「レア・グルーヴ」の版間の差分

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過去の音楽を後年の価値観で捉え直す際、当時には評価されなかった楽曲の価値が新たに見出される場合がある。その楽曲は、新しい音楽シーンにおいては、音楽面において珍しく入手可能性の面でも希少価値がある。このように、新時代の価値観で「踊れる、ファンキーである、グルーブ感がある」として発掘され、再評価を受けた過去の楽曲を、レア・グルーヴと呼んでいる。主に[[ヒップ・ホップ]]や[[クラブ・ミュージック]]の分野で多用される用語である。元々は[[1985年]]に、[[:en:Kiss_100_London|Kiss FM]]の[[ディスクジョッキー|DJ]]である、[[ノーマン・ジェイ]](''Norman Jay'')の番組''[[The Original Rare Groove Show]]''を通して紹介された事で知られる<ref>{{cite web |title = Profile | url = http://www.normanjay.com/old.cfm?d=html/profile.htm |work = Official website of Norman Jay MBE and the Good Times Sound System |date = n.d. | accessdate = 21 June 2009}}</ref>。
 
代表例として挙げられるのは[[1970年代]]に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]を中心に、ヨーロッパ、ラテン・アメリカ、アフリカで発表された、現在では比較的珍しく、入手困難な[[ファンク]]、[[R&B]]、[[ジャズ・ファンク]]、[[ソウルミュージック|ソウル]]、[[ソウル・ジャズ]]、[[アフロビート]]、ラテン音楽、ジャズ、クロスオーバーなどである。現在有名になった音盤以外にも、まだ未発見でレア・グルーヴとして見出される可能性を秘めた過去の音盤が存在する。通常ダンスミュージックとして見られていない音楽であっても、レア・グルーヴとして発掘され、ダンスミュージックとして再評価される事がある。例えば、昭和の[[ヴェイパーウェイヴ歌謡曲]]から派生したフューチャー・ファンクで多数サンプリングされた事が切っ掛けとなり、[[1980年代の日本AOR]]の[[シティ・ポップ]]が世界のほんの一部、和モノ・レア・グルーヴとして再評価されているような事例がある<ref>{{Cite web|title=昭和歌謡やAORが再注目されるのはなぜ? 今、知っておきたい和モノレアグルーヴ事情 {{!}} block.fm|url=https://block.fm/news/wamono_raregroove|website=block.fm|accessdate=2019-04-24}}</ref>。
 
== 詳細 ==
1960年代半ばから1970年代にかけてのアメリカでは、ソウル、R&B、ファンク、ディスコなどの新しいブラックミュージックが生まれた。当時は[[ジェイムズ・ブラウン]]<ref>http://www.discogs.com/ja/lists/Rare-Groove-Top.../19640「ギブ・イット・アップ・オア・ターン・イット・ルーズ」「スーパーバッド」などファンクの名曲多数</ref>やパーラメント、スライ・ストーン<ref>「シング・ア・シンプル・ソング」がよく知られている</ref>などのアーティストの成功に影響され、アフロアメリカンの[[ローカル]]・アーティストや、[[インディーズレーベル]]が大量に生まれ活動していた。また、ジャズやクロスオーバーの分野でも同様で、インディー・メジャーを問わず様々なレーベルやアーティストが活動していた。一部は全米規模の人気と[[セールス]]を獲得したが、その音盤の多くは全米で流通されることはなく、忘れられた存在となった。70年代のニューヨーク、サウスブロンクスではアフリカ・バンバータらが、インクレディブル・ボンゴ・バンドの「アパッチ」をアメリカ国家のようにかけていた<ref>Incredible Bongo Band, Michael Viner’s Incredible Bongo Band: Bongo Rock, Produced by Michael Viner and Perry Botkin Jr., Mr. Bongo Records 2006 MRBCD043 , liner notes</ref>
 
1980年代後半になるとイギリスのクラブDJや、アメリカのヒップホップのアーティストが、レアグルーブの[[レコード]]を積極的に探すようになった。クラブDJは同時代のレコードのプレイだけでは飽き足らなくなり、新たな「ネタ」を求め過去の音楽を探求し始めた。一方、ヒップホップ系のアーティストは、サンプリングの対象として過去の音楽の再利用を日常的に行っていたが、そのためにサンプリングする音源として過去の音盤を積極的に[[発掘]](ディギング)するようになった。両者に共通していたのは、アーティストや曲の有名無名を問わず、自分自身の価値観で楽曲に接し、評価する柔軟性であった。彼らの間で有名だったレコードとして、ブートレッグだが「アルティメイト・ブレイクス&ビーツ」のシリーズがあげられる。
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レア・グルーヴの曲のリズムパート等はサンプリングされ、[[ヒップホップ]]、[[ハウス (音楽)|ハウス]]、[[ブレイクビーツ]]などの[[ジャンル]]の曲で好んで使用されている。また、同時代のアーティストが作る曲に飽き足らなくなったDJがクラブでプレイするのにも重宝されている。
 
[[日本]]でも、この“発掘する”という行為に影響を受け、日本の過去の音楽の一部に対して時には「和製レア・グルーヴ」と呼ばれる場合もある。1960年代や1970年代の日本の[[シティ・ポップ]]、歌謡曲、ロック、和製ソウル、ジャズ、クロスオーバー、[[サウンドトラック|サウンド・トラック]]、[[沖縄音楽]]の再評価もこの一環であると言える。そういった和製レア・グルーヴの曲またはアルバムを「和モノ(和物)」と呼ぶ事もある。
 
==代表的アーティストと曲==
*ジェームス・ブラウン - 「ギブ・イット・アップ・オア・ターン・イット・ルーズ」
*[[インクレディブル・ボンゴ・バンド]] - 「アパッチ」
*[[ジミー・キャスター・バンチ]] - 「イッツ・ジャスト・ビガン」
*[[ザ・ヘッドハンターズ (バンド)|ザ・ヘッドハンターズ]] - 「ゴッド・メイク・ミー・ファンキー」
*[[ホール・ダーン・ファミリー]] - 「セブン・ミニッツ・オブ・ファンク」
*ロイC&[[ハニー・ドリッパーズ]] - 「インピーチ・ザ・プレジデント」
*[[ターナ・ガードナー]] - 「ハートビート」
*[[モホークス]]
*[[ロイC]]
*[[ブラック・ヒート]]
*スカル・スナップス/Skull Snaps
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*[[デトロイト・エメラルズ]]
*[[TSモンク]]
*ベイブ・ルース(バンド)() - 「ザ・メキシカン」
*[[ラファイエット・アフロ・ロック・バンド]]
*[[サイマンデ]]
 
==70年代のレア・グルーヴ・アーティスト==
*[[ジェームス・ブラウン]]
*[[スライ・ストーン]]
60行目:
*[[ESG (band)|ESG]] (Emerald Sapphire and Gold)
*[[ヴォーン・メイソン&クルー]]
*[[山下達郎]]
*[[竹内まりや]]
*[[吉田美奈子]]
*[[松原みき]]
 
== 関連項目 ==