「ボタン (植物)」の版間の差分

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sty、特徴、薬用について加筆。文献+1。
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== 概要特徴 ==
原産地は[[中国]]西北部{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}[[花]]を観賞するために[[栽培]]されている{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}。[[落葉]]の[[低木]]で、幹は直立して枝分かれする{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}。[[葉]]は1回3出羽状分裂し、[[小葉]]は卵形から披針形をしており、葉先は2 - 3裂するか全縁である{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}。初夏(5月ごろ)に本年枝の上端に、大型の花を1個つける{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}。

元は薬用として利用されていたが、盛唐期以降、牡丹の花が「花の王」として他のどの花よりも愛好されるようになった。たとえば、『[[松窓雑録]]』によれば、玄宗の頃に初めて牡丹が愛でられるようになったものの、当時は「木芍薬」と呼ばれていたと記載される<ref>{{cite journal|author=Kubo Teruyuki|year=2009|title=The Problem of Identifying Mudan and the Tree Peony in Early China|journal= Asian Medicine|volume=5|issue=1|pages=108-145|doi=10.1163/157342109X568964}}</ref>。また、隋の煬帝や初唐の則天武后が牡丹を愛でたという故事がある。ただし[[郭紹林]]はこれらの故事を慎重に検討し、虚構であると結論づけている<ref>{{cite web|url=http://www.dushu.com/showbook/101704/1057191.html |title=关于洛阳牡丹来历的两则错误说法|accessdate=2012-08-20}}</ref>。
清代以降、[[1929年]]までは中国の[[国花]]であったとされることもあるが、清政府が公的に制定した記録はみられない。1929年、当時の[[中華民国|中華民国政府]]は国花を[[ウメ|梅]]と定めた。中華民国政府が台湾に去った後、公式の国花は定められていなかった。[[中華人民共和国]]政府は近年、新しく国花を制定する協議を行い、牡丹、[[蓮]]、[[キク|菊]]、梅、[[蘭]]などの候補が挙げられたが、決定に至らなかった。
 
[[日本]]への渡来は、単弁花であったが、現在栽培されているものは重弁もあり、色や形は複雑である{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}。
 
== ボタン属 ==
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== 園芸 ==
樹高は原種で3m3[[メートル]] (m) 、[[接木]]で作られる園芸品種で1 - 1.5m5&nbsp;m
 
従来は種からの栽培しかできなくて正に「高嶺の花」であったが、戦後に[[芍薬]]を使用した[[接ぎ木]]が考案され、急速に普及した。
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* 赤・赤紫・紫・薄紅・黄・白
* 一重・八重・千重、大輪・中輪
 
なお、[[日本]]の[[正月]]に飾られる[[ハボタン]]は[[アブラナ科]]で、葉の形が牡丹の花に似ているが、別種で、放置すればそのうちに[[アブラナ]]に似た花が咲く。また、夏に咲く草丈10センチメートルほどの[[マツバボタン]]は[[スベリヒユ科]]の園芸品種で、これも別種である。
 
=== 栽培 ===
牡丹苗は[[シャクヤク]]を[[台木]]に[[接ぎ木]]した苗が作られ、販売もされて流通している{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}。春に花付の鉢植えが、秋に苗木が売られるので、それで育てる。
* 日当たり・排水の良い地を好む。[[夏]]の西日は避けるほうがよい。
* 牡丹苗は接木(つぎき)で作る。
* 花後は株の衰弱を防ぐために、首の部分から切り落とし、お礼肥を施す。
* 植え付けや株をいじるのは、9月下旬から10月下旬が適している。
 
日当たり、排水が良く、膨軟土を好むため、深く耕して堆肥をを施し、高畦にして植え付ける{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}。[[夏]]の西日は避けるほうがよい。自根を発生させて肥大させるために、[[蕾]]がついたら摘除する{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}。花後は株の衰弱を防ぐために、首の部分から切り落とし、お礼肥を施す。植え付けや株をいじるのは、9月下旬から10月下旬が適している。
春に花付の鉢植えが、秋に、苗木が売られるので、それで育てる。
 
[[実生]]でも育てられるが、発芽しないリスクもあり開花まで時間もかかるので、一般的ではない。流通する苗のほとんどは、[[芍薬]]を[[台木]]に[[接ぎ木]]にしたものである
 
秋の苗木は根を切っているので、植えた翌春に咲いても、その後は株が弱り、次に咲くまで時間がかかる。あるいは枯れてしまう。そのため、根が伸びた後で幹を切り二年後に期待するという方法がある。花付のものも花が終わると秋には鉢増しをする。土は[[腐植]]をたくさん含んだ肥沃なものを使用する。なお夏には休眠するので、葉は取る。
 
春に台木から芍薬シャクヤクの芽が伸びてくるが、これはすぐに摘み取る。放置すると接木された牡丹ボタンの生育の妨げとなり、最悪の場合、牡丹ボタンが枯死して完全に芍薬シャクヤクの株に戻ってしまう。
 
== 薬用 ==
根の樹皮部分は'''牡丹皮'''(ぼたんぴ)と称される[[生薬]]で{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}、[[薬局方#日本薬局方|日本薬局方]]にも収録されている。シャクヤク台に接ぎ木したボタン苗から栽培を始めて、自根を発生させ、蕾を見たら摘除して育て、根を掘り取るまでに5年以上はかかる{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}。9月下旬から10月上旬ごろに根を掘り取って水洗いし、竹べらなどで皮部を裂いて10&nbsp;cmほどに切り、天日乾燥して調整される{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}。
=== 漢方 ===
* 根の樹皮部分は「牡丹皮(ぼたんぴ)」として、[[大黄牡丹皮湯]]、[[六味地黄丸]]、[[八味丸]]など[[漢方薬]]の原料になる。[[薬局方#日本薬局方|日本薬局方]]にも収録されている。
* 薬効成分は[[ペオノール]](消炎・[[止血]]・[[鎮痛]]などに効く)<ref>{{cite web|url=http://www2.odn.ne.jp/had26900/constituents/paeonol.htm|title=ペオノール|accessdate=2012-08-20}}</ref>。
 
薬効成分は[[ペオノール]]で、消炎、[[解熱]]、[[止血]]・[[鎮痛]]、浄血、[[月経痛]]、[[子宮内膜炎]]などに効用があると言われている{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}<ref>{{cite web|url=http://www2.odn.ne.jp/had26900/constituents/paeonol.htm|title=ペオノール|accessdate=2012-08-20}}</ref>。漢方では主に婦人病薬に配剤されていて{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}、[[大黄牡丹皮湯]]、[[六味地黄丸]]、[[八味丸]]など[[漢方薬]]の原料になる。民間療法では、産後の諸病に、根皮1日量6[[グラム]]を水600&nbsp;[[立方センチメートル|cc]]で半量になるまで煎じて、3回に分けて服用する用法が知られている{{sfn|馬場篤|1996|p=105}}。
なお、[[日本]]の[[正月]]に飾られる[[ハボタン]]は[[アブラナ科]]で、葉の形が牡丹の花に似ているが、別種で、放置すればそのうちに[[アブラナ]]に似た花が咲く。また、夏に咲く草丈10センチメートルほどの[[マツバボタン]]は[[スベリヒユ科]]の園芸品種で、これも別種である。
 
== 文学・美術 ==
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{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author = 馬場篤|others = 大貫茂(写真)|title = 薬草500種-栽培から効用まで|date = 1996-09-27|publisher = [[誠文堂新光社]]|isbn = 4-416-49618-4|page =105|ref=harv}}
 
== 関連項目 ==