「なまはげ」の版間の差分

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なまはげを見るだけでなく、なれるツアーの募集を追記。画像が除去された残骸の文字をコメントアウト。
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家々を回る年中行事としてのなまはげを実施する集落は、かつては男鹿半島のほとんどだったが、[[少子高齢化]]の影響で、現在はほぼ半減している<ref name="kahoku20171229"/><ref name="Nikkei20130418">[https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1800R_Y3A410C1CC0000/ なまはげ伝承に「黄信号」 少子高齢化で担い手不足](『[[日本経済新聞]]』2013年4月18日)</ref>。男鹿市の調査によると、2015年までの25年間に行事が約35地区で行事が途絶えた<ref name="記者の目"/>。
 
本来、地区の未婚の男性がなまはげを務めるのが習わしだったが、高齢化と地区の人口減により担い手の若者が減ったため、既婚男性や高齢者、さらには帰省中の親族など地区外の者が務める例も見られるようになった<ref name="kahoku20171229"/><ref name="Nikkei20130418"/>。男鹿市の双六地区では、なまはげ役を県内にある[[秋田大学]]や[[国際教養大学]]の外国人留学生も務めることがある<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38364860Q8A131C1000000/ 「ナマハゲの継承に尽力 大切な文化、後世に」][[日本経済新聞]]ニュースサイト、2018年11月30日掲載の[[共同通信]]配信記事、2019年3月16日閲覧。</ref>。また、なまはげの主な訪問先である子供がいる世帯が少子化により減少しているため、実施する動機の減退も見られる<ref name="kahoku20171229"/>。その他、[[年末年始]]に仕事があったり、旅行などで不在だったりと、住民の生活の変化もなまはげの衰退の要因になっている。
 
対策として[[2012年]]度([[平成]]24年度)より男鹿市は、なまはげを実施する[[町内会]]に補助金を出すようになったが、同市内の148の町内会のうち同年度、補助金を受けて6会がなまはげを再開したものの、半数近い71会が実施しなかった<ref name="Nikkei20130418"/>。[[2015年]]度(平成27年度)も69会が実施しなかった<ref name="kahoku20171229"/>。
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=== 「鬼」化 ===
なまはげには角があるため、鬼であると誤解されることがあるが、本来は鬼ではない<ref>なまはげが神の一種であるのに対し、鬼は妖怪の一種であることからも、鬼とは全く別の存在であることが解かる。</ref>。なまはげは本来、[[鬼]]とは無縁の[[来訪神]]であったが<ref>{{Cite book|和書|author=大湯卓二・嶋田忠一|title=東北の鬼|year=1989|publisher=岩手出版|ncid=BN04047704||chapter=秋田の鬼}}</ref><ref name="komatsu01">{{Cite book|和書|author=[[小松和彦]]|title=妖怪文化入門|year=2012|publisher=[[角川書店]]|isbn=978-4-04-408303-8|pages=150-152}}</ref>、近代化の過程で鬼文化の一角に組み込まれ、変容してしまったという説がある<ref name="komatsu01" />。[[浜田広介]]の児童文学『[[泣いた赤鬼]]』([[1933年]])のような、赤(ジジナマハゲ)と青(ババナマハゲ)の一対となっていることがあるが、そのような設定がいつ頃からあるのかは不明である。
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{| class="wikitable"
|+「鬼」化され、赤・青一対になっている立像(秋田[[デスティネーションキャンペーン]]中の[[秋田駅]]、2013年11月)
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|align="center"|ジジナマハゲ
|align="center"|ババナマハゲ
|}-->
 
