「信用リスク」の版間の差分

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'''信用リスク'''(しんようリスク)とは、債務者が、債権下記のいずれか履行できなくな指して用いられ[[リ用語{{Refnest|書籍<ref>{{Cite book |和書 |author=一般社団法人金融財政事情研究会 |year=2016 |title=ク]]ワップ取引ことである。'''デフォルトリスク'''([[債務不履行]]の危険性)とも言うすべて 第5版 |publisher=きんざい}}</ref>}} P.348
* 債務者が、債権を履行できなくなる[[リスク]]のことである。'''デフォルトリスク'''([[債務不履行]]の危険性)とも言う。
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下記では、上で示したいくつかの意味についてそれぞれ解説する。
信用リスクは、債務者のリスクが反映されるあらゆる取引に波及するリスクである。信用リスクにさらされている金融商品として、代表的なものとしては、貸出債権や国債、社債、[[金融債]]等の[[債券]]、[[株式]]や[[クレジットデリバティブ]]を挙げることができる。また、預金についても、預金を預けている金融機関がデフォルトした場合、預金が毀損する可能性があるという意味で、間接的には信用リスクにさらされていると考えることができる。
 
==デフォルトリスク==
信用リスクを知るための指標としては、[[信用格付け]]が有名である。信用格付けは、[[格付機関]]が特定の有価証券や債務者の信用リスクが大きいのか小さいのかを判断したものであり、おおよその目安になる。また、法人向けの貸出しを行っている金融機関では、内部(行内)格付を整備していることが多い。
信用デフォルトリスクは、債務者のリスクが反映されるあらゆる取引に波及するリスクである。信用リスクにさらされている金融商品として、代表的なものとしては、貸出債権や国債、社債、[[金融債]]等の[[債券]]、[[株式]]や[[クレジットデリバティブ]]を挙げることができる。また、預金についても、預金を預けている金融機関がデフォルトした場合、預金が毀損する可能性があるという意味で、間接的には信用リスクにさらされていると考えることができる。
 
信用デフォルトリスクを知るための指標としては、[[信用格付け]]が有名である。信用格付けは、[[格付機関]]が特定の有価証券や債務者の信用リスクが大きいのか小さいのかを判断したものであり、おおよその目安になる。また、法人向けの貸出しを行っている金融機関では、内部(行内)格付を整備していることが多い。
信用リスク管理は貸出を業務の柱としている金融機関にとっては、大きな関心事である。金融機関にとっては、貸倒れによる損失をカバーするための利鞘を確保することが求められる。
 
信用デフォルトリスク管理は貸出を業務の柱としている金融機関にとっては、大きな関心事である。金融機関にとっては、貸倒れによる損失をカバーするための利鞘を確保することが求められる。
 
例えば、日本の[[バブル期]]までは、担保である不動産価値の上昇が見込まれたので、債務者の信用デフォルトリスクより、むしろ担保不動産のみに着目すれば良かった。しかし、日本の[[バブル崩壊]]以後は、担保の不動産価値に不確実性が増えたことから、貸倒れによる損失をコントロールするために債務者の信用デフォルトリスクを適切に把握することが必要になったのである。このような背景の下、1990年代より日本の金融機関は、債務者のデータを整備し、様々な統計技法を用いて、信用デフォルトリスクを客観的に測定・分析するための態勢の整備に力を注いでいる。
 
信用デフォルトリスクが高まることは、債券の評価に影響を与える。たとえば、信用リスクが高い会社が債券によって資金調達を行う場合、信用デフォルトリスクに見合うだけの利鞘(信用スプレッド)を求められ、長期の満期の債券を発行することは困難になる。また、個人でも信用リスクが高いと金融機関から判断された場合、保証人や追加担保を要求される、借入上限額が低く抑えられる等の影響を被ることになる。
 
例えば、日本の[[バブル期]]までは、担保である不動産価値の上昇が見込まれたので、債務者の信用リスクより、むしろ担保不動産のみに着目すれば良かった。しかし、日本の[[バブル崩壊]]以後は、担保の不動産価値に不確実性が増えたことから、貸倒れによる損失をコントロールするために債務者の信用リスクを適切に把握することが必要になったのである。このような背景の下、1990年代より日本の金融機関は、債務者のデータを整備し、様々な統計技法を用いて、信用リスクを客観的に測定・分析するための態勢の整備に力を注いでいる。
 
信用リスクが高まることは、債券の評価に影響を与える。たとえば、信用リスクが高い会社が債券によって資金調達を行う場合、信用リスクに見合うだけの利鞘(信用スプレッド)を求められ、長期の満期の債券を発行することは困難になる。また、個人でも信用リスクが高いと金融機関から判断された場合、保証人や追加担保を要求される、借入上限額が低く抑えられる等の影響を被ることになる。
 
== カウンターパーティー・リスク ==