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{{Law}}
[[所得税法]]では第28条において、'''[[給与所得]]'''とは「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう」と定めており「[[給料]]」よりも「給与」のほうが範囲が広い。公務員の勤務の対価も給与という。
 
それぞれの[[企業]]がどのような給与の体系をとるかは、[[就業規則]]において[[賃金#賃金体系|給与体系]](賃金体系)として決定されている。[[従業員]]は給与明細を参照することでも給与体系を知ることが出来る。給与明細は[[基本給]]や各種手当といった給与項目によって成り立っている。給与明細を記した書面を給与明細書という。具体的な給与の計算方法([[給与計算]])は、それぞれの企業の給与規程によって決定される。
 
給与計算においては労働基準法上、「賃金全額払いの原則」が支配しており、端数処理においてさえその規制は及ぶ。しかし、[[保険料]]や[[所得税]]等の[[租税|税金]]はそれぞれの法律の根拠に基づき給与より天引き([[控除]])されることが許されている([[源泉徴収]],[[給与税]]参照)。また、労働基準法上、従業員との協定により控除が許される場合がある(協定控除)。名目上の給与に対し、実際に従業員に支払われる給与のことを俗に「手取り」と呼ぶ。
 
給与には、課税の対象となるかどうかで課税給与と非課税給与という分類がある。[[所得税]]額を計算するに当たっては重要な区分である。また、毎回決まった額が支給されるかどうかで、「固定的給与」、「変動的給与」という分類が存在する。(固定的給与も[[昇給]]などの理由で変動することがある。[[標準報酬月額]]、[[随時改定]]も参照。)給与の総支給額は固定的給与と変動的給与を足し、不就労部分の給与を差し引くことにより決定される(ノーワーク・ノーペイの原則)。つまり、給与の決定にあたっては、[[労働時間]]の把握が重要になってくる。
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=== 支払方法 ===
それぞれの[[企業]]がどのような給与の体系をとるかは、[[就業規則]]において[[賃金#賃金体系|給与体系]](賃金体系)として決定されている。[[従業員]]は給与明細を参照することでも給与体系を知ることが出来る。給与明細は[[基本給]]や各種手当といった給与項目によって成り立っている。給与明細を記した書面を給与明細書という。具体的な給与の計算方法([[給与計算]])は、それぞれの企業の給与規程によって決定される。
{{Main|賃金#賃金支払五原則}}
 
給与計算においては労働基準法上、「賃金全額払いの原則」が支配しており、端数処理においてさえその規制は及ぶ。しかし、[[保険料]]や[[所得税]]等の[[租税|税金]]はそれぞれの法律の根拠に基づき給与より天引き([[控除]])されることが許されている([[源泉徴収]],[[給与税]]参照)。また、労働基準法上、従業員との協定により控除が許される場合がある(協定控除)。名目上の給与に対し、実際に従業員に支払われる給与のことを俗に「手取り」と呼ぶ。
 
給与の支払い方法は、それぞれの企業において就業規則を労働基準法で作成する義務がある場合には、これを規定する必要がある。支払い形態としては、日払、日給月給、月給、[[年俸制|年俸]]などの種類がある。[[労働基準法]]24条の「賃金支払五原則」に則り、毎月一回以上、一定期日において支払わねばならない。
{{Main|賃金#賃金支払五原則}}
 
法文上は、支払い方法は[[貨幣|通貨]]による直接渡しが原則である(通貨払いの原則)。[[銀行]]等金融機関口座への振込(給与振込)は法文上あくまで例外的な措置であり、'''労働者の個別の同意'''が無い限りは違法である(労働基準法施行規則第7条の2第1項)。給与振込の導入については、従業員の個別の同意を得ることのみが、労働基準法上の要件である。給与振込に関する通達に基づく条件を企業側が満たすことは法律上の要件ではない。労働者が現金支給を求めるならば、これを拒否することができない。なお、労働者が給与振込を求めても企業側が応じる法律上の義務はない。賃金支払に関する[[労働協約]]がその事業場全体に適用される場合であっても個別の労働者の同意が必要である(通達平成10.9.10基発第530号、平成13.2.2基発第54号、平成19.9.30基発第0930001号)。なお、振込手数料について労働基準法の条文では、使用者、労働者のいづれが負担すべきかについて定めはなく、使用者と労働者で交渉して決するものである
 
大企業においては給与振込が主流となっている。中小企業やパート・[[アルバイト]]への支払いについては、手渡しで行われている例もある。
 
[[公務員]]においては、以前は手渡しが主流だったが、その後金融口座への振り込みが主流となった。なお、公務員への給与支払いについて、[[読売新聞]]が2005年9月26日の記事で、「特に[[農林水産省]]の手渡し率が高い」と報道した。それに対し農林水産省は「手渡し率が高かったのは半年前のデータであって、現在(2005年9月時点)は口座への振り込み率はほぼ100%だ」と反論している<ref>{{Cite press|title=農林水産省職員の給与の全額振込の状況について(速報値) |url=http://web.archive.org/web/20070424211210/http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050927press_1.html |publisher=農林水産省 |date=2007-09-27 }}</ref>。行政機構の効率化を求めることから、マスコミが公務員の給与振込の遅れを指摘するが、現金支給については本来'''違法ではない'''。また、公務員の支給に際しては「給与の一部を振込、残りは現金支給」を求める職員も多く、農水省の件はその両方をしている職員がいるためにそのようなデータになる。
 
給与振込について、使用者は労働者が受け取る金融機関の口座に振り込むのだが、使用者が特定の金融機関を指定することはできない。給与を支給する企業が、その企業と銀行との間に取引があるからとか、複数の金融機関に振り込むのが煩雑だとかの理由で、金融機関を指定することはできないのである。
 
労働基準法では賃金の支払い場所についての規定はなく、民法の一般原則に従い持参債務になり(民法484条)、賃金の債務者となる使用者は労働者の自宅において支払いを行わなければならない。ただ一般的には特段の事情がない限りは就業場所で支払いを行っていることが多いが、その法的根拠はなにもない。また、明確に特約を設ければ、就業場所以外の場所(例えば、就業場所が大阪で、支払場所が東京にある賃金計算センターなど就業場所から遠く離れていても可能)で賃金の支払いをすることも可能である。また、最後の給料の支払いだけを本社支払いにするなど、支払時期ごとに支払場所を変更することも可能である。
 
なお、賃金を口座振込にした場合、支払い場所は銀行口座のある銀行の本支店の住所地になるが、海外の銀行を指定した場合には賃金不払いの犯罪の発生地点は海外となり、属地主義である労働基準法の適用はなくなり、実際に海外の銀行を犯罪発生地とした送検事例は過去に1例もない。
 
=== 給与の動向 ===