「暴力団」の版間の差分

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現行法では暴力団や組員に対しては住居の自由などの基本的人権の侵害すら懸念されるほどの規制が行われているが、[[イタリア]]の[[マフィア対策統合法]]のような暴力団の存在自体の非合法化はなされていない。
 
暴力団の不法行為に対し「[[暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律]]」(平成3年法律第77号、暴対法)が[[1992年]]3月に施行された。その後、暴力団や関連団体に携わる者のうち、構成員については右肩下がりで減少していたものの、逆に準構成員の数が増えて補完する形となり、1991年から2004年までは9万から8万人の横ばいで推移していた。しかし、2004年以降はともに数を減らしており、2010年から2016年は毎年5,000人~8000人程度、2017年は約4,600人、2018年は約4,000人減少し、2018年末時点で約30,500人である<ref name="npa sosikihanzai"/>。このように暴力団の活動に打撃を与え、目に見える範囲では効果を上げている一方、資金活動が行えなくなった暴力団の犯罪の地下組織化も懸念されている。

また、資金活動が行えなくなったことによる困窮化により、複数の暴力団の関係者による[[現金自動預け払い機|ATM]]不正引き出し事件を1例に困窮する組員が、別の組織の組員や犯罪グループと手を組むことで、より巧妙で悪質な犯罪に手を染めるようになった。また、暴力団による集団[[万引き]]やサケやあさり、なまこの[[密漁]][[生活保護]]費を巡る[[詐欺]][[拳銃]]を担保に[[借金]][[結婚式場]]で売上金の[[窃盗]][[電気]]料金を抑えるためにメーターの違法[[改造]]する等、困窮を理由に見境なく犯罪を犯す事例が出ている。<ref>{{Cite episode|title=貧困暴力団”が新たな脅威に|url=https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4136/index.html|series=クローズアップ現代|serieslink=クローズアップ現代|network=[[NHK総合テレビジョン|NHK総合]] |airdate=2018-5-28|accessdate=2018-11-26}}</ref>

組員が暴力団を辞めても暴対法の規制が数年間続き、その間は元組員は就業できないという状態となるケースも多く、辞めたくても辞めることができない組員も存在する。辞める意向を示す組員に対し支援する動きや支援制度を設けようとする動きも見られるが、一般人には困窮する元組員に対し「[[自業自得]]」とみる向きも多い上、支援制度が暴力団に利用される恐れも多く進展していない。

また、警察などの支援で離脱した元組員は、過去10年間で約6,120人。一方で、支援を受けて就労に至ったのは147人と約2%にとどまっている。「生活保護を受けたい」などと働く意欲のない者も多く、昔の仲間との関係が切れなかったり、[[無職]]のまま金に困って出戻りする例も少なくない。<ref name="sankei160410">{{Cite news |title=「助けてください」携帯代も払えません…組離脱者の悲痛な叫び、就労支援は暴力団“弱体化”のカギ|newspaper=産経WEST・産経新聞|date=2016-04-10|url=https://www.sankei.com/west/news/160410/wst1604100017-n2.html}}</ref>更に、暴力団を辞めたものの詐欺グループの誘いに乗って、詐欺犯罪をするなど、犯罪の世界に再び染める者もいる。
 
=== 暴力団構成員及び準構成員等の年齢構成 ===
近年の暴力団構成員及び準構成員等の年齢構成は、40歳未満の層の減少が顕著であり、暴力団の高齢化が進んでいる。2014年末時点で、40歳未満は約26.3%(20歳未満:0.0% 20~29歳:5.1% 30~39歳:21.2%) 、40歳以上60歳未満は約51.7%(40~49歳:33.2% 50~59歳:18.5%)、60歳以上は約22.0%(60~69歳:15.8% 70歳以上:6.2%)であった。<ref name="npwp2017">{{Cite report|author=警察庁|authorlink=警察庁|date=2015|title=平成27年警察白書 特集 組織犯罪対策の歩みと展望 第1節 組織犯罪情勢の推移|url=https://www.npa.go.jp/hakusyo/h27/honbun/html/rf111000.html|accessdate=2018-11-26}}</ref>
 
これは、30年前の昭和59年末で、20歳未満の暴力団員が1.8%(1,679人)、20歳代で22.6%(21,205人)、30歳代で39.3%(36,945人)であったのと比べると、20歳未満は約90分の1以下(人数は約60分の1以下)、20歳代は約4分の1以下(人数は約3分の1以下)、30歳代は約3分の2(人数は約3分の1以下)である。逆に、40歳以上は、40歳代で25.8%(24,186人)、50歳以上で10.5%(9,895人)であり、40歳代は約1.3倍(人数は4分の3)50歳以上は約3.9倍(人数は2.2倍)である。

また、昭和41年末は、20歳未満は6.3%(9,261人)、20歳代は49.8%(73,259人)、30歳代は29.5%(43,466人)、40歳代は9.0%(13,238人)、50歳代以上は5.4%(7,947人)と、40歳未満の層が約85.6%を占めていた。

更に、平成元年版犯罪白書でも、若者の暴力団離れと暴力団構成員の中高齢化が進んでいることを指摘しており、暴力団の高齢化自体は、前々から進んできていることが伺われる。<ref>{{Cite report|author=法務省|authorlink=法務省|date=1989|title=平成元年版犯罪白書 第4編 昭和の刑事政策 第2章 犯罪の動向 第5節 暴力団犯罪の動向 5 世代交代と変動の時代(昭和50年代後半~現在) IV-18表 暴力団関係者の年齢別構成比の推移(昭和41年~62年)|url=http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/30/nfm/n_30_2_4_2_5_5.html#H004018-1H|accessdate=2018-11-29}}</ref>
 
