「保安処分」の版間の差分

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保安処分が批判され、導入が進まなかった背景にはさまざまな問題点があったためであるが、まず一番あげられるのが国家による[[濫用]]が危惧されたためでもある。かつて旧[[ソビエト連邦|ソ連]]などの国では治安維持を理由に反体制派を[[精神病]]患者として長期にわたり幽閉する事例があり、また[[中華人民共和国|中国]]においても同様の収容機関があったとされている。そのため、国家にとって危険性があるとして保安処分が適用される範囲が[[政治犯]]まで拡大する危険性があるが危惧されていた。そのため刑罰と同様に国家による強制的処置でありながら、日本では保安処分が導入されなかったのは、本当に犯罪予防策として有効であるかが疑問であったうえに、保安処分の運用の仕方によっては、[[人権侵害]]や政治的弾圧が行われるとの危惧があったためといえる。
 
また、始めから政治犯などの拘禁を目的とした保安処分は[[予防拘禁]]と称される(詳細は同項目参照)。日本では、戦前に[[治安維持法]]により規定されたものが有名であるが、治安維持法の廃止と共に消滅した。
 
=== 近年の議論 ===
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一方、保安処分の拡充を求める意見には犯罪対策の一環として導入すべきというものがある。これは犯罪者の中には常習的に犯行を繰り返す者がいるためであり、現在の刑罰だけは不十分であるため、なんらかの再犯を防止するために治療等を強制的に与えさせるべきとの意見である。そのような対象者としては再犯率が高いと言われている性犯罪者に対して導入すべきというものがある。刑罰である懲役で収監中に再犯防止教育を行うのはもちろん、たとえばアメリカで行われているような薬物による性欲を抑制させる薬物の投与や、社会から隔離した更生施設に刑期が終了した後に治癒するまで収容するという保安処分を導入する案であるが、社会防衛上のためとはいえ人権侵害ではないだろうかという批判論も多い。
 
==関連項目==
*[[予防拘禁]]
 
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