「昭和28年西日本水害」の版間の差分

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こうした治水事業の整備により、これらの河川では複数県をまたぐ広範囲の浸水被害や、堤防決壊による多数の家屋・橋梁・鉄道流失をともなうような大規模水害は、60年近く発生しなかった。河川事業の整備は洪水の危険性を減らしたが、反面ダム事業では、松原・下筌ダム建設に端を発する12年にわたる反対運動・[[蜂の巣城紛争]]に見られる治水対策の遂行による住民の新たな犠牲というものも生じたほか、[[公共事業]]に対する風当たりの強さにより、玖珠川の猪牟田(ししむた)ダム<ref>『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』pp.408-409</ref><ref group="注">高さ120m、[[ダム#諸元|総貯水容量]]3850万m<sup>3</sup>の[[ロックフィルダム]]として計画されたが、建設予定地点の地質が予想外に劣悪でありこれを克服できず中止された。</ref>、大野川本流の大野川ダムと支流平井川の矢田ダム<ref>『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』pp.406-407</ref><ref group="注">大野川ダムは詳細不明、矢田ダムは高さ56m、総貯水容量5700万万m<sup>3</sup>の[[重力式コンクリートダム]]として計画されたが、水需要の低下などを理由に中止された。</ref> が[[中止したダム事業|中止]]され、七瀬川の大分川ダムと小石原川の小石原川ダム、城原川の[[城原川ダム]]、そして白川の立野ダムは[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]]政権の[[前原誠司]][[国土交通大臣]](当時)が進めたダム事業継続の再検証により事業が凍結<ref>{{PDFlink|[http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/yosan/gaiyou/yosan/h22/h22damjigyo.pdf 国土交通省河川局河川計画課『新たな基準に沿った検証の対象とするダム事業を選定する考え方について』PDF]}} 2010年8月28日閲覧</ref>、大分川・小石原川・立野の3ダムはその後事業が再開されたものの、城原川ダムは凍結状態が続いている<ref>[http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranA/HHyou.cgi?hh=Kensyou 財団法人日本ダム協会『ダム便覧』 国交省検証ダム一覧] 2013年10月23日閲覧</ref>。
 
治水事業が停滞するなか、[[2009年]](平成21年)にはこの災害の降水量に匹敵する集中豪雨、[[平成21年7月中国・九州北部豪雨]]が発生した。昭和28年西日本水害のような大河川での大規模な堤防決壊などは起きなかったが、ダムではカバーしづらい都市・中小河川での水害や土石流やがけ崩れにより、多数の死者を出す惨事をもたらした<ref>{{PDFlink|[http://www.mlit.go.jp/common/000051190.pdf 国土交通省『平成21年7月中国・九州北部豪雨による被害状況等について(第10報)』PDF]}} 2010年8月28日閲覧</ref>。さらに[[2012年]](平成24年)7月には'''[[平成24年7月九州北部豪雨]]'''が発生。阿蘇市で本水害に匹敵する降水量を記録したほか、本水害とほぼ同じ地域で集中豪雨が発生し筑後川流域が広範囲に浸水したのをはじめ、矢部川では堤防が決壊、白川では熊本市内が浸水し山国川では過去最悪の洪水量を記録するなど、多くの死者をともなう大きな被害が発生した。本水害以来となる複数県にまたがる広範囲かつ堤防決壊をともなう河川の氾濫を招き多くの死者をともなう大きな被害が発生した<ref>[http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8419655/www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/new/jyun_sokuji20120711-0714.pdf 気象庁『平成24年7月九州北部豪雨』2012年7月15日] 2020年3月22日閲覧。</ref>。{{独自研究範囲|date=2020-03|九州北部の大河川における治水事業は、本水害以降多くの課題を突きつけられている。}}
 
== 脚注 ==