== 名称 ==
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| width = 250px
| topic =
| image1 = [http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1174001/253 菅江真澄牡鹿乃寒かぜに描かれた「ナモミハギ」]
| image2 =
}}
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* [[1964年]](昭和39年)2月、[[男鹿温泉郷]]の[[星辻神社]]({{ウィキ座標|39|58|3.8|N|139|44|38.6|E|region:JP|地図|name=星辻神社}})において、大晦日に男鹿半島各地で行われるなまはげと、[[1月3日]]に行われる[[真山神社]]({{ウィキ座標|39|55|37.6|N|139|46|0.7|E|region:JP|地図|name=真山神社}})の紫灯祭を組み合わせた観光イベント「'''[[#なまはげ柴灯まつり|なまはげ紫灯祭]]'''」が初開催された<ref name="PrefAkitaFireFes">[http://www.pref.akita.jp/fpd/bunka/namahage-2.htm なまはげ紫灯祭 NAMAHAGE FIRE FESTIVAL in OGA](秋田県「美しき水の郷あきた」)</ref>。後年、会場は真山神社に移された<ref name="PrefAkitaFireFes"/>。
* [[1978年]](昭和53年)[[5月22日]]、「男鹿のナマハゲ」として、国の[[重要無形民俗文化財]]に指定された<ref>[http://www.city.oga.akita.jp/index.cfm/14,1394,52,141,html 男鹿のナマハゲ](男鹿市)</ref>。
[[ファイル:Namahage.jpg|thumb|「なまはげ太鼓」の演奏風景([[秋田駅]]、2010年1月1日)。面が[[#「鬼」化|「鬼」化]]しており、衣装も藁ではなく毛糸や麻ひもを用いている。]]
* [[1988年]](昭和63年)、「'''なまはげ太鼓'''」が創作された<ref>{{PDFlink|[https://www.mgu.ac.jp/main/educations/library/publication/kenkyuronbun/no120/03.pdf 地域芸能としての創作太鼓 ―《みやぎ龍神太鼓》を事例として―]}}(『[[宮城学院女子大学]] 研究論文集』120号 2015年6月)</ref>。
* [[1995年]]([[平成]]7年)、[[曲り家]]の目黒家住宅([[1907年]]完成)を移転させ、現在地にて民俗資料を展示する「男鹿真山伝承館」として公開<ref>[http://www.city.oga.akita.jp/index.cfm/14,1468,52,166,html 男鹿真山伝承館](男鹿市)</ref><ref>[http://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/193349 男鹿真山伝承館]([[文化庁]]「文化遺産オンライン」)</ref>。ナマハゲ習俗を体験できる場としても利用している<ref>[https://www.namahage.co.jp/namahagekan/denshokan.php 男鹿真山伝承館](おが地域振興公社)</ref>。
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* [[2004年]](平成16年)
** [[10月16日]]より、[[東日本旅客鉄道|JR]][[奥羽本線]]の秋田駅 - [[追分駅 (秋田県)|追分駅]]間、および、JR[[男鹿線]]・追分駅 - [[男鹿駅]]間に「[[男鹿なまはげライン]]」({{googleマップ経路図2|1=%E3%80%92010-0001+%E7%A7%8B%E7%94%B0%E7%9C%8C%E7%A7%8B%E7%94%B0%E5%B8%82%E4%B8%AD%E9%80%9A%EF%BC%97%E4%B8%81%E7%9B%AE%EF%BC%91%E2%88%92%EF%BC%92+%E7%A7%8B%E7%94%B0%E9%A7%85|2=%E7%94%B7%E9%B9%BF%E9%A7%85|3=@39.8169606,139.8490909,11z|data=!3m1!4b1!4m16!4m15!1m5!1m1!1s0x5f8fc29251408f53:0x3c5b7f8f2ab40f2d!2m2!1d140.1297397!2d39.7169121!1m5!1m1!1s0x5f90226ebe84707f:0x8c8a9911bfd12e85!2m2!1d139.848459!2d39.884646!2m1!5e2!3e3}})との愛称を付与。
** [[11月27日]]、第1回「ナマハゲ伝導士」認定試験を実施<ref>なまはげPR任せて 初の「伝導士」認定試験 男鹿(『[[河北新報]]』2004年11月4日) </ref>。
* [[2007年]](平成19年)
** 5月、秋田県男鹿市の[[国道101号]]沿いに、体長15mと12mで顔が赤と青のなまはげ立像計2体が同市により設置された<ref name="Asahi20070524">「わりぃ子はいねぇがー」巨大なまはげ現る(『[[朝日新聞]]』2007年5月24日)</ref>。 強化プラスチック製で製作費は約4000万円であり、同市は「世界最大のなまはげ像」としている<ref name="Asahi20070524"/>。
** [[6月1日]]、1対のなまはげ立像(体長15mと12m)の隣接地に男鹿総合観光案内所がオープン<ref>巨大なまはげ出迎え 観光案内所がオープン(『[[秋田魁新報]]』2007年6月2日)</ref>。
** [[12月31日]]、なまはげに扮した男が飲酒したことで酩酊し、温泉旅館の女性浴場に乱入する騒動が発生した<ref>{{Cite news|date=2008-01-13|url=http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20080113-306478.html|title=男鹿温泉エロなまはげ、女湯に乱入お触り|newspaper=『[[日刊スポーツ新聞]]』|publisher=[[日刊スポーツ新聞社]]|accessdate=2010-02-16|archiveurl=https://web.archive.org/web/20080701050015/http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20080113-306478.html|archivedate=2008年7月1日|deadlinkdate=2018年3月}}</ref>。これを受けて翌[[2008年]][[1月]]に、男鹿市ではなまはげの暴れ方に関する指針、いわゆる行動指針の策定のため、同市副市長伊藤正孝ら行政側と地区代表らが協議したが、マニュアル作成は見送られ、「伝統の原点へ回帰する」ことで決着、その後行政による指導はないと報じられた<ref>{{Cite news|date=2008-01-30|url=http://megalodon.jp/2010-0216-1854-42/sankei.jp.msn.com/politics/local/080130/lcl0801300833000-n1.htm|title=なまはげ「原点回帰を」 秋田・男鹿市、セクハラで協議|newspaper=[[産経新聞|MSN産経ニュース]]|publisher=[[産経新聞]]|accessdate=2010-02-16|archiveurl=http://megalodon.jp/2010-0216-1854-42/sankei.jp.msn.com/politics/local/080130/lcl0801300833000-n1.htm |archivedate=2010-2-16}}</ref>。
* [[2013年]](平成25年)[[3月30日]]、なまはげ館がリニューアルオープンした<ref>[https://www.oganavi.com/news/archives/2013/03/31195404.php 百十体百十色。なまはげ館リニューアルオープンしました!](男鹿市観光協会 2013年3月31日)</ref>。
* [[2014年]](平成26年)[[10月3日]]、国の重要無形民俗文化財に指定されている「来訪神行事」が所在する全国9市町により、それらが一括して[[国際連合教育科学文化機関|ユネスコ]][[無形文化遺産]]に登録されることを目指す「来訪神行事保存・振興全国協議会」が設立された<ref>{{PDFlink|[http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/isanbukai/mukeitokubetsu/3_02/pdf/shiryo_2.pdf 「来訪神行事保存・振興全国協議会」の設立について]}}(文化庁)</ref>。
* [[2018年]](平成30年)[[11月29日]]、「[[来訪神:仮面・仮装の神々]]」(なまはげを含む全国10の来訪神行事)が、[[国際連合社会科学文化機関|ユネスコ]]無形文化遺産保護条約の「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(代表一覧表)」に、正式に登録されることが、[[モーリシャス]][[ポートルイス]]において開催されている同条約の第13回政府間委員会において決定された<ref>[https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page1_000708.html 「来訪神:仮面・仮装の神々」のユネスコ無形文化遺産代表一覧表への記載決定について(外務大臣談話)]([[外務省]] 2018年11月29日)</ref>。
 
