心に食べるものが多く、真菌の[[菌糸]][[胞子]]、バクテリア、[[藻類]][[花粉]][[線虫]]なども摂食することが報告されている。
 
ある種のトビムシは、[[雪解け]]の時期に大発生をするものがあり、ユキノミと呼ばれる。場合によっては数メートルにわたって雪の表面が真っ黒になり、窪みにたまったトビムシはスプーンですくえるほどになる。
 
 
== [[生態系]]における機能 ==
トビムシ目は森林林床などの堆積腐植層において、有機物の分解過程の重要な構成要素となっている。土壌分解系において有機物を摂食するが、実際には、一緒に摂食している[[微生物]](主に真菌)を経由して主要なエネルギーを得ている二次分解者にあたる。排泄された糞粒を培地にして再び微生物が繁殖するため、微生物はトビムシ(や[[ササラダニ]])により摂食されても容易に現存量は減少せず、むしろトビムシにより土壌分解系の回転が促進される。このプロセスを通じて植物遺体の砕片化と無機化が進行する。トビムシを摂食する動物は多く[[食物連鎖]]のボトムとして重要である。
 
== 参考文献 詳しく勉強したい方へ ==