「開集合」の版間の差分

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Zar2100 (会話 | 投稿記録)
キャプションを翻訳、その他細かな修正。"a member of this neighborhood basis is referred to as an open set."は端的には誤文であるので原文から改変しました。
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{{refimprove|date=April 2012}}
[[File:red blue circle.svg|right|thumb|Example: The blue circle represents the set of points (''x'', ''y'') satisfying例:青い[[円周]]は {{nowrap|1=''x''<sup>2</sup> + ''y''<sup>2</sup> = ''r''<sup>2</sup>}}. The red disk represents the set of pointsを満たす点 (''x'', ''y'') satisfyingの集合。赤い[[円板]]は {{nowrap|''x''<sup>2</sup> + ''y''<sup>2</sup> &lt; ''r''<sup>2</sup>}}. Theを満たす点 red set is an open set(''x'', the''y'') blue set is its boundary set, and the union of the red and blue sets is aの集合。赤色の集合は開集合、青色の集合はその[[境界 (位相空間論)|境界]]、これらを併せた集合は[[closed set閉集合]].である。]]
 
[[数学]]のより限定的に言えば[[位相空間論]]における'''開集合'''(かいしゅうごう、{{lang-en-short|''open set''}})は、[[実数直線]]における[[開区間]]の概念を[[一般化]]する抽象概念である。もっとも簡単な例は[[距離空間]]における場合で、そこでは開集合はその各点においてその点を中心とする[[球体]]を少なくとも一つ必ず含むような[[部分集合]]として定義される(部分集合が開であることを、それが[[境界 (位相空間論)|境界点]]を一切含まないことと定めても同じことである)。しかし、一般には開集合は非常に抽象的なもので、「開集合の任意個の合併は開集合である」「開集合の有限個の交わりは開集合である」「全体空間は開集合である」という性質を満たす限りにおいて任意の集合族を開集合族とすることができる。これらの条件は極めて緩く、そのため開集合族の選択は並外れて柔軟性を持つことができる。その極端な二つの場合として、任意の部分集合が開集合である[[離散位相]]と、空集合と全体集合以外に開集合の無い[[密着位相]]を挙げることができる。
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直観的には、開集合は二[[点 (数学)|点]]を区別する方法を与える。例えば、[[位相空間]]内の一点について、もうひとつの(相異なる)点を含まない開集合がとれるならば、それら二点は{{ill2|位相的に区別できる|en|topologically distinguishable}}と言う。このようなやり方で、同じ位相空間のふたつの集合が「近い」ということを、その空間上に具体的な[[距離函数]]を定義することなしに言及することができる。したがって、位相空間は距離空間の一般化とみなすことができる。
 
[[実数]]全体の成す集合 {{mathbf|ℝ}} には、自然な[[ユークリッド距離]](二つの実数 {{mvar|x, y}} の[[絶対差|違い]]を測る函数 {{math|''d''(''x'', ''y'') {{coloneqq}} {{abs|''x &minus; y''}}}})がある。これを用いて、与えられた実数に対して、その実数の近い点(つまり、与えられた実数を {{mvar|x}} として、{{mvar|x}} からの距離が {{mvar|ε}} 内にあるような点)全体の成す集合について述べることができる。本質的に、{{mvar|x}} と {{mvar|ε}} 以内にある点は、{{mvar|ε}} の精度で {{mvar|x}} を近似するものである。着目すべきは、{{math|ε > 0}} を常に保ったまま {{mvar|ε}} をより小さくしていけば、{{mvar|x}} をより高い精度で近似する点が得られることである。例えば、{{math|''x'' {{coloneqq}} 0, ''ε'' {{coloneqq}} 1}} とすれば、{{mvar|x}} と {{mvar|ε}} 内の距離にある点全体は、ちょうど[[開区間]] {{open-open|&minus;1, 1}} に属する点(つまり、{{math|&minus;1}} から {{math|1}} までの任意の実数)の全体になっている。同様に、{{math|ε {{coloneqq}} 0.5}} とすれば、{{mvar|x}} と {{mvar|ε}} 内の距離にある点全体は開区間 {{open-open|-0.5, 0.5}} に他ならず、明らかにこちらの点のほうが {{math|1=''ε'' = 1}} の場合と比べて精度が高い。
 
このように、{{mvar|ε}} をどれほどでも小さく定義すれば、{{mvar|x}} の近似の精度はどれほどでも高くできる。特に、開区間{{open-open|-''ε'', ''ε''}} の形の集合は {{math|1=''x'' = 0}} の近くの点に関するたくさんの情報を与えるものとなる。そこで、具体的なユークリッド距離の代わりに、このような集合を {{mvar|x}} に近い点の記述に用いることができる。この画期的な考えは広範にわたって重大な結果をたらす。特に、{{math|0}} を含む({{open-open|-''ε'', ''ε''}} ではない)別な種類の集合の集まりを定義することで、{{math|0}} とほかの実数との距離に関する異なる結果を求めることができる。例えば、そのように「距離を測る」集合は {{mathbf|ℝ}} のみと定めれば、{{math|0}} を近似する精度はこの {{mathbf|ℝ}} ただ一つなのであるから、{{mathbf|ℝ}} の元である任意の実数が {{math|0}} に近い(ある意味では、{{math|0}} と任意の実数との距離が {{math|0}} であると思える)ということになる。このような測り方はつまり、{{mathbf|ℝ}} に入るならば {{math|0}} に近く、{{mathbf|ℝ}} に入らないならば {{math|0}} に近くない、という二択条件と考えればよい。
 
