「ミニアチュール」の版間の差分

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三つの画派を比較すると、(全盛期の)イングランドの画派は優美で、フランスの画派は均整がとれて正確、ドイツ西部を含むフランドルの画派はあまり洗練されておらず、硬く強い線で描かれているのが特徴である。彩色に関しては、イングランドの画派では、湖を塗るくすんだ青色にライトグリーンを用いるなど、他の画派よりも明るい色合いを使用していた。フランスの画派は暗い色、とくに群青色を好んだ。フランドル・ドイツの画派は、原則として原色を減らして重みにこだわっていた。フランスの写本装飾には赤や銅色の金が用いられていたのが特徴的で、これはイングランドや低地帯([[北海]]沿岸の、[[ベネルクス|ベルギー・オランダ・ルクセンブルク一帯]])の、青白い金属質の装飾とは対照的である。
 
[[File:Breviary of Chertsey Abbey (folio 6r).jpg|thumb|200px|A capital S contains a miniature of{{仮リンク|モーゼの発見|en|MosesFinding beingof foundMoses}} by the [[ファラオ]]'s daughter. From the{{仮リンク|聖務日課書|en|Breviary}} of{{仮リンク|チャーツィー寺院|en|Chertsey Abbey}}, 14世紀.]]
 
[[13世紀]]のミニアチュールが、描写・彩色の両面でこれといった変化もなく良質であり続けたのには理由がある。13世紀を通じて好まれたのは、聖書と詩編である。当然、同じシーンの同じテーマが何度も繰り返し描かれることになる上に、これら聖典のキャラクターが自体が確定したものであったため、変化が好まれなかったのである。だが13世紀終盤になると、[[騎士道]]小説などの世俗のキャラクターが好まれるようになり、装飾画家が創意を凝らす領域が広がった。そして[[14世紀]]の始まりとともに、技法はあきらかに変わった。線は、太く掃くようなものからすらっと流れる線へと変わり、優雅・繊細・柔軟な筆致で、美しく体をかしげた人物を描くようになった。ミニアチュールは、事実上は写本装飾の手段としての役割から脱し、ミニアチュール自体が持ちうる美術的価値を問われる絵画の一種になろうとしていた。現在ミニアチュールと呼ばれるものはこちらであり、縁取りや飾り文字の装飾なども独立した美術価値を見いだされることになる。