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'''楕円軌道'''(だえんきどう、{{lang-en|elliptical orbit}})は、[[楕円逆二乗の法則]]に従う[[力 (物理学)|力]]作用の下で、束縛された物体がとる[[軌道 (力学)|軌道]]である
 
== 概要 ==
楕円は2定点 F{{sub|1}}, F{{sub|2}} からの距離の和が一定である点の集合。原点Oを中心とする楕円の方程式は:
[[万有引力の法則]]や[[クーロンの法則]]は逆二乗の法則で表される。このような力の作用の下で運動する物体がとる軌道は、力の中心を[[焦点 (幾何学)|焦点]]とする[[2次曲線]]となる。2次曲線の軌道のうち、距離が有限にとどまる軌道、すなわち束縛軌道が楕円軌道である。
: <math>\frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1</math> 。
 
[[天体太陽系]]において、[[惑星]]に作用する力は[[太陽]]からの万有引力が支配的であり、その周回[[軌道 (力学)|はほぼ楕円軌道]]となる。これは[[ケプラーの法則|ケプラーの第1法則]]によとして知られている。また、惑星の周一般にを周回する[[衛星]]の軌道もほぼ楕円軌道となる。[[人工衛星の軌道]]には、利用上の便宜から[[円軌道]]をとる場合もあるが、これは楕円軌道の特別な場合である。
力の中心となる天体は二つある楕円の焦点(図の点F{{sub|1}})に位置しており、楕円の図形的中心(図の点O)に来るわけではない。
楕円軌道にある[[人工衛星]]は地表からの高度が軌道上の位置によって変化する。[[地球]]に最も近づいた点を[[近地点]](ペリジ、perigee)と呼び、地球から最も遠ざかった点を[[遠地点]](アポジ、apogee)と呼ぶ。また惑星が太陽に最も近づく点は近日点、最も遠ざかる点は遠日点と呼ばれる。
 
== 軌道の表現 ==
[[人工衛星の軌道]]の場合、利用上の便宜から[[円軌道]]をとる場合もあるが、これは楕円軌道の特別な場合となる。
{{See also|軌道要素}}
2次曲線は焦点を原点とする[[極座標]] {{math|(''r'', ''&phi;'')}} により
: <math> er = \frac{\sqrt{a^2-b^2}L}{a1+e\cos\phi} </math>
で表される。{{mvar|e}} は[[離心率]]と呼ばれるパラメータで、2次曲線の概形を表す。離心率が {{math|0 &le; ''e'' < 1}} の範囲にあるとき、分母がゼロとならないため、焦点からの距離 {{mvar|r}} が有限にとどまり楕円となる。
 
{{math|1=''&phi;'' = 0}} のとき、近点距離
楕円軌道にいる[[人工衛星]]は地表からの高度が軌道上の位置によって変化する。この場合、地球は[[焦点 (幾何学)|楕円の焦点]]のひとつ(図の例では F{{sub|1}})に位置する。決して楕円の図形的中心 O にくるわけではない。
:<math>r_\text{min} =\frac{L}{1+e}</math>
となり、{{math|1=''&phi;'' = &pi;}} のとき、遠点距離
:<math>r_\text{max} =\frac{L}{1-e}</math>
となる。
長半径は
:<math>a =\frac{L}{1-e^2}</math>
となる。
 
== 運動の解析 ==
[[地球]]から最も遠ざかった点を[[遠地点]](アポジ、apogee)、最も近づいた地点を[[近地点]](ペリジ、perigee)という。
逆二乗の法則に従う力は保存力であり、[[ポテンシャル]]は {{math|1=''V'' = &minus;''k''/''r''}} で与えられる。
このポテンシャルの下での運動を記述する[[ハミルトン関数]]は
:<math>\mathcal{H} =\frac{{p_r}^2}{2m} +\frac{{p_\phi}^2}{2mr^2} -\frac{k}{r}</math>
である。この系は保存系であり、[[エネルギー]]が保存する。また、変数 {{mvar|&phi;}} はハミルトン関数に含まれない[[循環座標]]であり、これに共役な[[角運動量]]も保存する。
先にみたように、2次曲線は二つのパラメータ {{mvar|L, e}} で表されるため、二つの保存量により運動が決定される。
 
保存エネルギーを {{mvar|E}}、保存角運動量を {{mvar|J}} とすると
楕円の扁平の度合いを表すパラメータとして[[離心率]]<math>e</math> を次のように定義する。
: <math>E =\frac{x{p_r}^2}{a^22m} + \frac{yJ^2}{b2mr^2} = 1-\frac{k}{r}</math>
 
である。楕円軌道では有限の距離に束縛されているので {{math|''E'' < 0}} である。
<math>a</math> を楕円の長半径(長径の半分)、<math>b</math> を短半径(短径の半分)として
長半径は
: <math> e = \frac{\sqrt{a^2-b^2}}{a} </math>。
:<math>a =\frac{k}{-2E}</math>
 
となる。
図形的には、楕円の中心と焦点 F{{sub|1}}, F{{sub|2}} との距離 OF{{sub|1}} = OF{{sub|2}}は
また、[[周期]]は
ともに <math>ae</math> となる。
:<math>T =\frac{\pi k}{(-E)^{3/2}} \sqrt{\frac{m}{2}} =2\pi a^{3/2} \sqrt{\frac{m}{k}}</math>
 
となる。周期の二乗が長半径の三乗に比例することはケプラーの第3法則として知られている。
離心率の定義から明らかなように、円軌道は離心率が0である。
 
== 関連項目 ==
* [[軌道 (力学)|軌道]] - [[円軌道]]
* [[円軌道ケプラーの法則]]
* [[人工衛星の軌道]]
* [[ケプラーの法則]]
 
[[Category{{DEFAULTSORT:軌道|たえんきとう]]}}
[[Category:力学]]
[[Category:天文学]]
[[Category:軌道]]