「労働協約」の版間の差分

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労働協約は労働組合と使用者側との契約であることから、協約上特に適用範囲を限定しない限り締結した労働組合に加入している組合員全員に適用され、当該組合員でない者に対して効力が及ぶものではない。しかし、労働組合が[[b:労働組合法第17条|第17条]]・[[b:労働組合法第18条|第18条]]のどちらかの要件を満たした場合は、その労働組合が締結した労働協約が当該組合の組合員以外の者にも自動的に拡張適用される('''一般的拘束力''')。
 
*第17条の「一の工場事業場」とは、個々の工場事業場を指し、一の企業が数個の工場事業場を有する場合は、その企業内の個々の工場事業場の各々が第17条にいう「一の工場事業場」であり、また第17条の適用は、「一の工場事業場」ごとになされるのであるから、ある企業に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数のものが一の労働協約の適用を受けているとしても、その企業の或る工場事業場において、その労働協約の適用を受ける者の数がその工場事業場に常時使用される同種の労働者の数の4分の3に達しない場合、その工場事業場においては、本条の適用はない(昭和29年4月7日労発111号)。
*残り4分の1未満の同種の労働者が、当該協約を締結した組合以外の労働組合を別個に結成していたような場合でも、少数組合の既有の権益を侵害するものでないかぎり少数組合の組合員に対しても拡張適用されるが(大阪地判昭和49年3月6日)、少数組合が独自の判断で固有の労働協約を締結している場合には、多数組合の労働協約を少数組合に拡張適用することは許されない(東京地判昭和44年7月19日)。実際にはこうした場合、多数組合との労働協約に沿って[[就業規則]]を改定し、それを少数組合に適用することになる。
*非組合員等特定の労働者に労働協約の一般的拘束力を適用することが諸般の事情から見て著しく不合理であるとみなされる特段の事情があるような場合には、拡張適用は認められない([[朝日火災海上保険]](高田)事件。最三小判平成8年3月26日)。
 
*第17条は労働協約の締結状況だけで自動的に適用されるのに対し、第18条では大臣又は知事の決定によってはじめて効力を生じる。もっとも[[企業別労働組合]]が圧倒的な主流である日本では、第18条によって拡張適用が実現された例はきわめて少数しかない<ref>厚生労働省労政担当者参事官室編「労働組合法・労働関係調整法(5訂新版)」(労務行政研究所、2006年)p.658~によれば、労働組合法施行後、第18条による拡張適用は8件のみであり、1989年(平成元年)に愛知県で決定されたものを最後に例がない。</ref>。
*第17条は労働協約の締結状況だけで自動的に適用されるのに対し、第18条では大臣又は知事の決定によってはじめて効力を生じる。もっとも[[企業別労働組合]]が圧倒的な主流である日本では、第18条によって拡張適用が実現された例はきわめて少数しかない<ref>厚生労働省労政担当者参事官室編「労働組合法・労働関係調整法(5訂新版)」(労務行政研究所、2006年)p.658~によれば、労働組合法施行後、第18条による拡張適用は8件のみであり、1989年(平成元年)に愛知県で決定されたものを最後に例がない。</ref>。第18条の決議及び決定は、当該地域が一の都道府県の区域内のみにあるときは、当該[[都道府県労働委員会]]及び当該都道府県知事が行い、当該地域が2以上の都道府県にわたるとき、又は[[中央労働委員会]]において当該事案が全国的に重要な問題に係るものであると認めたときは、中央労働委員会及び厚生労働大臣が行うものとする(施行令第15条)。
 
== 労働契約・就業規則・労働協約の関係 ==