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一方が自己の[[商号]]・[[商標]]などを使用する権利、自己の開発した[[商品]]([[サービス]]を含む)を提供する権利、営業上の[[手続き的知識|ノウハウ]]など(これらを総称して'''フランチャイズパッケージ'''と呼ぶ)を提供し、これにより自己と同一のイメージ([[ブランド]])で営業を行わせ、他方が、これに対して対価([[ロイヤルティー]])を支払う約束によって成り立つ事業契約である。
 
通常、権利や商標、ノウハウなどを提供する側を'''フランチャイザー'''(本部、略して'''ザー'''<ref>{{Cite web |url=https://fc.dai.co.jp/glossary/70 |title=フランチャイズWEBリポート『フランチャイザー』とは? |publisher=Dai |accessdate=2018-05-25 }}</ref>)と呼び、受ける側を'''フランチャイジー'''(加盟者・加盟店、略して'''ジー'''<ref>{{Cite web |url=https://fc.dai.co.jp/glossary/71 |title=フランチャイズWEBリポート『フランチャイジー』とは? |publisher=Dai |accessdate=2018-05-25 }}</ref>)と呼ぶ。外部資本を利用し、短期間で多くの[[チェーンストア]]店舗展開を進めることを目的とするため、'''フランチャイズチェーン'''({{lang-en-jp|franchise chain}}、'''FC''')と呼ばれることが多い。法的には[[中小小売商業振興法]]などによって規制される
 
フランチャイズ事業とフランチャイズの本質は、本部と加盟店が特権、経営ノウハウ、対価 に関する契約によって共通の事業目標を達成するための継続関係であり、フランチャイズ・システムの本質は、この継続関係を維持する組織のことである<ref>{{Cite journal|和書|author=財賀礪至|date=1998|title=フランチャイズ・システムに関する研究|journal=日本経営診断学会年報|volume=20|pages=129-137|publisher=日本経営診断学会|ref=harv|doi=10.11287/jmda1969.20.129}}</ref>。そして、この組織は、本部と加盟店が中小企業の場合、大企業の市場支配に対して運命共同体の自覚により企業集団を形成しており、本部が大企業の場合は子会社に本部機能が作られて市場拡大を目的とした企業集団を形成する。
外部資本を利用し、短期間で多くの[[チェーンストア]]店舗展開を進めることを目的とするため、'''フランチャイズチェーン'''({{lang-en-jp|franchise chain}}、'''FC''')と呼ばれることが多い。法的には[[中小小売商業振興法]]などによって規制される。
 
適用される[[業態]]としては[[コンビニエンスストア]]等の[[小売|小売業]]の他、[[ラーメン]]や[[弁当]]、[[ファストフード]]などの[[外食産業]]、[[不動産]]販売、[[自動車]]の整備、近年では小型の[[フィットネスクラブ]]、[[学習塾]]、[[CDレンタル]]といったサービス業に至るまで多岐にわたっている。日本のフランチャイズ組織の特徴として、コンビニエンスストアの比率が高いこと、サービス業の比率が低いこと、飲食業の規模が小さいことが挙げられる<ref>{{Cite journal|和書|author=犬飼知徳|date=2009-09|title=日本のフランチャイズ組織の特徴|url=http://shark.lib.kagawa-u.ac.jp/kuir/metadata/2445|journal=香川大学経済論叢|volume=82|issue=1|pages=145-159|publisher=香川大学経済研究所|ref=harv}}</ref>
 
[[世界初の一覧|世界初]]のフランチャイズは、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]で誕生した[[ケンタッキーフライドチキン]]とされる。日本では、[[1960年代]]に[[不二家]]([[レストラン]]および[[洋菓子]]販売のチェーンストア)や[[ダスキン]](清掃用具のレンタルチェーンストア)、[[1970年代]]では[[セブン-イレブン]](コンビニエンスストア)、[[モスバーガー]]などの[[外食産業]]がフランチャイズ型の事業展開をしている。また、[[明治]]時代に生まれた[[特定郵便局]]についても、広義のフランチャイズ事業であると言える。
 
同じ名前の店舗であっても全てがフランチャイズ店舗とは限らない。実績を積んで成功した直営店を模範にフランチャイズ展開するのが基本であるため、外見上は区別の付かない同名の直営店とフランチャイズ店も存在する。ただし、フランチャイズ展開を行うとFC店舗数が急激に拡大、直営店に比べてその比率は圧倒的にFC店が高くなる。
 
廃業率の水準については、フランチャイズ加盟店の廃業率が非加盟店の廃業率を上回っていることが明らかとなっており、テリトリー権が付与された場合や加盟金が多額な場合に廃業率が低いという結果が出ている<ref>{{Cite journal|和書|author=小本恵照|date=2006|title=フランチャイズ契約が加盟店の廃業に与える影響|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmd1998/8/3/8_3_1/_article/-char/ja/|journal=流通研究|volume=8|issue=3|pages=1–15|doi=10.5844/jsmd.8.3_1|issn=1345-9015}}</ref>。
 
