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Omiramirom (会話 | 投稿記録)
→‎概説: 固体液体気体を分離するものとしてふるい、ざる、かごの説明を加筆した。
「用途」拡充。+種類。+ よびかたの歴史。
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{{出典の明記|date=2014年8月26日 (火) 16:13 (UTC)}}
[[File:Zaru, made from bamboo (2015-10-08).JPG|thumb|竹製のざる]]
[[Image:Seiro_soba_at_Takasho_in_Nezu,_Tokyo.jpg|thumb|300px|ざるそばを盛ったざる二つ]]
'''ざる'''('''笊''')とは、食品や食器などの水気を切るのに用いる線状のものを編んだ構造もしくは底部に穴が開けられた構造になっている容器<ref name="jpo-card-C5">[https://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/pdf/card/C5.pdf 意匠分類定義カード(C5)C5-4560] 特許庁</ref>。竹の薄片やプラスチックなどで編んで、円く、くぼんだ形につくった器のこと<ref name="koujien">広辞苑第六版「ざる」</ref>。
 
== 概説 ==
ざるとは、[[竹]]の薄片やプラスチックなどで[[編む|編んで]]、[[円]]く、くぼんだ形につくった[[器]]のことである<ref name="koujien" />。(特許という観点から、特許庁の文書を用いて、かなり理屈っぽく解説すると「食品や食器などの水気を切るのに用いる線状のものを編んだ構造もしくは底部に穴が開けられた構造になっている容器<ref name="jpo-card-C5">[https://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/pdf/card/C5.pdf 意匠分類定義カード(C5)C5-4560] 特許庁</ref>」ということになる。)
[[File:Zaru, made from bamboo (2015-10-08).JPG|thumb|竹製のざる]]
ざるとは、[[竹]]の薄片やプラスチックなどで[[編む|編んで]]、[[円]]く、くぼんだ形につくった[[器]]のことである<ref name="koujien" />。
 
漢字では「[[笊]]」と書くが、これは(中国においても同様のものを指し)竹で編んだ器を意味する<ref name="nipponica">日本大百科全書(ニッポニカ)、「ざる」</ref>。
元来は[[竹]]を細く薄く裂いたものを網状に編んで作られた容器である。日本に古くから伝わる[[民具]]としてのざるは竹を編んだものであった。だが、近年は針金を編んだ金属製のもの、合成樹脂製のもの、無数の穴が空いた[[ボウル]]のようなもの(穴開きボウル、パンチングボウル、パンチボウルともいう)なども多く普及している。大きさ、深さ、形状、網の目の粗さなどにより非常に多様な種類があるが、一般的には丸い形状で浅く窪んだものを「ざる」と呼ぶことが多い。ただし、亀の甲羅のような形をした亀ザルや、四角形の角ザルと呼ばれるものもある。
 
;材質
なお、同様の道具でもある程度深いものは[[籠]](かご)と呼ばれる事が多いが、あまり厳密な区別はなされていない。水切りなどの目的で一時的に食材を乗せる用途のものを「ざる」と呼び、保存などの目的で一定期間内容物を入れておくためのものを「かご」と呼ぶとする人もいる。このほか類似の器具に、[[篩]](ふるい)がある。
元来は[[竹]]を細く薄く裂いたものを網状に編んで作られた容器である。日本に古くから伝わる[[民具]]としてのざるは竹を編んだものであった。だが、近年は針金を編んだ[[金属]]製のもの、[[合成樹脂]]製のもの、無数の穴が空いた[[ボウル]]のようなもの(穴開きボウル、パンチングボウル、パンチボウルともいう)なども多く普及している。大きさ、深さ、形状、網の目の粗さなどにより非常に多様な種類があるが、一般的には丸い形状で浅く窪んだものを「ざる」と呼ぶことが多い。ただし、亀の甲羅のような形をした亀ザルや、四角形の角ザルと呼ばれるものもある。
 
;籠などとの線引き
[[篩]](ふるい)とざる、[[籠]](かご)は用途によって区別されるものであるが、「ふるいは固体を」「ざるは液体を」「かごは気体を」分離しているという見方もできる。
なお、同様の道具でも ある程度深いものは[[籠]](かご)と呼ばれる事が多いが、あまり厳密な区別はなされていない。水切りなどの目的で一時的に食材を乗せる用途のものを「ざる」と呼び、保存などの目的で一定期間内容物を入れておくためのものを「かご」と呼ぶとする人もいる。このほか類似の器具に、[[篩]](ふるい)がある。
 
[[篩]](ふるい)とざる、[[籠]](かご)は用途によって区別されるものであるが、。<ref>{{要出典|date=2020年2月}}「ふるいは固体を」「ざるは液体を」「かごは気体を」分離しているという見方もできる。</ref>
 
