「後拾遺和歌集」の版間の差分

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この歌集は、絢爛たる王朝文化が衰退しはじめた頃、華やかなりし昔を振り返ったともいうべきものである。主な歌人としては、[[和泉式部]](67首)・[[相模 (歌人)|相模]](39首)・[[赤染衛門]](32首)・[[能因|能因法師]]<!--男性-->(31首)・[[伊勢大輔]](26首)と、[[一条天皇|一条朝]]前後の宮廷で活躍した歌人が上位を占め、女流歌人の比重も3割と大きい。そのほかにも、[[清原元輔]]・[[大中臣能宣]]・[[源道済]]・[[藤原長能]]・[[藤原公任]]ら後撰・拾遺時代の歌人も重視されている。和泉式部の激情がほとばしる恋歌から、赤染衛門の細やかな思い遣りの贈答歌、能因・[[良暹]]ら僧侶歌人の旅情豊かな歌、[[曾禰好忠]]の大胆で型破りの歌まで、その作者・作風ともに多種多様である。また詠歌背景を詳しく説明する長文の詞書が多く、散文的特色が指摘されている。
 
しかし『後拾遺集』は格調よりも率直な情感を重んじ過ぎたため、撰者が若輩の歌人だったこともあいまって、撰進当時から批判の声が高かった。歌壇の重鎮でありながら撰者の任に漏れた大納言[[源経信]]に至っては、わざわざ『[[難後拾遺]]』を著しこれを散々に論難するほどだった。
 
== 注解 ==
*『後拾遺和歌集 全訳注』藤本一恵全訳注、[[講談社学術文庫]](全4巻)、1983年
*『後拾遺和歌集』[[久保田淳]]・平田喜信校注、[[岩波文庫]]、2019年9月。旧版は[[西下経一]]校注
**元版『新[[日本古典文学大系]]8 後拾遺和歌集』[[岩波書店]]、1994年