=== 直営店とフランチャイズ ===
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また、一般消費者向けのWebサイトで直営店とフランチャイズ店を識別するためのマークを付ける、店頭に運営会社名やマークを表示するなど、直営店かフランチャイズかを容易に識別できるようになっている例もあるが、特段そういったものを用意していない例も多い。[[ENEOS]]のガソリンスタンドの場合はポールサイン下部および店舗入口上部付近にフランチャイジー(系列店・特約店等)の社名やロゴマーク<ref>[[ENEOSフロンティア]]や[[りゅうせき]]など。</ref>を表示している。別の例としては、[[北海道旅客鉄道|JR北海道]]と[[ダイエー]]の合弁会社[[北海道ジェイ・アール・ダイエー]]の様に[[ダイエー (店舗ブランド)|既存のダイエー店舗]]と区別するために'''JRダイエー(JR Daiei)'''という名前の別ブランドを立ち上げていた例がある。また、鉄道系列の小売子会社と大手コンビニが手を組んだ際、両社のブランドを足した独自名称を採用するところもある(例:「[[セブン-イレブン]][[ハート・イン|ハートイン]]」・「[[近鉄リテーリング|近鉄]][[ファミリーマート|駅ファミ]]」等)。
 
さらに、一定の地域で多店舗を展開する'''エリアフランチャイジー'''も存在し、一社の動向がフランチャイザー側の営業に大きく影響る事例もある。たとえば、[[シー・ヴイ・エス・ベイエリア]]はもともと[[サークルKサンクス]]のエリアフランチャイジーであり、120店舗以上を運営していたが、[[2012年]]2月末をもってフランチャイズ契約を終了し、翌3月1日からは[[ローソン]]との契約でコンビニ事業を展開することとなった。また、[[ほっかほっか亭]]では、九州や東日本のエリアフランチャイジーであった[[プレナス]]と本部が対立した結果、プレナス側が[[ほっともっと]]という新チェーンを立ち上げ、当時あったほっかほっか亭の店舗のうち60%以上がほっともっとに転換するという事態となったほか、本部もほっかほっか亭のエリアフランチャイジーである[[ハークスレイ]]の傘下となっている。
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=== サービス品質 ===
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== 利点 ==
FC店舗は、フランチャイザーにとっては低コストでの事業拡大を可能とする。すでに[[土地]]や店舗物件を有する(あるいは供出する形で加盟店が参入するため、取得にかかる時間や費用を大幅に短縮できる。そのため、新事業を急速に拡大し、ブランドを確立するための方法として、様々な業種で採用されている。フランチャイズ展開後の収入においても、安定的な[[ロイヤルティー]]が見込めるという利点を持つ。
 
一方のフランチャイジーにとっては、開業から実務にいたる[[ビジネス]]の[[手続き的知識|ノウハウ]]を比較的短期間かつ容易に身につけられる。しかも、フランチャイザーが持つブランド力、マーケティング力によって、初期段階から安定した経営が期待できるという利点がある。このことから、フランチャイズは業界経験のない人や大企業に勤務経験のある正社員が選択する傾向があ[[10.24546/00056075|る]]<ref name="komoto">{{Cite journal|和書|author=小本恵照|date=2006-06|title=創業期におけるフランチャイズの機能|journal=国民経済雑誌|volume=193|issue=6|pages=1-16|publisher=神戸大学経済経営学会|ref=harv|doi=10.24546/00056075}}</ref>。また、フランチャイズ加盟企業の業績に有意な影響を与えるのは業界経験のみであり、フランチャイズ加盟によって、開業者の経営資源の不足が補われ、スムーズな事業立ち上げに寄与している<ref name="komoto"></ref>
 
== 欠点 ==
FC展開はフランチャイザーにとっては、多数の店舗管理を必要とされるため、各フランチャイジーの質にばらつきが発生することがある。そのためほか、計画通りの商品提供がなされない、自己のブランドイメージが傷付けられるといった[[リスク]]伴う<ref>{{Cite web|title=3.フランチャイズ・システムの特徴(メリット・デメリット) | JFAフランチャイズガイド|url=http://fc-g.jfa-fc.or.jp/article/article_12.html|website=fc-g.jfa-fc.or.jp|accessdate=2020-05-09}}</ref>。また、フランチャイジーは直接の資本関係のない事業者であるため、経営に問題があったと本部が判断したとしても、[[経営者]]の交代や強力な改善などができない。
 