ざるは一般に、水洗い後の[[野菜]]や磨いだ[[米]]、茹でた食物などの水分を切る場合に用いられることが多い(米揚げザルなど)。日本以外でも[[パスタ]]の湯切りや野菜の水切り等に'''[[コランダー]]'''([[:en:Colander|colander]])や'''[[ストレーナー]]'''([[:en:strainer|strainer]])と呼ばれる水切りが使われるが、日本ではこれらも「ざる」と称さ呼ばれる場合ことあり、線引きはやや曖昧である。
 
== 種類、分類 ==
いくつか分類法がある。ひとつには[[材料|材質]]に着目して、「竹ざる」「[[ステンレス]]ザル」「プラスチックざる」などと分類する方法がある。
 
他にも、形状に着目して、[[盆]]のような形状のざるを「盆ざる」、深みのある丸い形状のざるを「丸ざる」、[[亀]]の[[甲羅]]([[亀甲]])のような形をしたざるを「亀ザル」、四角形のざるを「角ザル」、ざるの「目」(≒ひとつひとつの穴)が大きなざるを「目ざる」、柄(取っ手)がついているざるを「柄ざる」などと分類する方法もある。
 
[[サラダ]]用の野菜の水切りやパスタ類等の湯切り用の製品として、容器の内部に深いざるが収めてあり、これを付属の[[ハンドル]]と[[歯車]]あるいは引き紐によって高速で回転させることにより[[遠心力]]を利用して効率的に水切りをする'''{{仮リンク|サラダスピナー|en|Salad spinner}}'''あるいは'''野菜水切り器'''などと呼ばれる回転式のザルも市販されている。なお、業務用のものにも遠心力で野菜などの水切りをするものがあるが、大容量であり専用の脱水袋に入れて本体にセットし電動で高速に脱水できる(野菜脱水機)。
 
== 用途 ==
ざるはは主には料理材料の「水きり」に使われるが、他にも「盛り付け」など さまざまな用途がある<ref name="nipponica" />。
[[画像:Umebosi Doyobosi.jpg|thumb|梅干しをつくるのに使われているざる]]
;水分を切る(あるいは、洗う時に食材をまとめ、その後に水を切る)
ひとつの用途は、食材の水洗いをし([[野菜]]を洗ったり、[[米]]を磨いだりし)、しかも洗っている最中に食材が散乱したりしないようにとどめ、その後にその水分を切るために用いるというものである(米揚げザルなど)。
 
<Gallery>
File:The seven herbs.jpg
File:Bitter_melon_in_a_colander.jpg|多数の食材は、まずざるの中に入れておいてから洗うと散乱しない。ざるごとボールの水に沈めて洗うこともできる。そして洗った後はそのまま水きりができる。
</Gallery>
 
なお(基本的にはボウルであるがその縁の一部分が穴の空いたざる状になっているものもある。これは水を溜めて使う用途と水を切る用途の両方に使えるため、米を磨ぐ際に便利である。
 
;湯を切る
うどんやそばを茹でた後に、うどんやそばの表面の「湯を切る」ために使うこともある。湯につける(湯で調理する)ために使われる場合もある。うどんやそばの調理に使われる湯切り専用の取っ手付きのざるは「'''水嚢'''」(すいのう)という。「'''振りざる'''「揚げざる」とも呼ばれる。[[讃岐うどん]]の再調理(および湯切り)などに使われる径が小さく深底の特殊なざるを用いるが、「'''鉄砲ざる'''」(略して'''テボ'''、'''てぼざる'''とも言われる)もこの一種であり、と呼ばれる。その名の由来は一説に「(うどんの)玉」を入れて(再加熱のために)茹で上げるからと言われている(鉄砲の[[弾]]との[[語呂合わせ]])。
 
;干す(ほす)
[[画像:Umebosi Doyobosi.jpg|thumb|right|200px|梅干しをつくるのに使われているざる]]
食材を日干し(ひぼし)にしたり、陰干し(かげぼし)にしたりするため、いわゆる「干しもの」を作るために使われることもある。たとえば[[梅干し]]を作るためにも使われるし、薄くスライスした野菜([[かぼちゃ]]、[[なす]]、[[生姜]]など)を干して「干し野菜」を作るためにも使われる<ref>[https://allabout.co.jp/gm/gc/382532/]</ref>。ミニトマトを丸のまま干して[[ドライトマト]]にするために使う人もいる。
 
;料理を盛り付ける
[[Image:Seiro_soba_at_Takasho_in_Nezu,_Tokyo.jpg|thumb|200px|そばを盛るのに使われたざる。こうした提供のされかたをされると、そばは「[[ざるそば]]」や「[[もりそば]]」となる。]]
そばやうどんなどを盛りつけ、「ざるそば」「もりそば」「ざるうどん」などとしてお客に提供するためにも使われる。
 
;品物をまとめる、展示する
 
ざるは一般に、水洗い後の[[野菜]]や磨いだ[[米]]、茹でた食物などの水分を切る場合に用いられることが多い(米揚げザルなど)。日本以外でも[[パスタ]]の湯切りや野菜の水切り等に'''[[コランダー]]'''([[:en:Colander|colander]])や'''[[ストレーナー]]'''([[:en:strainer|strainer]])と呼ばれる水切りが使われるが、日本ではこれらも「ざる」と称される場合がある。
 
