「マネー・マーケット・ファンド」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Pxenviq (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
1行目:
'''マネー・マーケット・ファンド'''(({{lang-en-short|Money Market Fund、'''MMF''')}})、[[金融商品]]の1つで、主に[[債券]]を組み入れ資産とする[[ミューチュアル・ファンド]]。銀行へ預金するような感覚で保有されていたが、[[世界金融危機]]で額面割れした。1971年、ブルース・ベント([[:en:Bruce R. Bent|Bruce R. Bent]])、ハリー・ブラウン([[:en:Henry B. R. Brown|Henry B. R. Brown]])の2人が「''リザーブ・ファンド''」を設立し、アメリカの[[公社債]]を[[証券化]]した
 
== 歴史 ==
==預金との競争==
1971年、ブルース・ベント([[:en:Bruce R. Bent|Bruce R. Bent]])、ハリー・ブラウン([[:en:Henry B. R. Brown|Henry B. R. Brown]])の2人が「''リザーブ・ファンド''」を設立し、アメリカの[[公社債]]を[[証券化]]した。
 
===預金との競争===
[[1973年]]の[[オイルショック]]で[[インフレーション]]が進み、銀行預金の実質的価値が一層目減りした。1974年2月、ドレフュス商会(1994年に[[メロン・フィナンシャル]]と合併)のハワード・スタインが[[ノーロードファンド|ノーロード]]のMMF(Dreyfus Liquid Asset Fund)を開発した。年内に7億ドルを売上げ、全米の投信会社が模倣するようになった。こうしたMMFは銀行預金よりも利回りが良かったが、MMFで集めた資金は大口の[[譲渡性預金]]を購入しやすい金利の[[メガバンク]]へ向かった。[[ポール・ボルカー]]はその開発力を称えつつ、しかし銀行を淘汰する性質に対して斬新なら良いわけではないと苦言を呈した。ノーロード化に躊躇する[[フィデリティ・インベストメンツ]]などは、CMA(Cash Management Account、証券総合口座)を設定しMMF運用資金を[[株式]]購入に充てられるようにしたり、[[当座預金]]として使えるよう[[小切手]]を振り出せるようにしたりした。業界の動向は[[1970年代]]に起こったMMFへの大量資金流入の要因となった。
 
9 ⟶ 12行目:
マネー・マーケット・ファンドは基準価額(純資産価格)を安定して1ドルに保つことを目指す。基準価額が1ドルを下回った場合、そのファンドは「額面割れ」(break the buck)したといわれる。
 
=== 1994年 ===
1994年、「コミュニティー・バンカーズ(The Community Bankers US Government Fund)」が額面割れし、額面1ドル当たり96セントを投資家に返還した。これはマネー・マーケット・ファンドの23年間の歴史で初のことである。このファンドは資産の相当割合を変動金利債券([[ユーロ債]])に投資していたが、金利が上昇するにつれて、これらの債券の価値が低下したため額面割れが生じたのである。このファンドは[[機関投資家]]向けに設定されていたため、個人投資家は直接影響を受けなかった。2008年9月16日[[リーマン・ブラザーズ]]証券の破綻を受けてリザーブ・プライマリー・ファンドが額面割れし、価格は額面1ドル当たり97セントとなった。<ref>[[ロイター]] 「米MMFが額面割れ、運用会社は安全性強調」 2008/09/17</ref>
 
=== 2008年 ===
銀行へ預金するような感覚で保有されていたが、[[世界金融危機]]で額面割れした。
 
2008年9月16日[[リーマン・ブラザーズ]]証券の破綻を受けてリザーブ・プライマリー・ファンドが額面割れし、価格は額面1ドル当たり97セントとなった。<ref>[[ロイター]] 「米MMFが額面割れ、運用会社は安全性強調」 2008/09/17</ref>
 
MMFには投資家からの大量の解約が殺到し、[[カナダ#パワー・コーポレーション|パワー・コーポレーション]]傘下のパトナム・インベストメンツのMMFも大量の解約を理由に閉鎖された。[[世界金融危機]]はMMFという[[シャドー・バンキング・システム]]に教訓を残した。
 
=== 2016年からの規制 ===
リザーブ・プライマリー・ファンドなどのプライムMMFは信用リスクをとって、[[コマーシャル・ペーパー]](CP)や[[譲渡性預金]](CD)を購入し組み入れていた。2014年8月プライムMMFは、時価会計が適用されたり、解約が制限されたりするなど、規制されることが公表された<ref>ロイター 金融界の「巨象」米MMFの規制強化、危機深刻化させるリスクも 2014/08/12</ref>。この規制は2016年10月から施行された。MMF運用会社がプライムMMFから政府債MMFに衣替えしたこともあって、同年の上半期に[[米国債]]の人気は加速した。レポ市場でCDとCPが取引されるほどの資金シフトが債券市場で起こり、外貨MMFの運用利回りは低下した。それで、低めの格付けにもかかわらず[[日本国債]]が市場から姿を消すようになった。