フランチャイジーにとっても、ノウハウのほかに店舗の造作を本部の指示の元で作らなければならない。外観等に関しては地元業者に仕様書通りの施工を要求すれば問題ないが、[[什器]]備品は本部から購入しなければならないことが多いため、実勢価格より高価となる場合も多い。結果、開業に必要な資金は、加盟料等を加味すると独自に起業する場合よりも多く必要になる場合がほとんどである。
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上記理由により、フランチャイジーの出店したフランチャイズ・チェーンはフランチャイザーによるレギュラー・チェーンよりも圧倒的に低い収益性となる。具体例としては、[[ダイエー]]グループ傘下時代のウエンコ・ジャパンが挙げられる。この会社は「[[ウェンディーズ]]」のフランチャイジーであると同時に、同業である「[[ドムドムハンバーガー|ドムドム]]」のフランチャイザーでもあった。フランチャイジー契約には出店目標が設定されており、これを達成するために「ドムドム」を閉店し、同じ場所に「ウェンディーズ」を開店するといったことも行われたが、フランチャイザーとフランチャイジーの収益性の違いのため、店舗の経営は悪化した([[ウェンディーズ]]も参照のこと)。現在、ダイエーグループは「ウェンディーズ」は手放したが、「ドムドム」は保有したままである。
 
さらに、一定の地域で多店舗を展開する'''エリアフランチャイジー'''も存在し、一社の動向がフランチャイザー側の営業に大きく影響する事例もある。たとえば、[[シー・ヴイ・エス・ベイエリア]]はもともと[[サークルKサンクス]]のエリアフランチャイジーであり、120店舗以上を運営していたが、[[2012年]]2月末をもってフランチャイズ契約を終了し、翌3月1日からは[[ローソン]]との契約でコンビニ事業を展開することとなった。また、[[ほっかほっか亭]]では、九州や東日本のエリアフランチャイジーであった[[プレナス]]と本部が対立した結果、プレナス側が[[ほっともっと]]という新チェーンを立ち上げ、当時あったほっかほっか亭の店舗のうち60%以上がほっともっとに転換するという事態となったほか、本部もほっかほっか亭のエリアフランチャイジーである[[ハークスレイ]]の傘下となっている。
 
== 問題点 ==
フランチャイズ展開の特性が生む欠点以外に問題視されているのは、フランチャイザー側が「経営の安定性」「高収入」「低リスク」を前面に出し、慎重なマーケティングや加盟希望者へのリスクの説明を適切に行っていない点である。そのため、大きな負債を抱えて廃業するフランチャイズ経営者も少なからず出てきているが、必ずしもフランチャイザー側の問題だけではなく、フランチャイジー側が事業のリスクに関する十分な知識を身に付けないまま開業したことが原因になっている場合もある。
 
[[損害賠償]]を求める経営者が増え、訴訟を起こした例もある。「フランチャイザーは事業成功の見込みが乏しいと分かっていながら、それを告げずにフランチャイズ契約を締結した」とした裁判では、[[詐欺罪]]などの[[刑事訴訟]]ではなく[[民事訴訟]]になることが多いため、[[民法]]や[[商法]]のみに従った判断がなされることが多い。現在の日本にはフランチャイジーを保護する特別な法律はないため、契約に基づいたフランチャイザーに有利な傾向がある。そのため、店舗経営やフランチャイズ展開について充分なノウハウを持たずに認識の甘い個人経営者を標的としたフランチャイザー、あるいは加盟金を騙し取ることを目的とした詐欺行為も出てきている。また、フランチャイジーの従業員の[[過労死]]が問題となり、訴訟が起こされることもある<ref>[http://mainichi.jp/articles/20161230/k00/00m/040/087000c 過労死 ファミマが認め和解 月200時間超残業] 毎日新聞 2016年12月30日</ref>
 
 
また、フランチャイジーの従業員の[[過労死]]が問題となり、訴訟が起こされることもある<ref>[http://mainichi.jp/articles/20161230/k00/00m/040/087000c 過労死 ファミマが認め和解 月200時間超残業] 毎日新聞 2016年12月30日</ref>。フランチャイザーとフランチャイザーの経営方針の違いが対立を生む場合もあり、[[セブン-イレブン|セブンイレブン]]では、独自に深夜営業を休業したフランチャイジーとの対立が表面化し、フランチャイズ契約解除をめぐる訴訟問題へと発展した<ref>{{Cite web|title=セブン、時短店の契約解除 物言うオーナー排除か|url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201912/CK2019123002000135.html|website=東京新聞 TOKYO Web|accessdate=2020-05-09|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|title=セブン、東大阪の時短店主と契約解除へ 「接客に苦情」|url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53611780Q9A221C1TJC000/|website=日本経済新聞 電子版|accessdate=2020-05-09|language=ja}}</ref>。他にも、フランチャイジーで利益を出した店舗の近くに、フランチャイザーの直営店を出店させることで、フランチャイザー側はリスクの低い店舗拡大を実施できる。こういったフランチャイザーとフランチャイジーの競合が問題となる場合がある。
他にも、フランチャイザーは潤沢な資金と得られた情報を活用することができる。一例であるが、フランチャイジーで非常に良い利益を生んでいる店舗があると、周辺でさらに良い立地条件の土地を探すことができればそこに直営店を出す。客は立地の良い直営店の方に流れるのでフランチャイジーはあおりを受けて閉店。全ての収益は大元へ。フランチャイザー側は法律や契約に違反しておらず(道徳的、社会的には非難されるであろうが)、フランチャイジー側が泣き寝入りするしかない。
 
== 日本でフランチャイズを中心に店舗展開する大手企業 ==