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==== 作用機序の解明 ====
最初に、シイタケによる血中コレステロール抑制効果の作用機序原因物質解明のため探索に付随して、ラットを用いた多くの作用機序を明らかにする研究が多くなされた。シイタケ投与は、血漿コレステロールを著しく低下させるが、肝臓コレステロールの増加は見られず、糞中排泄量が増加する<ref>{{Cite journal | author1 = 徳田節子 | author2 = 田切明美 | author3 = 鹿野悦雄 | author4 = 金田尚志 | title = シイタケの血漿コレステロール低下機構について 食用キノコ類のシロネズミコレステロール代謝に及ぼす影響 (VII) | journal = 栄養と食糧 | volume = 24 | issue = 9 | pages = 477-480 | publisher = 日本栄養・食糧学会 | date = 1971| jstor = | issn = 0021-5376 | doi = 10.4327/jsnfs1949.24.477 | id = | naid = }}</ref>。また、体内でのコレステロール新規合成量は変化しない<ref>{{Cite journal | author1 = 徳田節子 | author2 = 鹿野悦雄 | author3 = 金田尚志 | title = 食用キノコ類の白ネズミコレステロール代謝におよぼす影響 (VIII) シイタケの血漿コレステロール低下機構について (II) | journal = 栄養と食糧 | volume = 25 | issue = 8 | pages = 609-613 | publisher = 日本栄養・食糧学会 | date = 1972| jstor = | issn = 0021-5376 | doi = 10.4327/jsnfs1949.25.609 | id = | naid = }}</ref>。シイタケを投与したラットの血漿リポタンパク質を分析すると、食餌からコレステロールを投与しない場合、血漿コレステロールの低下は全てのリポタンパク質中のコレステロールを低減させるが、食餌からコレステロールを摂取させた場合は、VLDLおよびLDLのコレステロールが顕著に低下する<ref name=mecha1>{{Cite journal | author1 = 徳田節子 | author2 = 菅原洋子 | author3 = 金田尚志 | title = 食用キノコ類の白ネズミコレステロール代謝におよぼす影響 (IX) シイタケの血漿コレステロール低下機構について (III) | journal = 栄養と食糧 | volume = 26 | issue = 2 | pages = 113-119 | publisher = 日本栄養・食糧学会 | date = 1973| jstor = | issn = 0021-5376 | doi = 10.4327/jsnfs1949.26.113 | id = | naid = }}</ref>。この時、[[アポタンパク質]]やリン脂質も同様に低下しており、リポタンパク質の比率に相関する。また、コレステロールを摂取させた場合は、体内のコレステロール代謝が早くなり、糞中への排泄量も増加する<ref name=mecha1/>。従って、シイタケによる血中コレステロール抑制効果はリポタンパク質の量的変化と糞中へのコレステロール排泄の促進が影響していると考えられるが、その全てがエリタデニンの効果によるものかは分からなかった。
 
やがて、シイタケの血中コレステロール抑制作用の効果を示す有効成分がエリタデニンであることが発見されたが、その効果の全てがエリタデニンの効果で説明できるものかは分からなかった。エリタデニンの血中コレステロール抑制効果の発現機構の解明には、シイタケでの血中コレステロール抑制効果の発現機構のうち、エリタデニンが関与しているものを判別する必要がある。まず、[[放射性同位元素]]で修飾された[[アセチルCoA]]や[[メバロン酸]](コレステロールの体内新規性合成の前駆物質)をラットに与え、エリタデニン投与の影響を調べた実験では、血漿コレステロールの低下は観察されたもののアセチルCoAやメバロン酸の取り込み量への影響は見られなかった<ref name=54taka/>。シイタケ投与で観察された糞中排泄量の増加も食餌からコレステロールを摂取した場合に多く見られる現象で、エリタデニンの効果とは別に、吸収阻害や排泄促進の別のメカニズムが考えられた。
 
コレステロールの新規生合成、糞中排泄が主たる原因でないと考えると、エリタデニンによる血中コレステロール抑制効果の発現には、肝臓から血液中への脂質代謝、分泌の制御が大きく関与していると考えられた。ラットに経口摂取されたエリタデニンが体内でどのような経路を経て運ばれるかを放射性同位元素を用いた実験では、経口摂取されたエリタデニンの大部分は吸収されず糞中に排泄されるが、[[腸管]]吸収されたエリタデニンの大部分は[[肝臓]]に取り込まれることが分かった<ref name=mecha0>{{Cite journal | author1 = 徳田節子 | author2 = 鈴木紳 | author3 = 金田尚志 | title = シイタケの血漿コレステロール低下機構について (IV):食用キノコ類の白ネズミコレステロール代謝におよぼす影響 (第10報) | journal = 栄養と食糧 | volume = 29 | issue = 2 | pages = 95-101 | publisher = 日本栄養・食糧学会 | date = 1976| jstor = | issn = 0021-5376 | doi = 10.4327/jsnfs1949.29.95 | id = | naid = 130003682356 }}</ref>。また、肝臓に取り込まれたエリタデニンの細胞内分布を調べると、上清 > [[小胞体]](ミクロソーム) > [[ミトコンドリア]]の順に多く分布していることが分かり、タンパク合成には影響を与えず、肝臓でのリポタンパク質形成、分泌の過程で何かしらの影響を及ぼしていることが推察された<ref name=mecha0/>。このことは肝臓で主に作られるLDL、VLDLの量が特に抑制されていることとも一致した。