「労働基準法」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
→‎第1章 総則: 整理しました
57行目:
=== 第1章 総則 ===
*第1条([[労働条件]]の原則)
*#労働条件は、[[労働者]]が'''人たるに値する生活'''を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
*#この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として'''労働条件を低下させてはならない'''ことはもとより、その'''向上を図る'''ように努めなければならない。
*#:本条は、労働者に人格として価値ある生活を営む必要を充すべき労働条件を保障することを宣明したものであって、本法各条の解釈にあたり'''基本観念として常に考慮されなければならない'''。「人たるに値する生活」には、労働者本人のみならず、その標準家族の生活をも含めて考える。「標準家族」の範囲は、その時その社会の一般通念によって理解されるべきものである(昭和22年9月13日発基17号、昭和22年11月27日基発401号)。
*#:労働基準法の基準を理由に労働条件を引き下げることは、たとえ労使の合意に基づくものであっても違反行為であるが、社会経済情勢の変動等他に決定的な理由がある場合には本条に抵触しない(昭和63年3月14日基発150号)。
*#:「当事者」には、[[使用者]]、労働者のほか、使用者団体、[[労働組合]]も含まれる。
*第2条(労働条件の決定)
*#労働条件は、労働者と使用者が、'''対等の立場'''において決定すべきものである。
76行目:
{{main|男女同一賃金}}
*第5条([[強制労働]]の禁止)
{{main|強制労働#日本の関連法規}}
*:使用者は、[[暴行]]、[[脅迫]]、[[監禁]]その他精神又は身体の[[自由]]を不当に拘束する手段によって、[[労働者]]の意志に反して'''労働を強制してはならない'''。
*::本条は[[日本国憲法第18条]]の趣旨を労働関係において具体化し労働者の自由の侵害、基本的人権の蹂躙を厳罰をもって禁止し、以て封建的悪習を払拭し、労働者の自由意思に基づく労働を保障せんとすることを目的とする(昭和23年3月2日基発381号)。'''本条違反には本法で最も重い罰則が科せられる'''。
*::「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」とは、精神の作用又は身体の行動を何らかの形で妨げられる状態を生じさせる方法をいう。「不当」とは、本条の目的に照らしかつ個々の場合において具体的にその諸条件をも考慮し、社会通念上是認しがたい程度の手段の意である。したがって'''たとえ合法的なものであっても「不当」なものとなることがある'''(昭和22年9月13日発基17号、昭和63年3月14日基発150号)。
*::「労働者の意思に反して労働を強制」とは、不当な手段を用いることにより労働者の意識ある意思を抑圧し、その自由な発現を妨げ、労働すべく強要することをいい、必ずしも'''現実に労働することを要しない'''。いっぽう、[[詐欺]]の手段を用いられても、それは通常労働者は無意識の状態にあって意思を抑圧されるものではないから、必ずしもそれ自体としては本条に該当しない(昭和23年3月2日基発381号)。
*第6条(中間搾取の排除)
*:'''何人も'''、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。