「アンドレア・ドウォーキン」の版間の差分

バーデンタールの意見に出典
(バーデンタールの意見に出典)
[[File:Dworkin on After Dark.JPG|thumb|イギリスのテレビ討論番組に出演するアンドレア・ドウォーキン([[1988年]])]]
'''アンドレア・リタ・ドウォーキン'''(Andrea Rita Dworkin、[[1946年]][[11月26日]] - [[2005年]][[4月9日]])は、[[アメリカ合衆国]]の[[法哲学]]者、[[ノンフィクション]]作家、反ポルノ活動家、政治運動家。[[ニュージャージー州]][[カムデン (ニュージャージー州)|カムデン]]生まれ。ユダヤ系。
 
==概要経歴と思想==
1960年代から平和運動や[[アナーキズム]]に関わるが、[[左翼]]の中にもひそむ女性への暴力に気づく。[[オランダ]]に渡り、結婚生活を送るが、夫からの暴力を受け、1970年代初頭より[[ラディカル・フェミニスト]]として活発に活動するようになる。[[ポルノ]]や売春の暴力性を訴え、[[キャサリン・マッキノン]]とともに反[[ポルノグラフィ]]運動やデモを行った。文芸批評においても、男性作家達がレイプや性暴力をエロティックに肯定していると糾弾した。彼女の思想は、「合意の上で行われた結婚もレイプと同じ」であり、「ポルノは撲滅されるべきもの」という偏向した考え方であった。自身の思想を実現するためには、表現規制や抗議行動は当たり前と捉えていた。彼女らの行動は、先進国の憲法や民主主義とは相いれないものであった。
 
[[ラディカル・フェミニズム]]を象徴する人物であるが、その急進的な主張には反フェミニズムのみならず[[リベラル・フェミニズム]]からも批判を受けている<ref>例えばA. SnitowとP. Califiaの『ポルノと検閲』やN. Strossenの『ポルノグラフィ防衛論』を参照。</ref><ref>[http://clinamen.ff.tku.ac.jp/CENSORSHIP/Porn/porn_art_2.html ポルノをめぐる諸問題ーー反ポルノ派フェミニズム批判]</ref>。その一方で共感や支持も少なくないのも確かである<ref>{{cite web|url=http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/article381977.ece|title=Right hails Dworkin sex campaign|date=2005年 |accessdate=2009年9月12日 |author=Sarah Baxter}}</ref>。
 
極端な肥満体のため、晩年は[[変形性膝関節症]]や[[血栓]]などの病気に悩まされ、[[2005年]]に[[ワシントンD.C.]]の自宅で睡眠中に[[心筋炎]]により死去した。58歳
==思想==
著書『ポルノグラフィ―女を所有する男達』(ISBN 9784791751280)で、以下のように書いている。
 
ドウォーキンは著書『ポルノグラフィ―女を所有する男達』(ISBN 9784791751280)で、以下のように書いている。常人には理解不能な思考が、頻繁にあらわれている。
 「結婚とはレイプを正当化する制度。レイプは本来、婦女を無理矢理連れ去るという意味だが、連れ去って捕虜にすると結婚になる。結婚とは捕虜である状態の拡大延長。略奪者による使用のみならず所有を意味する」
 
 「結婚とはレイプを正当化する制度。レイプは本来、婦女を無理矢理連れ去るという意味だが、連れ去って捕虜にすると結婚になる。結婚とは捕虜である状態の拡大延長。略奪者による使用のみならず所有を意味する」「家族という孤立した小単位に分断されることにより、人々は共通利益のために一致団結して闘うことができなくなった」
 
ドウォーキンにとって制度は、それが宗教的なものであれ慣習であれ法律であれ、女に対する男の優位を創りだして持続させるものとしての性交に、貢献している。性交は「プライヴェート」なものではない(『インターコース 性的行為の政治学』、第8章「法律」)。「プライヴァシー」は国家の規制を被らない自由の領域であるが、女にとってはしばしば独房、ゲットーになる。
 
ドウォーキンによれば、身体の接触を伴わない「強姦」がある。ポルノグラフィの撮影のさい、被写体の女が使用されたとき、それは「第1の強姦」である。「第2の強姦」は、その写真を見る人がそれを消費することである(『ポルノグラフィー女を所有する男たち』、第5章「力の行使」)。ここでドウォーキンが言及している写真は2人の女が写ったものと女の恥部がクローズアップされたものである。また、ドイツ版『プレイボーイ』からアメリカ版に再掲載された、レーザー照明が使用されているというべつの或る写真に至っては、「魔女は火あぶりにされた。ユダヤ人は焼却された。レーザーは焼く。ユダヤ人であり女である『プレイボーイ』のモデルは、捕らわれ、縛られ、焼かれる危機にさらされている」と、ドウォーキンは言う。このモデルがユダヤ人「である」という表現が隠喩であるのか否かは判然としない
 
また、ドイツ版『プレイボーイ』からアメリカ版に再掲載された、レーザー照明が使用されているというべつの或る写真に至っては、「魔女は火あぶりにされた。ユダヤ人は焼却された。レーザーは焼く。ユダヤ人であり女である『プレイボーイ』のモデルは、捕らわれ、縛られ、焼かれる危機にさらされている」と、ドウォーキンは言う。このモデルがユダヤ人「である」という表現が隠喩であるのか否かは判然としない。なぜレーザーが「人を焼く」のか、なぜ女性の人種を「ユダヤ人」と断定するのか、常識的読者には永遠の謎である。
 
== 批判 ==
フランスの[[フェミニスト]]である[[エリザベット・バダンテール]]は、[[ラディカルフェミニズム]]を批判する本である<ref>エリザベット・バダンテール『迷走フェミニズム これでいいのか男と女』、2006年、夏目幸子 訳、新曜社、175頁。</ref>『迷走フェミニズム これでいいのか男と女』で、ドウォーキンを批判している。ドウォーキンと[[キャサリン・マッキノン]]の言う「男性支配」というコンセプトは、女性の抑圧の根源は男性性や男性のセクシュアリティであるという論理をもたらす。このコンセプトは、現実の複雑さや歴史性、男女関係の変化について考えるのを回避することに役立っている。バダンテールは、女性というジェンダーを「犠牲者化」するきらいのある保守的な[[ラディカル・フェミニズム]]を批判し、とくにドウォーキンと[[キャサリン・マッキノン]]に対しては、「極端すぎて女性を笑いものにする」と強く反対している<ref>『迷走フェミニズム これでいいのか女と男』所収、著者インタビュー。</ref>
 
バダンテールはまた、ドウォーキン『ポルノグラフィ 女を所有する男たち』の第2章「大人の男と男の子」の最終段落を引用し、ドウォーキンの結論を「強姦は異性愛の枠組みの一部だ」という主張であると見なしている<ref>「男が男になるためには、ペニスが男の暴力を具現していなければならない。暴力は男性的であり、男はペニスである、従って暴力はペニス自体、もしくはそこから発射される精子自体だということになる。男が男になるために、ペニスは己がなしうるすべてのことを無理強いでやらなければならない」。この文章は『迷走フェミニズム』でバダンテールが引用している箇所とは異なるが、ドウォーキン『ポルノグラフィ』の第2章「大人の男と男の子」の文章である。
== 脚注 ==
{{Reflist}}
 
==関連項目==
*[[全体主義]]
*[[極右]]
*[[右翼]]
*[[保守]]
 
{{Normdaten}}
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