;漁
うどんやそばの調理に使われる湯切り専用の取っ手付きのざるは「'''水嚢'''」(すいのう)という。「振りざる」、「揚げざる」とも呼ばれる。[[讃岐うどん]]の再調理などに使われる径が小さく深底の特殊なざる「'''鉄砲ざる'''」(略して'''テボ'''、'''てぼざる'''とも言われる)もこの一種であり、その名の由来は一説に「(うどんの)玉」を入れて(再加熱のために)茹で上げるからと言われている(鉄砲の[[弾]]との[[語呂合わせ]])。
かつては[[川魚]]、[[ドジョウ]]などを獲る時の道具([[漁具]])としてもよく用いられていた。
 
なお、特に竹製でないざるの場合、[[ふるい]]がない場合に代用品として利用するる。特に、<!--[[砂金]]採り、(米国で砂金の選鉱に使ったのは木や金属の大きな浅い鍋状のものだけど?)-->[[潮干狩り]]など、目的のものを砂から分別する場合にも使用される。また大型のざるは、[[イネ|稲]]や[[ソバ]]等[[穀物]]の昔ながらの手作業の[[脱穀]]に使われてきた。
[[サラダ]]用の野菜の水切りやパスタ類等の湯切り用の製品として、容器の内部に深いざるが収めてあり、これを付属の[[ハンドル]]と[[歯車]]あるいは引き紐によって高速で回転させることにより[[遠心力]]を利用して効率的に水切りをする'''{{仮リンク|サラダスピナー|en|Salad spinner}}'''あるいは'''野菜水切り器'''などと呼ばれる回転式のザルも市販されている。なお、業務用のものにも遠心力で野菜などの水切りをするものがあるが、大容量であり専用の脱水袋に入れて本体にセットし電動で高速に脱水できる(野菜脱水機)。
 
== 表記や呼び方の歴史 ==
基本的にはボウルであるが、その縁の一部分が穴の空いたざる状になっているものもある。これは水を溜めて使う用途と水を切る用途の両方に使えるため、米を磨ぐ際に便利である。
もともと漢字(や中国語に)「笊」や「笊籬(そうり)」という語があり、「笊籬」が日本において「ざる」と転訛したと推察される<ref name="nipponica" />。
 
[[平安時代]]の『[[倭名類聚抄]]』では「笊籬」の訓として「むぎすくひ」と記し、麺類をゆでるための竹器だと位置付けている<ref name="nipponica" />。また室町時代中期の辞書『[[下学集]]』には、「笊籬」の音として「そうり」、訓として「いかき」と記述し、「味噌漉也」(みそこしなり。みそこし、である。)と解説している<ref name="nipponica" />。なお江戸時代より以前の辞書のほとんどが、「笊籬」を「いかき」や「いがき」と読んでいる<ref name="nipponica" />。
なお、特に竹製でないざるの場合、[[ふるい]]がない場合に代用品として利用する事もある。特に、<!--[[砂金]]採り、(米国で砂金の選鉱に使ったのは木や金属の大きな浅い鍋状のものだけど?)-->[[潮干狩り]]など、目的のものを砂から分別する場合にも使用される。また大型のざるは、[[イネ|稲]]や[[ソバ]]等[[穀物]]の昔ながらの手作業の[[脱穀]]に使われてきた。
 
;江戸方言が標準的な表現として定着した経緯
かつては川魚、[[ドジョウ]]などを獲る時の道具としてもよく用いられていた。
[[江戸時代]]中期の方言集『[[物類称呼]]』には、「[[畿内]](きない)及(および)[[奥州]]にて、いかき、江戸にて、ざる、西国及出雲(いずも)、石見(いわみ)、加賀、越前(えちぜん)、越後(えちご)にて、せうけと云(いう)」と解説されている<ref name="nipponica" />。つまり、日本においては、まず水分を漉(こ)すための竹器に「笊籬」という漢字があてられ、畿内を中心とした先進地域では「'''いがき'''」とよばれ、江戸を中心とした地域では「'''ざる'''」と呼ばれ、加賀・越前・越後などでは「'''せうけ'''」と呼ばれていた、ということである<ref name="nipponica" />。(江戸時代には、日本語といっても、実際には[[藩]]ごとにひどく異なった言葉を話していて、離れた藩の人どおうしでは互いに言葉が全然通じないことも多かったわけであるが、明治時代になった時に明治政府の政治家・役人が、日本中でひとつの言葉が通じるようにすべきだと判断し、「[[標準語]]」を作る土台として江戸の[[方言]]を選んだので、その結果)江戸時代まで「いがき」「ざる」「せうけ」と3種類はあった呼び方の中から 江戸方言(江戸言葉)の呼び方である「ざる」が標準語の呼び方として残ったのである<ref name="nipponica" />。
 
== ざると文化 ==