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'''アセトスポラ'''(Ascetosporea、ギリシャ語 ''asketos'' 凝った造りの + ''spora'' 胞子)は主として海産[[無脊椎動物]]に[[寄生]]する[[原生生物]]の一群である。50種程度と小さなグループだが、これは海産無脊椎動物の寄生虫の研究が進んでいないためであり、おそらくはるかに多くの生物が存在していると想像される。'''略胞子虫'''(Haplosporidia)類と'''パラミクサ'''(Paramyxea)類の2群がありいずれも変わった構造の[[胞子]]を作るが、形態的に特に似ているというわけではないため一つの分類群にまとめることには異論も多い。
==略胞子虫==
略胞子虫類の宿主は普通は海産の[[軟体動物]]や[[環形動物]]だが、[[ホヤ]]・[[カニ]]・[[ウミユリ]]などほかの動物や淡水種に感染するものもある。
略胞子虫の胞子は形成過程も形態も非常に特徴的である。胞子形成はまず[[多核体|多核]]の変形体が[[細胞壁]]に包まれスポロントになる。スポロントの 少なくとも36種が知られている。胞子の開口部などの構造に注目して3属に分けていたが、分子系統解析によって胞子の知られていない''Bonamia''属が含められるようになった。これ以外に''Claustrosporidium''属(2種)が近縁ではないかと言われている。
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:宿主は幅広い。''H. nelsoni''(MSX病)、''H. costale''(SSO病)がアメリカガキの病原体として著名。ハプロスポリジウム症。20種以上。
;''Minchinia''
:[[貝類]]の寄生虫。''Haplosporidium''との区別には議論があり、上記2種も以前は''Minchinia''属に含められていた。4種。
;''Urosporidium''
:寄生性の[[吸虫]]類に寄生(超寄生)するものが多い。8種。
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==パラミクサ==
パラミクサ類
胞子形成は、特殊な細胞分裂を繰り返すことで起きる。これは核分裂の後に[[小胞体]]が融合して一方の核とその周辺の細胞質を切り離すというもので、結果的に[[娘細胞]]は母細胞の液胞の内部に生じることになる。この分裂様式は内生出芽(endogenous budding)とよばれ、同じ機構かどうかはわからないが[[オートファジー]]のような現象といえる。始めの一次細胞が内生出芽により内部に二次細胞を作り、二次細胞も内生出芽で三次細胞をつくるという具合に繰り返され、最終的に入れ子になった多細胞性の胞子が生じる。
10種が知られている。細胞内への出芽を何段階繰り返すかなど、胞子の入れ子構造によって5属に分けられている。▼
;''Marteilia''
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:貝類の寄生虫。''M. chungmuensis''はマガキ卵巣肥大症の病原体。2種。
;''Paramarteilia''
:
;''Paramyxa''
:''Paramyxa paradoxa'' 1種。[[多毛類]]''Poecilochaetus serpens''の幼生の消化管上皮細胞に見付かる寄生虫。
;''Paramyxoides''
:''Paramyxoides nephtys'' 1種。多毛類ハヤテシロガネゴカイ(''Nephtys caeca'')の消化管上皮細胞に見付かる寄生虫だが、とくに宿主に影響を及ぼさない。
==単系統性==
1990年代以降これらの生物でも分子系統解析が行われるようになったが、安定な結果が得られるには至っていない。まず略胞子虫類については、[[アルベオラータ]]に入ったり、[[細胞性粘菌]]と近縁とされたりしていたが、21世紀に入って得られた[[ケルコゾア]]門の根元付近という結果が妥当だろうと考えられている。一方パラミクサ類については分子情報が極めて少ないこともあり、未だに確定的と言える結果が出て
== 参考文献 ==
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| journal = Journal of Eukaryotic Microbiology
| year = 2005 | volume = 52 | issue = 5 | pages = 399-451}} [http://www.blackwell-synergy.com/doi/pdf/10.1111/j.1550-7408.2005.00053.x PDF available]
*{{cite journal| author = Berthe, F. C. J., Le Roux, F., Adlard, R. D., and Figueras, A.
| title= Marteiliosis in molluscs: A review
| journal = Aquatic Living Resources
| year = 2004 | volume = 17 | issue = 4 | pages = 433-448}} [http://www.ifremer.fr/docelec/doc/2004/publication-406.pdf PDF available]
*{{cite journal| author = Burreson, E. M. and Ford, S. E.
| title= A review of recent information on the Haplosporidia, with special reference to ''Haplosporidium nelsoni'' (MSX disease)
| journal = Aquatic Living Resources
| year = 2004 | volume = 17 | issue = 4 | pages = 499-517}} [http://www.edpsciences.org/articles/alr/pdf/2004/04/alr31.pdf PDF available]
*{{cite journal| author = Carnegie, R. B. and Cochennec-Laureau, N.
| title= Microcell parasites of oysters: Recent insights and future trends
| journal = Aquatic Living Resources
| year = 2004 | volume = 17 | issue = 4 | pages = 519-528}} [http://www.ifremer.fr/docelec/doc/2004/publication-408.pdf PDF available]
*{{cite journal| author = Levine, N. D. ''et al.''
| title= A newly revised classification of the protozoa
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