=== 暴力団関係者 ===
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=== 暴力団関係者であることのデメリット ===
2000年代に都道府県や市町村で[[暴力団排除条例]]が施行されると、条例の目的に沿って各種事業者は、契約を結ぶ相手方との間で[[暴力団#暴力団関係者|暴力団関係者]]か否かについて口頭または書面で確認しなければならなくなった<ref>{{Cite web |date= 2016-07-04|url= http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/anzen/tsuiho/haijo_seitei/haijo_q_a.html|title= 東京都暴力団排除条例 Q&A|publisher= 警視庁|accessdate=2018-03-17}}</ref>。確認の際に暴力団関係者であること名乗ると[[普通取引約款|約款]]を根拠に契約(利用)拒否されるか脅迫罪で逮捕される可能性が、また暴力団関係者でないと偽ると契約が解除されたり[[詐欺罪]]で逮捕されることとなる。このため暴力団排除条例が設立されて以降、暴力団関係者は公的サービス([[公営住宅]]への入居、[[生活保護]]の受給等)が受けられなくなったほか、[[銀行口座]]の開設(既存口座の維持<ref>{{Cite news |title=暴力団の預貯金口座、59行が解約…読売調査 |newspaper=読売新聞 |date=2018-09-04 |url=https://www.yomiuri.co.jp/national/20180903-OYT1T50169.html |accessdate=2018-09-04 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20180904154004/https://www.yomiuri.co.jp/national/20180903-OYT1T50169.html |archivedate=2018-09-04}}</ref>)、[[不動産]]の購入・賃貸契約<ref>{{Cite news |date= 2016-04-27|url= http://www.sankei.com/west/news/160427/wst1604270077-n1.html|title= 暴力団隠し不動産の仲介契約、山口組の直系組長逮捕|newspaper= 産経WEST・産経新聞|accessdate=2018-03-17}}</ref>、[[自動車]]購入の契約<ref>{{Cite news |title=組員の身分を隠し高級外車を購入 弘道会会長専用車に 山口組系組長ら3人を詐欺容疑で逮捕 |newspaper=産経WEST・産経新聞 |date=2015-06-05 |url=http://www.sankei.com/west/news/150605/wst1506050025-n1.html |accessdate=2018-03-17 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20150605225135/http://www.sankei.com/west/news/150605/wst1506050025-n1.html |archivedate=2015-06-05}}</ref>、ホテルへの宿泊<ref>{{Cite news |date= 2017-10-30|url= http://www.sankei.com/west/news/171030/wst1710300077-n1.html|title= 組員の身分隠しホテル宿泊、詐欺容疑で任侠系組員逮捕|newspaper= 産経WEST・産経新聞|accessdate=2018-03-18}}</ref>、[[携帯電話]]の購入、[[ゴルフ場]]でのプレー等ができなくなるなど日常生活に大きな制限が掛けられることとなった。[[溝口敦]]は「情けないのはヤクザの側ともいえる。法的に突っ込みどころのある[[暴排条例]]に反論するような[[理論]]武装ができなくなっている」と事実上皮肉を込めて発言している<ref>[http://{{Cite news.livedoor.com/article/detail/15878353/|author=鈴木 智彦|author2=溝口 敦|title=自力で無罪を勝ち取った組長も?日本国憲法を熟読するヤクザの狙い]ライブドアニュー|newspaper=[[週刊ポ公式サイ|NEWSポストセブン]]|pages=4|language=日本語|date=2019-01-16|url=https://www.news-postseven.com/archives/20190116_846073.html}}</ref>。
 
=== 暴力団と差別問題 ===
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*被差別部落の詩人[[植松安太郎]]は「ご承知のとおり[[山口組]]のなかの70%は部落民だといわれているけれど、関東だって切った張ったのやくざの手下や用心棒のなかには部落民がいっぱいいるわけですよ」と語っている<ref>{{Cite book |和書 |author=植松安太郎 |title=人間解放をめざして |year=1977 |publisher=創樹社 |page=166 |NCID=BN07199775}}</ref>。
*[[猪野健治]]は、『やくざと日本人』の中で、[[昭和]]中期の[[関西]]や[[北部九州]]の[[部落]]の悲惨な現状を取り上げ、日本社会に「やくざとなるか土方になるか」しか、選択肢の無い若者が多く存在する事がやくざの温床であるという見解を示した。また自身の取材から得た印象として、もとより体系的な統計があるわけではないが、と断りながらも、現在の暴力団員の半数は部落も在日朝鮮人も出自に持たない「市民社会からのドロップアウト組」だろうと推測している{{要ページ番号|date=2013年6月}}。
*20172018年の政府統計によると、その年に刑務所に入った受刑者のうち暴力団加入者の国籍別比率は、[[日本]]国籍1,165066人で約9798.60%、[[韓国]][[北朝鮮|朝鮮]]2618人で約2.2%前後となっている<ref>{{Cite web |author=法務省司法法制部 |url=https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00250005&tstat=000001012930&cycle=7&year=2017020180&month=0&stat_infid=000031738140000031846905&result_back=1&cycle_facet=cycle&second2=1&tclass1val=0|title=新受刑者中暴力団加入者の国籍 |date=20182019-07-31|accessdate=20182019-1208-2803|website=政府統計の総合窓口 |publisher=総務省統計局}}</ref>。
 
=== 暴力団の下部組織 ===