「ブルガダ症候群」の版間の差分

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心室細動の発作がいつ起こるかわからないため、体内植込み型除細動器([[植え込み型除細動器]]・ICD)の利用が多くなってきている。しかし、ICDは[[電磁波]]によって不適切作動の危険性もあり、社会的な環境保全が待たれる。また、電子調理器、盗難防止用電子ゲート、大型のジェネレーターなどが不適切作動を誘発する恐れがある。
 
現在無症状であっても45歳以下の突然死の家族歴、失神発作、夜間苦悶様呼吸(発作性夜間呼吸困難)の既往歴を有する場合は、当該疾病を疑い精密検査をすべきであるとの見解もある<ref>岡崎俊典、[https://doi.org/10.1539/sangyoeisei.47.33 【原著】ブルガダ型心電図を呈した症例の検討(健康診断時の対応)] 」『産業衛生学雑誌 2005年 47巻 1号 2005年 p.33-39, 日本産業衛生学会,{{doi|10.1539/sangyoeisei.47.33}}</ref>。
 
== 臨床像 ==
前駆症状を伴わない失神発作が初発症状で、アジア人の30代から50代の男性に多く発症する。男女比率は9:1で、無症状の有所見者が心室細動を起こす可能性は100人中2年に1人程度とされている<ref name="DCMO"/>。多くは、無症候性と考えられるが、無症候群では突然死などのイベント発生率が年0.3 - 4.0%であるのに対し、有症候群はイベント発生率が年10 - 15%と報告されている。前駆症状を伴わない失神発作が初発症状
 
日本における突然死症候群のうち、'''ぽっくり病'''の主要疾病と考える研究者もいる<ref>岩田敦、朔啓二郎、[https://doi.org/10.2169/naika.100.2036 健診で心電図異常を指摘された34歳の男性] 」『日本内科学会雑誌 2011年 100巻 7号 2011年 p.2036-2038, 日本内科学会,{{doi|10.2169/naika.100.2036}}</ref>。
 
後述の様な特徴的な[[心電図]]が現れる。
 
Brugada症候群において[[心房細動]](AF)を約20~30%20~30%に、[[冠攣縮性狭心症]](VSA)を約20%20%に合併する。心房細動の合併は、ICD植込み例において不適切作動の原因となるため、適切なプログラミングやカテーテルアブレーション、薬物治療が必要となる。
 
== 原因 ==
心筋細胞の[[細胞膜]]上にあるナトリウム・チャンネルのαサブユニットをコードしている[[遺伝子]]の変異に原因がある例が認められる。問題の遺伝子SCN5Aは第3[[染色体]]の短腕 (3p21) 上に位置する。遺伝子の変異により右室心外膜における[[活動電位]]時間が著明に短縮し、貫壁性の再分極状態のばらつきが大きくなるため、心室細動を起こしやすくなると考えられている。変異したナトリウム・イオンチャンネルがアンキリン-Gと結合できないため、心臓活動電位が変化すると考えられている。アンキリン-Gは、細胞骨格とイオンチャンネルの相互作用を調停する膜骨格[[タンパク質]]である。なお、遺伝子の変異は、常染色体優性で遺伝する。しかし、遺伝子異常は検索されても20%程度のみにしか認められず、すべての症例がSCN5Aの異常で説明されるわけではない<ref>堀江稔、[https://doi.org/10.11281/shinzo1969.35.6_459 研究会 第37回理論心電図研究会 テーマ : 心筋のCaハンドリング Brugada症候群とナトリウム・チャネル遺伝子異常] 」『心臓 2003年 35巻 6号 2003年 p.459-464, 日本心臓財団, {{doi|10.11281/shinzo1969.35.6_459}}</ref>。
 
== 検査 ==
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唯一有効な治療方法は、対症療法としての[[自動体外式除細動器|AED]](体外用除細動器)または[[植込み型除細動器|ICD]](植込み型除細動器)が選択される。
 
薬剤による発症抑制および治療方法は確立していないが、発作予防の薬剤として、[[イソプロテレノール]]という交感神経刺激剤を点滴、[[シロスタゾール]]の内服など。抗不整脈薬として、発作頻度を減らすために一過性外向きK電流(Ito)遮断作用のある[[キニジン]]<ref>芦野園子、渡辺一郎、小船雅義 ほか、[https://doi.org/10.4264/numa.67.299 【原著】ブルガダ症候群での心室細動誘発に対するキニジン静脈内投与による抑制効果] 」『日大医学雑誌 2008年 67巻 5号 2008年 p.299-303, 日本大学医学会, {{doi|10.4264/numa.67.299}}</ref>、[[ジソピラミド]]、[[ベプリジル]]が用いられることがある。
 
家族歴や有症候群の場合は、植込み型除細動器の使用が推奨される。
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== 参考文献 ==
* 今木隆太、庭野慎一、佐々木紗栄 ほか、[https://doi.org/10.11281/shinzo1969.37.Supplement3_142 第17回 心臓性急死研究会 ブルガダ型心電図症例における心室細動(VF)誘発性と臨床的危険予測因子の比較検討] 」『心臓 2005年 37巻 Supplement3号 2005年 p.142-146, 日本心臓財団, {{doi|10.11281/shinzo1969.37.Supplement3_142}}
* 小船雅義、渡辺一郎、芦野園子 ほか、[https://doi.org/10.4264/numa.68.290 【原著】ブルガダ症候群における心房細動の発生機序に関する検討] 」『日大医学雑誌 2009年 68巻 5号 p.290-296, 日本大学医学会, {{doi|10.4264/numa.68.290}}
 
== 外部リンク ==
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[[Category:循環器病]]
[[Category:希少疾患]]
[[Category:エポニム]]