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{{Legend|#FFD0D0|桃:制度があるが、上記の値に達していない地域}}]]
[[File:Public and private health expenditure by country.svg|thumb|400px|right|OECD各国の財源別保健支出。<br>水色は政府一般歳出、紫は社会保険、赤は自己負担、橙は民間保険、緑はその他{{Sfn|OECD|2013|loc=Chapt.7.6}} ]]
'''医療保険'''(いりょうほけん、Health Insurance)とは、[[医療機関]]の受診により発生した入院費や手術費といった[[医療費]]について、その一部又は全部を保険者が給付する仕組みの[[保険]]である。
 
高額の医療費による[[貧困]]の予防や生活の安定などを目的としている。長期の入院や先端技術進医療による治療などに伴う高額の医療費が、被保険者の直接負担となることを避けるために、被保険者の負担額の上限が定められたり、逆に保険金の支給額が膨らむことで保険者の財源が圧迫されることを防ぐため、被保険者の自己負担割合や自己負担金が定められていたり、予め保障範囲が制限されていたりすることが多い。
 
==種別==
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強制加入の公的医療保険と、任意加入の私的(プライベート)医療保険の2種類に分けられる。
 
公的医療保険は予め被保険者の範囲が行政によって定められている医療保障制度である。多くの[[先進国]]では公的な医療保険制度を用意しているが、対象者の範囲や財源方式については国により異なる{{Sfn|OECD|2013|loc=Chapt.7.6}}。公的医療保険でも引受人が政府機関とは限らず、民間企業が引き受ける国もある([[オランダの医療]][[スイスの医療]]など)。
 
これに対して、私的医療保険は、任意加入であり、契約者の財産や所得に応じて、複数の保険会社が用意するメニューからプランを選ぶことが可能である。私的医療保険に期待される役割は、国ごとに大きく異なる。なお任意加入の医療保険では、自己の健康状態に不安がある人ほど保険加入のインセンティブを持つため、いわゆる[[逆選択]]により健康状態の不良な被保険者集団が形成されるおそれがある。特に手術給付金など、加入者が受診を選択できる保障でこの傾向が強い。また、保険金[[詐欺]]を目的に保険加入するといった[[モラルリスク]]の問題もある。
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{{See also|日本の医療}}
日本では「国民皆保険」とされ、[[生活保護]]の受給者などの一部を除く日本国内に住所を有する全国民、および1年以上の在留資格がある[[日本の外国人]]は何らかの形で公的医療保険に加入するように定められている(≠[[強制保険]])。
 
日本で最初の健康保険制度は、[[第一次世界大戦]]以後の[[1922年]]([[大正]]11年)に初めて制定され、[[1927年]]([[昭和]]2年)に施行された職域の被用者保険であった。元は鉱山労働などの危険な事業に就く労働者の組合から始まったこの制度は徐々にその対象を広げ、市町村などが運営する国民健康保険制度の整備により“[[国民皆保険]]”が達成されたのは[[1961年]](昭和36年)である。
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====保険会社の事情====
;公的医療保険利用の利点
:保険会社(加害者)側としては、公的医療保険を利用する事で自由診療より賠償金総額を低く抑えることが出来る。
;公的医療保険利用の難点
:患者の回復が思わしくない場合、患者・医療機関・保険会社3者の間で訴訟に発展することがある。これは自由診療でも同様に起こる事であるが、過分な初期医療行為を受けられない分だけその可能性が高まる。
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外国では日本の公的医療保険は使えないが、外国でけがや病気になって現地の医療機関を受診した場合、国外で支払った医療費について、帰国してから加入している保険者に請求することのできる'''海外療養費'''という制度がある。ただし、手続きには診療内容明細書(診療の内容、病名・病状等が記載された医師の証明書)と領収明細書(内訳が記載された医療機関発行の領収書)、およびこれの和訳文が必要となる上、公的医療保険から支給される金額は日本での同様の病気やけがの医療費(標準額)と支給決定日の外国為替換算率を基準に算定されるため、外国でかかった医療費が高額な場合は公的医療保険から戻される割合が低いことがある。
 
また、救急車代(外国では基本的に救急車は有料)などは対象にならないことや、一時的に医療費を立替払いする必要が生じるため、海外旅行傷害保険を契約([[クレジットカード]]によっては標準でセットされていることも多い)しておくと、医療費の請求を保険会社に 回すことができ、主要国では現地での日本語によるサポートが受けられることが多い。海外旅行傷害保険から医療費が保険金の形で降りても、公的医療保険の海外療養費の支給額が減額されることはないとのこと<ref>[http://www.city.ichikawa.chiba.jp/net/hoken/kokuho/kaigai.htm 海外療養費について]</ref>。
 
===日本における民間医療保険の状況===
日本における民間医療保険は、あくまでも公的な公的医療保険補完である。すなわち公的医療保険によって生じる自己負担額分の補填[[差額ベッド]]代や交通費などの雑費、さらには休職による収入減少分などを補う現金給付、すなわち公的医療保険の補完が目的である。また、悪性疾患と診断をされた場合の「お見舞い金」という名目のものもある。診断結果、傷害の程度、手術の種類、通院や入院の日数などに応じて、定められた給付額が支払われるというプラン多い。民間の保険会社により販売されるものであり、直接の公的助成はないものの、支払った保険料は一定の条件のもとで[[所得税]]計算上の控除額(生命保険料控除)に計上できる。
 
「[[第三分野保険]]」と分類されるこの分野は、中小の国内生保や外資生保がとして[[アメリカ合衆国|きており、特に米国]]へ配慮から{{要出典|date=2009年6月}}、[[外資系]]生命保険会社の[[独占]]維持されていた。国内の保険会社は、生命保険などに付随する[[特約]]という形でのみ販売が可能であっを伸ばしてきた。結果、一例として[[特定疾病保険]]の代表である[[がん保険]]分野では、[[1974年]](昭和49年)に日本での営業を開始した米国の[[アメリカンファミリー生命保険]](アフラック)1生命保険株式会による[[寡占|寡占状態]]となっ)が日本で初めてがん保険を売り出し、長年首位の座を維持してきてい
 
[[2001年]](平成13年)、米国との合意に基づいて第三分野保険分野自由化が認められ、日本国内の[[生命保険会社]]・[[損害保険|損害保険会社]]の本格参入が初めて可能となった。り、その後、多数の保険会社がこの市場に参入した。[[2006年]](平成18年)11月、外資系を含む多くの保険会社で、医療保険を中心とした第三分野保険における[[保険金不払い事件|保険金の不当不払い]]が大量に行われていたことが明るみに出た。
{{Main|第三分野保険#第三分野保険における不当な不払い}}