== 観光 ==
[[File:Entrance of Namahage Museum, Oga, Akita.JPG|thumb|なまはげ館の入口(2014年8月)]]
現在、年中行事としてのなまはげは大晦日に男鹿地区の家々を巡るだけのため、部外者がその習俗に出会うことは困難である。そのため、一般の観光客がなまはげを体験できる施設や立像が設置され、なまはげの姿で行う芸能やイベントが創作され、土産物やキャラクターが作成されるなど、様々な観光開発がなされている。大晦日に、観光客がなまはげに扮することができるツアーも男鹿市観光協会により募集されている<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51900850X01C19A1L01000/ 「あなたもナマハゲ 男鹿市観光協会がツアー参加者募集」]日本経済新聞ニュースサイト(2019年11月7日)2020年1月20日閲覧。</ref>。
 
=== なまはげ柴灯まつり ===
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[[ファイル:Oga nsta2.JPG|thumb|none|男鹿駅前の2体の立像(2012年10月)]]
}}
秋田県では、藁で体をつくり、木彫りの面をつけた人形[[道祖神]]「[[鹿島様]]」を[[集落]]の入り口に設置する風習があり、高いものでは4[[メートル|m]]にも及ぶ<ref>[http://www.pref.akita.jp/fpd/bunka/kashima.htm 鹿島まつり](秋田県「美しき水の郷あきた」)</ref><ref>[http://common3.pref.akita.lg.jp/genkimura/village/detail.html?cid=39&vid=1&id=940 若畑の鹿島様](秋田県「秋田県のがんばる農山漁村応援サイト」 2011年4月)</ref>。鹿島様となまはげは風貌は似ているが、なまはげ立像の設置に鹿島様のような宗教性があるとの言及は見られず、設置場所も集落の入り口とは限らない。
 
近年の立像では、赤と青の1対のなまはげが設置される傾向があるが、伝統を受け継いできた数十の集落でこのような赤と青の1対が定番なのかは不明である。