「2乗3乗の法則」の版間の差分
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== 使用例 ==
*[[恒温動物]]に
*水中では[[浮力]]が働くため、動物の大型化には有利な環境だが、[[魚類]]のような[[鰓呼吸]]では体長が2倍になれば体重は8倍になるのに対し、[[鰓]]の表面積は4倍にしかならないので単位体重あたりの摂取できる酸素量は1/2になるため、大型化には自ずから限界があるとされる<ref>最大の魚類は[[ジンベエザメ]]</ref>。▼
▲[[恒温動物]]において小型動物は単位体重あたりの表面積が大型動物と比較して大きいため、熱として散逸するエネルギーが非常に大きくなり、体温を維持するために体重に比して大型動物より遙かに多量の食物を摂っている。また、同様の理由により恒温動物の小型化には限界がある。
*[[航空工学]]や[[船舶工学]]等においては、表面積に比例する[[抗力]]や[[揚力]]と、[[容積]]に比例する搭載量あるいは質量(重量・重力)などとが比較される。▼
*船舶における消費燃料量は喫水面の面積に比例し、積載量は容積に比例する。そのため、船を巨大化すれば単位積載量当たりの燃料効率は向上する。これが、[[タンカー]]や[[コンテナ船]]の巨大化が進む理由である。
▲水中では[[浮力]]が働くため、動物の大型化には有利な環境だが、[[魚類]]のような[[鰓呼吸]]では体長が2倍になれば体重は8倍になるのに対し、[[鰓]]の表面積は4倍にしかならないので単位体重あたりの摂取できる酸素量は1/2になるため、大型化には自ずから限界があるとされる<ref>最大の魚類は[[ジンベエザメ]]</ref>。
▲[[航空工学]]や[[船舶工学]]等においては、表面積に比例する[[抗力]]や[[揚力]]と、[[容積]]に比例する搭載量あるいは質量(重量・重力)などとが比較される。
*[[固体燃料ロケット]]の大きさを
*[[エキスパンダーサイクル]]の[[ロケットエンジン]]では燃焼室とノズルで燃料を気化して[[ターボポンプ]]を駆動するため、推力増大に向け、エンジンを大型化すると[[再生冷却]]によって燃料を気化、膨張させるための熱を抽出している燃焼器と[[ロケットエンジンノズル|ノズル]]の表面積は直径の二乗に比例して増えるが、加熱しなければならない燃料の体積は三乗に比例するので大型化すれば[[ターボポンプ]]を駆動するために必要なガスの発生量が相対的に不足するため、エンジンの最大の推力規模は約300kNと目され、それ以上はノズルの開口部を大きくしても、燃料ポンプのタービンを駆動するために必要な燃料を充分に加熱することが出来ない。▼
▲例えば船舶では、燃費の増加は喫水面の面積増に比例し、積載量の増加は容積増に比例する。そのため、船を巨大化すれば単位積載量当たりの燃料効率は向上する。これが、[[タンカー]]や[[コンテナ船]]の巨大化が進む理由である。例えば[[航空機]]では、[[ジェットエンジン]]の出力は[[酸化剤]]として取り入れる[[空気]]の量に、すなわちエンジンの断面積に比例するが、質量は体積に比例していると考えてよい。そのため、相似形の大きさの異なるエンジンを用いる場合、少数の大型エンジンを用いるより、多数の小型エンジンを用いる方が、[[出力重量比]]を大きくすることができる。この考え方は[[ノースロップ]]社によって、[[F-5 (戦闘機)|F-5]]戦闘機の設計に取り入れられた。
*[[熱]][[輸送]]論の観点から言及されることもある。たとえば[[伝熱]]問題を考えて、表面積に比例する放熱ないし吸熱量と、体積に比例する発熱量や質量(重量)とが比較される。[[動物]]で、これをより具体的かつ大まかに論じたものが[[ベルクマンの法則]]である。動物が大型化した場合は体積の増大に比して表面積の増大が小さいので、蓄熱効率が上昇するため、[[恒温動物]]では低温地帯に生息する生物ほど、体躯が大きくなる傾向になる。逆に[[変温動物]]の場合は、外気の温度を取り入れることが優先されるので、体積に比して表面積が大きいほうが吸熱効果が高いので、低温地帯ほど体躯が小さくなる傾向にあり、これを逆ベルクマンの法則と呼ぶことがある。▼
▲一方で、航空機の大型化に限界があること(小型化は容易であること)も説明できる。たとえば、ある航空機をそのまま2倍の大きさにしたとする。すると、体積は8倍になるので質量(重量)が8倍になる一方で、翼面積は4倍にしかなっていない。結局、[[翼面荷重]]が2倍も異なる、全く違う航空機になってしまうのである。
▲[[固体燃料ロケット]]の大きさを仮に2倍にした場合、2乗3乗の法則により、体積、重量は8倍になるが、燃焼断面の表面積は4倍にしかならないため、増加した重量に比例した推力を得るためには燃焼速度を2倍にする必要がある<ref>[http://www.isas.jaxa.jp/ISASnews/No.194/develop-03.html M-Vロケット推進系研究開発を振り返って]</ref>。そのため、大型化すればそれに応じて高速燃焼の組成の推進剤を開発する必要があり、固体推進剤の燃焼速度の問題が解決されない限り、実用上の固体燃料ロケットの大きさには上限があるとされる。
▲[[エキスパンダーサイクル]]の[[ロケットエンジン]]では燃焼室とノズルで燃料を気化して[[ターボポンプ]]を駆動するため、推力増大に向け、エンジンを大型化すると[[再生冷却]]によって燃料を気化、膨張させるための熱を抽出している燃焼器と[[ロケットエンジンノズル|ノズル]]の表面積は直径の二乗に比例して増えるが、加熱しなければならない燃料の体積は三乗に比例するので大型化すれば[[ターボポンプ]]を駆動するために必要なガスの発生量が相対的に不足するため、エンジンの最大の推力規模は約300kNと目され、それ以上はノズルの開口部を大きくしても、燃料ポンプのタービンを駆動するために必要な燃料を充分に加熱することが出来ない。
▲[[熱]][[輸送]]論の観点から言及されることもある。たとえば[[伝熱]]問題を考えて、表面積に比例する放熱ないし吸熱量と、体積に比例する発熱量や質量(重量)とが比較される。[[動物]]で、これをより具体的かつ大まかに論じたものが[[ベルクマンの法則]]である。動物が大型化した場合は体積の増大に比して表面積の増大が小さいので、蓄熱効率が上昇するため、[[恒温動物]]では低温地帯に生息する生物ほど、体躯が大きくなる傾向になる。逆に[[変温動物]]の場合は、外気の温度を取り入れることが優先されるので、体積に比して表面積が大きいほうが吸熱効果が高いので、低温地帯ほど体躯が小さくなる傾向にあり、これを逆ベルクマンの法則と呼ぶことがある。
この法則では物体の形状の違いについては論じていない。より詳しい議論の際には、たとえば[[断面二次モーメント]]や[[慣性モーメント]]なども考慮する必要が生じうる。
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