「キャリア (国家公務員)」の版間の差分

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== 各官庁ごとのキャリアの現状 ==
戦前まで、[[高等官]]の採用数は[[昭和]]一桁時代までの旧[[大蔵省]]が5〜10人前後であったように現在のそれと比べれば少なかった。とりわけ戦後になって、各省ともキャリアの採用数を増やしたため、全員が局長まで辿り着けず、キャリア各人のモチベーションの維持にも大きな作用があったことが指摘されている{{誰2|date=2020年4月}}
 
1980年代までは、[[事務官]]として採用されると30歳で地方の[[税務署]]長、[[警察署]]長、[[郵便局]]長などに就き、本省[[課長]]クラスは大企業の社長に[[行政指導]]という形で号令をかける立場になれ、更に[[天下り]]して約70歳までは職に困ることは無いばかりか、生涯賃金で多くの民間企業を圧倒するということで、非常に人気が高かった。しかし、経済の[[グローバリズム|グローバル化]]による政府の存在感の相対的な低下、民間企業などとの給料の格差や著しい[[サービス残業]]、及び不祥事の頻発とマスコミの公務員バッシングによるイメージの低下等から、民間企業(主に外資系)への人材の流出が指摘されている{{誰2|date=2020年4月}}
 
一方で、低成長時代への突入とともに民間企業の魅力も落ちていること、就職の際の競合相手である[[法曹]]界が[[法科大学院]]制度導入とともに先行き不透明になっていること、[[自由民主党 (日本)|自民党]]・[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]]双方が官界出身の政策通議員をより幅広く受け入れるようになったことなどから、依然としてある程度の人気を保っている。
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=== 外務省 ===
{{See also|外交官#採用}}
ここ最近は、総合職職員として26~28名程度採用されている。かつては[[外務省]]は、国家公務員採用I種試験ではなく独自の「外務公務員採用I種試験」(いわゆる[[外交官]]試験)によりキャリアを採用していた。キャリアの多くが最終的に[[特命全権大使]]になるなど処遇の高さから人気が高い。「外務公務員採用I種試験」は21歳から受験可能な一方で合格者名簿の有効期間が1年(国家公務員採用I種試験合格者の名簿は3年)しかなかったため、合格者の中に大学3年で中退をして入省した者もいた。一方で、合格者の中に他府省と比較して外交官の子弟が多いことや、外交官が特権意識を抱きがちなことが問題視され、それらのことと外交官試験が独立していることとの関連が指摘され続けた{{誰2|date=2020年4月}}。[[2001年]]より、外務キャリアは他省庁と同様に国家公務員採用I種試験の合格者から採用されるようになった。
 
=== 財務省 ===
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=== 文部科学省 ===
ここ最近は、総合職職員として31~44名程度採用されている。[[文部科学省]]は省庁再編後、事務系・技術系・施設系の3つに分けて総合職の採用がなされる。事務系と技術系は旧文部省・旧科学技術庁の[[事務官]](理系出身の者を含む)の流れを汲むもので、官庁訪問の窓口は、官房人事課の各担当になる。昇任昇格はほぼ対等で、入省3〜4年で[[係長]]級、7年で課長補佐級、17年で[[企画官]]、22年前後で[[課長]]級。係長級の段階で海外留学へ、課長補佐級になる段階で国立大学の[[部長]]や各[[地方公共団体]]の[[教育委員会]]の課長として出向する場合がある。他府省への出向もある。従来I種採用者は本省課長までは同期が対等に就くことができたが、省庁再編による課長クラスの減少で、課長補佐・企画官の段階で外部への出向を兼ねてフェードアウトするケースが出てきている。最近ではI種新採用者が減少しているため、I種採用者が[[係員]]のまま(昇任せずに)係長の席に就くケースや、従来I種採用者の係員・係長がいた席(主に各課の法規・企画ライン)に補充的に本省II種採用者を就かせるケースが出てきている。昨今の教育改革政策により[[大臣官房]]や初等中等教育局等でのプロジェクトチームの増設により(特に中堅の)I種採用者をこれらの非常設のチームに投入する一方で、他局原課への(特に中堅の)I種採用者の配置が不足しているという指摘もなされている{{誰2|date=2020年4月}}
 
課長級以上に、原課の課長から各局筆頭課長、総括官、官房[[審議官]]、部長、[[局長]](次長)、[[文部科学審議官]]、[[事務次官]]があるが、他府省と同様に選抜が始まり、徐々に内部に残る者が減少する。この段階では、従来は各地方公共団体の教育委員会への[[教育長]]ポストへの出向や、[[国立大学]]・青少年の家などの文部科学省の施設等機関に出向することが多かったが、地方分権化や施設等機関の大学法人化・独法化により、徐々に出向先が減り、その結果、内部での昇進が遅くなっている。
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=== 国土交通省 ===
ここ最近は、総合職職員として105~113名程度採用されている。[[国土交通省]]は[[技官]]が強い巨大官庁である。技官が[[国土交通事務次官|事務次官]]になれるのは、ここと[[文部科学省]]、[[環境省]]のみである。しかし、異動などでキャリア事務官は本省内にとどまり早い段階で本省課長に就任できるものの、技官(試験職種問わず)は全国の出先機関(地方整備局、各事務所、[[公益法人]]等)や[[地方公共団体]]の要職(所長、室長・部長級役職)として出向することが多いと言われている{{誰2|date=2020年4月}}。そのため事務官よりも昇進は遅れがちになる。
 
技官で[[事務次官]]に就任できるのは、[[技監]]([[次官]]級で技官の最高職)経験者のみである。基本的に技監には[[道路局]]長または[[水管理・国土保全局]]長(旧河川局長)経験者が就任するのが慣例となっている。道路局企画課、水管理・国土保全局河川計画課は予算配分権限を担うとともに、建設技官中心で構成されるのが特徴であり、技官権力の源泉とされる。運輸技官については、省庁再編によって建設技官との統合を図ったものの、[[国土交通省]]になってから、2018年7月31日に旧運輸省技官出身者の港湾[[局長]]が技監に初めて就任した。なお、旧運輸省技官出身の局長経験者が就任する技術総括審議官を技監の運輸側カウンターパートとみなして事実上、局長よりも高位に取扱っている。旧建設技官の中でも試験区分により区別があり、「[[土木]]」が一番強く、事務次官・技監に就任できるのも「土木」のみである。「土木」以外の職種である「砂防(砂防部長)」、「建築(住宅局長(事務官と交互)・官庁営繕部長)」、「機械・電気・電子(海事局長(事務官と交互)、自動車局次長、航空局安全部長)」などは原則的に( )内のポストまでしか昇進できない(ただし、例外はある)。技官が本省局長に就任できる局は道路局、水管理・国土保全局、住宅局、海事局、港湾局、北海道局のいずれかで、技術的な行政能力・判断能力を特に必要とする部局のみ(技官の就任できる指定職ポストは他に各地方整備局長、一部の地方運輸局長、大阪航空局長、北海道開発局長、[[国土技術政策総合研究所]]長をはじめ、[[国土地理院]]長、[[気象庁]]長官、技術総括[[審議官]]など)。[[外局]]である[[海上保安庁]]の長官・次長はこれまで例外なく旧運輸省出身のキャリアが就任するのが通例となっていたが、2013年に初めてプロパー(生え抜き)の[[海上保安大学校]]出身者が長官職に就任した。