「スヴァンテ・アレニウス」の版間の差分

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=== 温室効果 ===
アレニウスは[[氷期]]がなぜ存在したのかを研究し、1896年に科学者として初めて大気中の[[二酸化炭素]]の量の変化が[[温室効果]]によって地表の温度に影響を与えるという考え方を示した<ref>"[http://www.globalwarmingart.com/images/1/18/Arrhenius.pdf On the Influence of Carbonic Acid in the Air Upon the Temperature of the Ground] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20141006232634/http://www.globalwarmingart.com/images/1/18/Arrhenius.pdf |date=2014年10月6日 }}", Philosophical Magazine 1896(41): 237-76</ref>。これには先人である[[ジョゼフ・フーリエ]]らの影響がある。また、大気中の二酸化炭素や[[水蒸気]]が[[赤外線]]をどの程度吸収するかを計算するため、ピッツバーグの[[アレゲニー天文台]]で[[フランク・ワシントン・ヴェリー]]と[[サミュエル・ラングレー]]が行った赤外線による月の観測データを使った。[[シュテファン=ボルツマンの法則]]を使って、独自の温室効果の法則を定式化した。本来の形式は次の通りである。
 
: 二酸化炭素の量が[[等差数列]]的に増大すると、温度はほぼ[[等差数列#等差数列の和|算術級数]]的に増大する。
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: <math>\Delta F = \alpha \ ln(C/C_0)</math>
 
しかし、アレニウスによる CO<sub>2</sub> の赤外線吸収率は過大であり、1900年に[[クヌート・オングストローム]]が赤外線スペクトルの研究結果を発表し CO<sub>2</sub> の吸収帯が2箇所しかないことを示したことで、反論されることになった。1901年、アレニウスはこれに真っ向から反論する論文を発表。また、1903年の著書 ''Lehrbuch der kosmischen Physik'' でもこの件に簡単に触れている。また1906年には一般向けの本 ''Världarnas utveckling''(英語版は ''Worlds in the Making'' (1908))を出版し、人類が排出する CO<sub>2</sub> の量は再び氷期が訪れるのを阻止するのに十分なほどだとし、急激に人口が増加しつつある現代においては、[[地球温暖化|温暖化]]した地球の方が食料供給に好都合だと記している。つまりアレニウスは世界で初めて、[[化石燃料]]の燃焼などによる二酸化炭素排出が地球温暖化を引き起こすと提唱したが、温暖化を好ましいものと捉えていた。しかし、1960年代ごろまでこの説は学界から信じがたい説として退けられ、[[氷河期|氷期]]と間氷期の周期的繰り返しは[[ミルティン・ミランコビッチ]]の唱えた地球の軌道変化によるものとされていた([[ミランコビッチ・サイクル]])。今では一般に、地球の軌道変化が氷期の訪れる時期を決定しているものの、同時に CO<sub>2</sub> が本質的[[ポジティブフィードバック]]として働いていると解釈されている。
 
アレニウスは、CO<sub>2</sub> が半減すると気温が4℃から5℃下がり、CO<sub>2</sub> が倍増すると気温が5℃から6℃上がるとした<ref>[http://www.aip.org/history/climate/co2.htm The Carbon Dioxide Greenhouse Effect] at www.aip.org</ref>。1906年の本ではこの値を1.6℃(水蒸気によるフィードバックも含めると2.1℃)と小さくしている。[[気候変動に関する政府間パネル|IPCC]]による2007年の試算では、その値([[気候感度]])を2℃から4.5℃としている。アレニウスは当時の CO<sub>2</sub> 排出量を元に増加率を試算したが、その後二酸化炭素の増加率はもっと加速している。アレニウスは CO<sub>2</sub> が倍増するのに約3000年かかるとしたが、今では21世紀中に倍増するという見方が一般的である。