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=== 化学的性質 ===
ベリリウムの[[単体]]は[[還元]]性が非常に強く、その標準[[酸化還元電位]]E{{sub|0}}は &minus;1.85 [[ボルト (単位)|V]] である<ref>[[#charlot1974|シャルロー (1974)]] 295頁。</ref>。この標準電位の値は[[イオン化傾向]]において[[アルミニウム]]の上に位置しているため大きな化学活性が期待されるが、実際には表面が酸化物の膜(酸化被膜)に覆われて[[不動態]]化する[[不動態|、]]ため高温に熱した状態でさえも空気や水と反応しない。しかしながら、いったん点火すれば輝きながら燃焼して[[酸化ベリリウム]]と[[窒化ベリリウム]]の混合物が形成される<ref name=Greenwood>{{citation
|author = N. N. Greenwood, A. Earnshaw
|year = 1997
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加水分解によるほかの生成物には、[[二量体|3量体]]イオン <chem>[Be3(OH)3(H2O)6]^{3+}</chem>が含まれる。
 
ベリリウムは多くの[[非金属]]原子と[[二元化合物]]を形成する。無水ハロゲン化物としては、[[フッ素]]、[[塩素]]、[[臭素]]、[[ヨウ素]]との化合物が知られており、固体状態においては橋掛け結合によって[[重合体|重合]]している<ref name=CW269/>。[[フッ化ベリリウム]](BeF{{sub|2}})は、[[二酸化ケイ素]]のような角を共有したBeF{{sub|4}}の四面体構造を取り、[[ガラス]]状においては無秩序な直鎖構造を取る<ref name=CW272>[[#CW1987|コットン、ウィルキンソン (1987)]] 272頁。</ref>。[[塩化ベリリウム]]および[[臭化ベリリウム]]は両端を共有した直鎖状の構造を取る。すべての[[ハロゲン化物|ハロゲン化]]ベリリウムは、気体の状態においては線形の[[モノマー]]分子構造を取る<ref name=CW269/><ref name = "Greenwood" />。塩化ベリリウムは金属ベリリウムを塩素と直接反応させることによって得られ、これは[[塩化アルミニウム]]と同様の製法である<ref name=chitani222>[[#千谷1959|千谷 (1959)]] 222頁。</ref>。
 
酸化ベリリウムは[[ウルツ鉱型構造]]を取る耐火性の白色結晶であり、金属と同じぐらい高い熱伝導率を有する。酸化ベリリウムは2種類の[[多形]]が存在し、低温型の酸化ベリリウムは熱したアルカリ溶液などに溶解するが、高温では[[相転移]]してより安定な構造となり、濃硫酸に[[硫酸アンモニウム]]を加えた熱シロップのみにしか溶解しなくなる<ref name=CW271/>。ほかのベリリウムと[[第16族元素]]との化合物は[[硫化ベリリウム]]や[[セレン化ベリリウム]]、[[テルル化ベリリウム]]が知られており、それらはすべて[[閃亜鉛鉱型構造]]を取る<ref name = "Wiberg&Holleman">{{citation
|author = Wiberg, Egon; Holleman, Arnold Frederick
|year = 2001
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|publisher = Elsevier
|isbn = 0123526515
}}</ref>。[[水酸化ベリリウム]]は[[両性 (化学)|両性]]を示し<ref name=CW271/>、その酸性水溶液がほかのベリリウム塩を合成する出発原料とされる<ref name = "Greenwood" />。
 
[[窒化ベリリウム]](Be{{sub|3}}N{{sub|2}})は非常に[[加水分解]]をしやすい、高融点な化合物である。[[アジ化ベリリウム]](BeN{{sub|6}})および[[リン化ベリリウム]](Be{{sub|3}}P{{sub|2}})は窒化ベリリウムと類似した構造を有していることが知られている。塩基性硝酸ベリリウムおよび塩基性[[酢酸ベリリウム]]は4つのベリリウム原子が中心の酸素イオンに配位した四面体構造を取る<ref name = "Wiberg&Holleman" />。Be{{sub|5}}B、Be{{sub|4}}B、Be{{sub|2}}B、BeB{{sub|2}}、BeB{{sub|6}}、BeB{{sub|12}}のようないくつかの[[ホウ素化ベリリウム]]も知られている。[[炭化ベリリウム]](Be{{sub|2}}C)は耐火性のレンガ色をした化合物であり、水と反応して[[メタン]]を発生させる<ref name = "Wiberg&Holleman" />。ケイ素化ベリリウムは同定されていない<ref name = "Greenwood" />。
 
=== 核的性質 ===
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ベリリウムのおもな同位体である{{sup|9}}Beは(n, 2n)中性子反応によって1つの中性子を消費して2つの中性子を放出し、2つのアルファ粒子に分裂する。したがって、ベリリウムの中性子反応は消費する中性子よりも多くの中性子を放出して系内の中性子を増加させる。
:<chem>^9_4Be{} + \mathit{n} -> 2(^4_2He){} + 2\mathit{n}</chem><ref name ="BeMelurgy" />
 
金属としてのベリリウムは大部分のX線および[[ガンマ線]]を透過するため、X線管などのX線装置におけるX線の出力窓として有用である。ベリリウムはまた、ベリリウムの原子核と高速の[[アルファ粒子]]との衝突によって中性子線を放出するため、実験における比較的少数の[[中性子線]]を得るための良好な中性子線源である<ref name=Be/>。
:<chem>^9_4Be{} + ^4_2He -> ^{12}_6C{} + \mathit{n}</chem><ref name ="BeMelurgy">{{citation
|url = http://books.google.com/?id=FCnUN45cL1cC&pg=PA239
|page = 239
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=== 堆積学的履歴解析 ===
堆積学分野では同位体の<{{sup>|10</sup>}}Beおよび<{{sup>|7</sup>}}Beと鉛の同位体<{{sup>|210</sup>}}Pbの存在比率により、地層の堆積物の輸送がどのようなイベントで生じたのか、つまり「ゆっくりと安定した堆積なのか」「河川の氾濫や洪水、嵐による急激な堆積なのか」などを調べることが可能である<ref>[https://doi.org/10.4096/jssj.73.19 金井豊:ベリリウム同位体を用いる堆積学的研究] 堆積学研究 2014年 73巻 1号 p.19-26, {{doi|10.4096/jssj.73.19}}</ref>。
 
== 危険性 ==
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|style="text-align:left;"|{{NFPA 704|Health = 3|Flammability = 1|Reactivity = 0|Other = }}
|-
|style="width:80pt;"|金属ベリリウムに対する[[NFPA 704|ファイア・ダイアモンド]]表示<ref name=icsc>{{ICSC-ref|0226||accessdate=2011-12-11}}</ref>
|}</div>
ベリリウムは人体への曝露によって[[ベリリウム肺症]]もしくは慢性ベリリウム症として知られる深刻な慢性肺疾患を引き起こすようにきわめて毒性の高い物質であり<ref name=NIHS/>、水棲生物に対しても非常に強い毒性を示す<ref name=icsc/>。また、細胞組織に対して腐食性であるため、可溶性塩の吸入によって化学性肺炎である急性ベリリウム症を引き起こし、皮膚との接触によって炎症が引き起こされる<ref name=NIHS>{{citation
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*{{Cite journal |和書|author =諸住正太郎|title =最近のベリリウムの研究から|date =1963|publisher =日本金属学会|journal =日本金属学会会報|volume =2|issue =5|doi=10.2320/materia1962.2.277|pages =277-285|ref = }}
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== 関連項目 ==
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== 外部リンク ==
{{Commons|Beryllium}}