一般に、{{math|0}} の近似に用いる、{{math|0}} を含む集合族として'''[[近傍系|開近傍系]]'''について言及することになる。が定まり、その元は'''開集合'''は、近傍系の元して表呼ばてくる。実は、これらのことは実数の集合 {{mathbf|ℝ}} に限らず任意の集合 {{mvar|X}} に対して一般化することができる。その場合、集合 {{mvar|X}} の与えられた点 {{mvar|x}} に対して、{{mvar|x}} の近似に用いる {{mvar|x}} の「周囲」の(つまり {{mvar|x}} を含む)集合の族を定義することができる。もちろん、そのような族は('''公理'''と呼ばれる)ある種の性質を満足するようにしなければならない(そうでないと距離を測る方法が[[well-defined|きちんと定義]]できない)。たとえば、{{mvar|X}} に属する任意の点は {{mvar|x}} を何らかの精度で近似するはずであるから、{{mvar|X}} は当該の集合族に入っているべきものである。ひとたび {{mvar|x}} を含む「より小さい」集合を定義し始めれば、{{mvar|x}} をより高い精度で近似するようになるとい方向へ向かていく。このようなことを念頭に、{{mvar|x}} の周りの集合族が満足することが求められるほかの公理も定められていることができる。
 
== 定義 ==
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開集合は[[位相空間論]]において基礎を成す重要性を持つ。開集合は[[位相空間]]やほかの位相的構造の定義に用いられ、近さの概念や[[距離空間]]や[[一様空間]]などの空間における収束性に意味を持たせる。
 
位相空間 {{mvar|X}} の任意の[[部分集合]] {{mvar|A}} は必ず開集合(空集合でもよい)を含むが、そのような開集合の中で最大のもの {{mvar|A}} の[[内部 (位相空間論)|内部]]と呼ばれる。{{mvar|A}} の内部は {{mvar|A}} に含まれる開集合すべての合併をとることで構成できる。
 
{{mvar|X, Y}} が位相空間であるとき、[[写像]] {{math|''f'': ''X'' → ''Y''}} が'''[[連続写像|連続]]'''であるとは、{{mvar|Y}} の任意の開集合の[[逆像]]が {{mvar|X}} の開集合となるときに言う。{{mvar|f}} が'''[[開写像|開]]'''であるとは、{{mvar|X}} の任意の開集合の[[像 (数学)|像]]が {{mvar|Y}} の開集合となるときに言う。
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いま、同じ集合上に二つの位相が存在するとすれば、その部分集合 {{mvar|U}} が一方の位相では開だが、他方では開でないということが起こり得る。たとえば {{mvar|X}} を任意の位相空間とし、{{mvar|Y}} は {{mvar|X}} の任意の部分集合とすれば、{{mvar|Y}} 自身も[[相対位相|部分空間の位相]]と呼ばれる位相によって位相空間となる。相対位相は「{{mvar|Y}} の部分集合 {{mvar|U}} が開であるには、{{mvar|U}} が {{mvar|X}} のもともとの位相に関する開集合と {{mvar|Y}} との交わりに書けることが必要十分」とするものである。これは {{mvar|X}} の開集合でない部分集合が {{mvar|Y}} の開集合となる可能性を持っている。{{mvar|V}} はもとの空間 {{mvar|X}} の位相で開となるが、{{math|''V'' ∩ ''Y''}} は開でないものとするとき、{{math|''V'' ∩ ''Y''}} は相対位相で {{mvar|Y}} の開集合だが {{mvar|X}} のもともとの位相では開でない部分集合である。
 
このことの具体例を挙げれば、{{mvar|U}} を開区間 {{open-open|0, 1}} に属する有理数全体の成す集合とするとき、{{mvar|U}} は[[有理数]]全体の成す空間 {{mathbf|ℚ}} の開部分集合だが、[[実数直線]] {{mathbf|ℝ}} の部分集合としては開でない。これは実際、全体空間を {{mathbf|ℚ}} とするとき、各点 {{math|''x'' ∈ ''U''}} に対し、正の数 {{mvar|ε}} が存在して、{{mvar|x}} との距離が {{mvar|ε}} 以内のすべての「有理」点が {{mvar|U}} に入るといにすることができ、他方、全体空間を {{mathbf|ℝ}} とするならば、どのような {{math|''x'' ∈ ''U''}} を取っても、正の数 {{mvar|ε}} で {{mvar|x}} の {{mvar|ε}} 以内にあるすべての「実」点が {{mvar|U}} に入るようなものは存在しない({{mvar|U}} は有理数でない数は含まないから)ということによる。
 
=== 開と閉は互いに排他的ではない ===