「零式艦上戦闘機」の版間の差分

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生産段階でも多数の肉抜き穴や、空気抵抗を減らす目的で製造工程が複雑な沈頭鋲を機体全面に使用するなど、生産工程が増える設計となっているが、少数精鋭の艦戦ということで工数の多さが許容されたからである。大戦中期以降は後継機の開発が遅れたため生産数を増やす必要に迫られたことで設計を変更し工数を減らす努力が続けられたが、設計段階から生産効率を考慮した[[P-51 (航空機)|P-51マスタング]]と比較すると零戦の生産工数は3倍程度もあり、生産側の負担となった<ref group="注釈">P-51では工程の多い沈頭鋲ではなく通常のリベットを電動工具で削るなど、最終的に短時間となる手段を選択している。</ref>。
 
米軍が[[鹵獲]]した零戦二一型の鹵獲機体の調査に携わった[[ヴォート・エアクラフト・インダストリーズ|チャンス・ヴォート]]のエンジニアから、[[ヴォート V-143|V-143]]戦闘機と引き込み脚やカウリング・排気管回りなどが類似していると指摘されたため、零戦そのものがV143のコピー戦闘機であるという認識が大戦中のみならず現在でも一部海外で存在する。だがこの説は、開発開始時期の相違により否定されている。[[降着装置]]が半引き込み式で、尾部の突起が少々長いが、外形、寸法、各種数値がひどく似ている[[グロスター]]社の[[グロスター F.5/34|F.5/34]]をコピー元とする説もあるが、零戦の寸法は、翼面荷重や馬力荷重を九六式艦戦と同程度に収めるように決められた数値である。またグロスターのF.5/34が前近代的な鋼管骨組み構造であるのに対し、零戦は九六式艦戦と同じ応力外皮(モノコック)構造であり、コピー説は否定されている。似ているのは、機体形状に関して冒険を避け当時主流の設計にまとめられた結果である。
 
零戦には九六式艦上戦闘機同様、全面的な沈頭鋲の採用、徹底的な軽量化と空気力学的洗練、主翼翼端の捻り下げ、スプリット式フラップ、落下式増槽などがある。主翼と前部胴体の一体化構造は、陸軍の[[九七式戦闘機]]に採用された技術で、フレーム重量を軽減するが、翼の損傷時の修理に手間取るという欠点がある。