「交響曲第15番 (ショスタコーヴィチ)」の版間の差分

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「編成」の項目より「タンブーラ・ミリターレ」の記述を削除。タンブーラ・ミリターレとは、小太鼓を指すため。
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===第1楽章===
Allegretto [[イ長調]]
 
[[ソナタ形式]]と説明されることがあるが、実際は自由な形式で書かれている。[[ジョアッキーノ・アントニオ・ロッシーニ|ロッシーニ]]の[[ウィリアム・テル序曲|『ウィリアム・テル』序曲]]が引用されるが、このことについて作曲者自身は、深夜のおもちゃ屋さんをイメージしたと述べた。なお、息子のマクシムによれば、この曲はドミートリイが子供の頃に最初に好きになった曲であるという。さらに、ウィリアム・テルの[[ロシア語]]表記の最初の3文字と[[ウラジーミル・レーニン|レーニン]]の[[イニシャル]]が共に"ВИЛ"であることから、レーニンが[[ソビエト連邦]]の指導者であった作曲者の幼年期から青春時代をこの楽章は表しているとする説もある。また、この曲の3連音、4連音、5連音が同時に奏でられる「リズムクラスター」の複雑な箇所は[[交響曲第2番_(ショスタコーヴィチ)|交響曲第2番]]や[[ストラヴィンスキー]]の「[[春の祭典]]」との関連性も指摘されている。
 
===第2楽章===
Adagio - Largo [[ヘ短調]]
 
[[三部形式]] 。[[金管楽器|金管]]の[[コラール]]ではじまり、[[チェロ]]の十二音列風なモノローグがそれに続く。142小節からはラルゴに入り、[[葬送行進曲]]風の哀悼の調べとなる。[[チェレスタ]]の音型は、[[チェロ]]が提示した十二音列風モノローグの反行形であり、[[交響曲第1番 (ショスタコーヴィチ)|交響曲第1番]]冒頭部から取られているとみられる。
 
===第3楽章===
Allegretto [[ト短調]]
 
不気味さの漂う[[スケルツォ]]。冒頭で[[クラリネット]]が奏でる第1主題は十二音列となっている。作曲者が最晩年に用いた独自の音列的書法である。[[トリオ]]の主題は[[ヴァイオリン]]独奏によって現れされ、この辺りは[[協奏曲]]のような趣がある。再現部は短く、すぐに[[コーダ (音楽)|コーダ]]に入るが、コーダは終楽章のそれと同様、弦のピアニッシモにのって[[打楽器]]が静謐な音を刻む。
 
===第4楽章===
Adagio - Allegretto [[イ短調]]〜イ長調
 
アダージョでは[[リヒャルト・ワーグナー|ワーグナー]]の『[[ニーベルングの指環]]』より「運命の動機」が引用される。17小節からアレグレットに入るが、ここでも「運命の動機」は繰り返し登場する。アレグレット冒頭で現れる主題について、作曲者は[[ミハイル・グリンカ|グリンカ]]の[[歌曲]]『疑惑』の引用だと述べている。また、ここでは『[[トリスタンとイゾルデ_(楽劇)|トリスタンとイゾルデ]]』の断片も引用される。105小節からは長大な[[パッサカリア]]となるが、主題は[[交響曲第7番 (ショスタコーヴィチ)|交響曲第7番『レニングラード』]]の第1楽章「戦争の主題」である。第6変奏では主題の構成音が音列化されている。チェレスタの[[パッセージ]]と第1楽章断片の再現により静謐なコーダが始まる。38小節にわたって弦が「ミ(E)」と「ラ(A)」の音をピアニッシモで奏で、打楽器が[[交響曲第4番_(ショスタコーヴィチ)|交響曲第4番]]第2楽章コーダや第二チェロ協奏曲の終楽章の打楽器パートを引用する。自作からの引用ではここが最も目立つ箇所である。また、[[フランツ・ヨーゼフ・ハイドン|ハイドン]]の最後の交響曲である[[交響曲第104番_(ハイドン)|『ロンドン』]]の冒頭が引用されている。