「酢酸鉛(II)」の版間の差分

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甘味があり、歴史的に砂糖の代替物として用いられていた。
 
[[古代ローマ]]においては、[[蜂蜜]]以外に手に入る[[甘味料]]は少なかった。
[[古代ローマ]]においては、[[蜂蜜]]以外に手に入る[[甘味料]]は少なかったため、完熟させた[[ブドウ]]の果汁([[ムスト]])を鉛でコーティングされた青銅器で煮ることによって得られるサパ (sapa) と呼ばれる[[シロップ]]が甘味料として好んで作られていた。このシロップは殺菌効果もあったことから、当時[[ワイン]]の甘み付けや果物の保存に一般的に使われていた。しかしこれには製造の過程で青銅器にコーティングされた酢酸鉛などの鉛化合物が、加熱によって溶解される事に加えて焦げ付き防止のために掻き混ぜる際擦れて溶け出し含まれてしまうため、大量の鉛が溶け出したシロップを添加したワインを好んで飲んだ者が[[鉛中毒]]となっていた可能性が否定できず、多くの皇帝など古代ローマの記録に残る有名な人物の発狂や死の原因ともなったと考える研究者がいる。
 
そのため完熟させた[[ブドウ]]の果汁([[ムスト]])を、鉛でコーティングされた青銅器で煮ることによって得られるサパ (sapa) と呼ばれる[[シロップ]]が、甘味料として好んで作られていた。
 
このシロップは殺菌効果もあったことから、当時[[ワイン]]の甘み付けや果物の保存に一般的に使われていた。しかしこれには製造の過程で青銅器にコーティングされた酢酸鉛などの鉛化合物が、加熱によってとけこんでいる。加えて焦げ付き防止のために掻き混ぜる際に被膜が擦れて傷つき、より多くがシロップに溶け込むことになる。
 
当時ワインを好んで飲んだ者が、このようなシロップを添加したことから[[鉛中毒]]となっていた可能性が否定できず、多くの皇帝など古代ローマの記録に残る有名な人物の発狂や死の原因ともなったと考える研究者がいる。
 
実際に、作曲家[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]]が、その晩年ほぼ耳が聴こえなくなった原因として、ベートーヴェンの毛髪から通常の100倍近い大量の鉛が検出されたことから、鉛中毒という説がある。彼は生前年代を指定して飲むほどワインを愛飲しており、当時のヨーロッパでは、ワインの醸造過程で甘味料として酢酸鉛を含むサパなどの鉛化合物類が頻繁に加えられていた事から、鉛入りのワインを大量摂取する形となり鉛中毒を引き起こしたとされる(詳しくは[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン#死因また健康について|「ベートーヴェン」の節「死因また健康について」]]を参照)。