「推理小説」の版間の差分

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犯人を捜したり推理する人物を指す用語。
 
推理小説では、[[シャーロック・ホームズ]]のような私立探偵業を営む「[[名探偵]]」が登場して事件を解決すること多い基本であるが、探偵業者が登場しない作品も多い。このため事件記者、[[警察官]]、[[検事]]、[[弁護士]]など犯罪に多く関わる職業も含め、推理小説における謎を解決する人物の総称として「'''探偵役'''」と表記する場合もある。特にその探偵役が主婦や学生など普段は犯罪と関わらない一般人の場合(いわゆる「[[#日本独自の分類/用語|日常の謎]]」派の探偵をのぞき)、「'''素人探偵'''」や「'''アマチュア探偵'''」と呼ぶことがある<ref name=hokkaido_396364>[https://www.hokkaido-np.co.jp/article/396364 <書評>紙鑑定士の事件ファイル] - [[北海道新聞]]</ref>C・オーギュスト・デなお「素人」や「アマチパンア」と知人「捜査警視総監から依頼を受ける隠居専門家ではないという設定意味であり、専門分野においては警察や探偵より上という人物もおり、素人探偵が専門分野の知識で事件を解決する作品も多数刊行されてい<ref name=hokkaido_396364 />
 
世界初の名探偵とされる[[C・オーギュスト・デュパン]]は、知人の警視総監から依頼を受ける隠居者という設定であり、現代では素人探偵に分類される。
探偵役が単独とは限らず探偵がコンビを組んだり、各々が独自に推理した結果を終盤で一堂に会し披露し合う「'''推理合戦'''」は競争要素がありミステリの読者に人気であるが、間違った推理を披露する探偵が名探偵の[[かませ犬]]として描かれることも多いため不満を持つ者もいる<ref name=asahi_ASL514TGRL51PTFC00Y>[https://www.asahi.com/articles/ASL514TGRL51PTFC00Y.html 「友達以上探偵未満」 麻耶さん新刊は女子高生が謎解き] - [[朝日新聞]]</ref>。アイザック・アシモフの「[[黒後家蜘蛛の会]]」シリーズは最初から複数人が集まって議論が行われ、最後に[[給仕]]の[[ヘンリー・ジャクスン]]が真相を明らかにして終わる。
 
探偵役が単独とは限らず探偵がコンビを組んだり、各々が独自に推理した結果を終盤で一堂に会し披露し合う「'''推理合戦'''」は競争要素がありミステリの読者に人気である<ref name=hokkaido_396364 />が、間違った推理を披露する探偵が名探偵の[[かませ犬]]として描かれることも多いため不満を持つ者もいる<ref name=asahi_ASL514TGRL51PTFC00Y>[https://www.asahi.com/articles/ASL514TGRL51PTFC00Y.html 「友達以上探偵未満」 麻耶さん新刊は女子高生が謎解き] - [[朝日新聞]]</ref>。アイザック・アシモフの「[[黒後家蜘蛛の会]]」シリーズは最初から複数人が集まって議論が行われ、最後に[[給仕]]の[[ヘンリー・ジャクスン]]が真相を明らかにして終わる。
 
少年達が協力して謎に挑む「探偵団もの」は[[ジュブナイル小説]]の人気ジャンルであり、[[はやみねかおる]]のようにこのジャンルをメインに活動する作家も多い。また、[[江戸川乱歩]]の『[[少年探偵団]]シリーズ』のように本格ミステリの作家による作品もある。大人向けとしては[[赤川次郎]]の『[[三姉妹探偵団]]シリーズ』がある。
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終盤になって、物語の幕引きのためだけに登場する探偵役もおり、必ずしも作品の主人公とイコールではない。『[[名探偵登場]]』では当初、終盤になってシャーロック・ホームズと[[ジョン・H・ワトスン]]が現れ、それまでスター俳優が演じる探偵たちの推理を全て否定し真相を明らかにして去っていくという展開を撮影したが、かませ犬に不満を持ったスターらの反発で別のバージョンが公開された。
 
[[麻耶雄嵩]]は『[[貴族探偵]]シリーズ』の主人公探偵は「証拠集めから推理まで全て使用人に任せる」という「なにもしない探偵、『[[神様ゲーム (麻耶雄嵩)|神様ゲーム]]』の探偵は序盤で推理過程を飛ばして犯人を指摘するなど、探偵の定義を利用したメタミステリ要素の強い作品を多く執筆している<ref name=asahi_ASL514TGRL51PTFC00Y />。
 
[[法月綸太郎]]により、「探偵役が提示した解決が真の解決であるかは作中で証明できない」という問題([[後期クイーン的問題]])が提起されている。日本の[[#新本格ミステリ|新本格ミステリ]]においては不完全な推理しかできない探偵役、作中で推理の完全性が保証された名探偵など、この問題を意識した作品が多数登場した。変則的な事例として『[[[虚構推理]]』の探偵役は事件の真相ではなく「どうやって人々を納得させるか」に主眼をおいており、推測が含まれると断言した上で納得できそうな解決を提示するという作風から議論を巻き起こした<ref>{{Cite web|author=中川凌|date=2018-06-09|url=https://ddnavi.com/matome/464828/a/|title=推理マンガのおすすめ10選! 謎解きの快感が病みつきになる、誰もが知る名作から注目のミステリーまで一挙まとめ|website=[[ダ・ヴィンチニュース]]|accessdate=2018-12-24|archiveurl=https://web.archive.org/web/20181223164511/https://ddnavi.com/matome/464828/a/|archivedate=2018-12-23}}</ref>。
 
=== ワトスン役 ===
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ワトスンのように知識を活かして積極的に手伝う者、完全な傍観者で語り部に徹する者などパターンが様々であるが、探偵役と違い必須の役回りではないため存在しない作品も多い。一方で、シリーズ作品の中には普段ワトスン役の人物が探偵役となるエピソードが執筆されることもある。また探偵役が主人公でワトスン役は毎回別人、逆にワトスン役が主人公で探偵役が毎回別人など、変則的な設定の作品も存在する。ワトスン役が毎回同じで、犯人も毎回同じなのは[[ロード・ダンセイニ]](ダンセイニ卿)の初期シリーズ作品<ref>[[調味料]]セールスマン(行商人)のスミザーズが語るシリーズだが、日本では最初の「[[二壜の調味料]]」(''[[:en:Lord Dunsany|The Two Bottles of Relish]]'' )のみ知られている。次の「スラッガー刑事の射殺」は前作の事件を捜査し、語り手とともに現場を訪れた警察官が被害者になっている。</ref>。
 
[[相沢沙呼]]の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は探偵役が霊媒で得た真相を元にワトスン役が推理を構築するという設定である<ref>[https://ddnavi.com/review/599352/a/ 【2020年本屋大賞ノミネート】「すべてが、伏線。」読者は挑発され、気持ちよく騙される!? 連続死体遺棄事件に挑む霊媒探偵と推理作家のどんでん返しミステリー] - ダ・ヴィンチニュース</ref>。
 
=== 犯人===