「生物の分類」の版間の差分

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生物に関する科学的知見が蓄積されるにつれ、生物の分類は何度も修正されたが、特に20世紀末の分子系統解析の成果により、大きな修正が図られた。本稿ではこの分子系統解析の成果に基づいた近代的な系統分類を述べる。
 
[[File:Phylogenetic tree.svg|300x300px|thumb|生物全体の3ドメインへの分類|代替文=]]
 
=== ドメイン ===
{{Main|ドメイン (分類学)}}
 
分子系統解析(の一つである[[16S rRNA系統解析]])によって得られた大きな成果は、生物全体が[[ドメイン (分類学)|'''ドメイン''']]と呼ばれる3つの[[単系統群]]([[細菌]](Bacteria)、[[古細菌]](Archaea)、[[真核生物]](Eukaryota))に分類される事がわかったことである<ref name="Adl">{{cite|journal=J. Eukaryot. Microbiol.|volume=59|issue=5|year=2012|pages=429–493|title=The Revised Classification of Eukaryotes|first=Sina M.|last=Adl|first2=Alastair G. B.|last2=Simpson|last3=''et al.''|url=http://www.paru.cas.cz/docs/documents/93-Adl-JEM-2012.pdf}}</ref><ref>{{Cite book|ref=伊藤12|author=伊藤元己|editor=太田次郎、赤坂甲治、浅島 誠、長田敏行|title=植物の系統と進化|series=新・生命科学シリーズ|date=2012/5/1|year=|accessdate=|publisher=裳華房|isbn=978-4785358525|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=}} p6</ref><ref>{{Cite book|author=Lisa A. Urry|title=キャンベル生物学 原書11版|date=2018/3/20|publisher=丸善出版|isbn=978-4621302767|page=655|translator=池内昌彦、伊藤元己、箸本春樹 、道上達男|author2=Michael L. Cain|author3=Steven A. Wasserman|author4=Peter V. Minorsky|author5=Jane B. Reece}}</ref><ref>{{Cite book|author=P. レーヴン|title=レーヴン ジョンソン 生物学〈下〉(原書第7版)|date=2007/5/1|publisher=培風館|page=518|author2=J. ロソス|author3=S. シンガー|author4=G. ジョンソン}}</ref><ref>{{Cite book|和書|ref=藤田(2010)|author=藤田敏彦|title=動物の系統分類と進化|series=新・生命科学シリーズ|date=2010/4/28|publisher=裳華房|isbn=978-4785358426|}}p91</ref>。これは、これまで「[[原核生物]]」と称されていた[[真核生物]]以外の生物群が実は[[細菌]]と[[古細菌]]という2種類の系統に分かれていた事を意味する。また[[後生動物|(後生)動物]]のような我々のよく知る[[多細胞生物]]はいずれも[[真核生物]]に属するが、[[単細胞生物]]は、[[細菌]]、[[真核生物]]、[[古細菌]]のいずれのドメインにも属する。
 
[[ファイル:Eocyte_hypothesis.png|代替文=|サムネイル|300x300ピクセル|細菌(青字)、真核生物(緑字)、古細菌(赤字)の関係。左は古細菌を単系統とする説(3ドメイン系統樹)、右はエオサイト説。エオサイト説に従えば、古細菌は真核生物を除いた側系統群であるということになる。]]
 
==== エオサイト説 ====
なお、真核生物は古細菌から進化したとする有力な仮説([[エオサイト説]])がある。この仮説を認めた場合、古細菌は[[側系統群]]で、真核生物と古細菌をあわせた全体が単系統群である事になる為、単系統群のみを分類群とする原則に従えば、3つのドメインにわけるよりも、「真核生物+古細菌」と「細菌」の2つに分けるほうが適切という事になる。しかし本稿では、2018年現在多くの学術書等で採用されている3ドメイン説を前提に話を進めるものとする。
 
=== 従来の分類との関係 ===
3ドメイン説とそれまでの説の関係を以下にまとめた:
 
{| class="wikitable" style="margin-left: 0.5em;"
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<!-- Eukarya -->
|}
上の表の「動物界」、「植物界」などに登場する「界」という語は、生物の分類階級の一つで、3ドメイン説が登場するまでは最上位の分類階級として位置づけられていた。それに対し3ドメイン説ではまず生物全体を3つのドメインに分け、これらドメインよりも下位の分類階級として「界」を扱う。なお、日本の初等教育では3ドメイン説以前の二界説(2011年まで)ないし五界説(2012年以降)に基づいて生物の分類を説明している<ref>{{Cite web|url=https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/j-scie/q_a/life1_06.html|title=中学校理科教科書「未来へ広がるサイエンス」|accessdate=2018/07/11|publisher=[[啓林館]]}}</ref>。
 
=== 真核生物のスーパーグループ ===