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'''水平対向エンジン'''(すいへいたいこうエンジン、Horizontally-opposed cylinder engine)engine)とは、[[レシプロエンジン]]の形式の一つで、1本の[[クランクシャフト]]をはさんで[[シリンダー]]を左右に'''水平'''に配置し、'''対'''になる[[ピストン]]同士が必ず'''向'''かい合うように下降または上昇する'''エンジン'''である<ref name="mfi20-052">『[[モーターファン]]・イラストレーテッド』Vol.20 p.052</ref>。
 
気筒配置や外形の似たエンジンとして'''180°[[V型エンジン]]'''があり(詳細は[[#180°V型エンジン|後述]])、広義にはこれを水平対向エンジンに含む場合がある。なお外観上から水平対向エンジンであるか180°V型エンジンであるかを識別することは、極めて困難である。
 
以下本項では、「水平対向エンジン」と「180°V型エンジン」とを区別して呼び、これらを総称して「'''フラットエンジン''' (Flat engine)」と呼ぶことにする。
[[Imageファイル:Box.gif|250px|thumb|right250px|水平対向エンジンの動作(2(2気筒)]]
[[Imageファイル:Subaru boxer engine.jpg|thumb|250px|right|スバルの水平対向6気筒エンジンのカットモデル]]
 
== 概要 ==
1896年、[[メルセデス・ベンツ|ベンツ]]社(現[[ダイムラーAG|ダイムラー]]社)の創業者[[カール・ベンツ]]が水平対向エンジンを発明した<ref>[http://www.nndb.com/people/208/000174683/ NNDB.com]</ref>。
 
水平対向エンジンでは、対になる気筒(シリンダー)間のクランクシャフト位相角を180°(クランクピンが対称の位置)としてピストンと[[コネクティングロッド]]を軸対称に動作させる。これにより対の気筒同士が[[エンジンの振動|振動]]を打ち消しあうため、[[直列エンジン|直列型]]などの他形式エンジンと比較して格段に低振動となる。軸方向が短く上下に薄く幅広い外形と低振動が水平対向エンジンの特徴である。
 
水平対向エンジンの左右対称なピストンの動きが、[[ボクシング]]選手がグローブを打ち合わせる様子を思わせることから'''ボクサーエンジン''' (Boxer engine) とも呼ばれる<ref name="mfi20-051">『モーターファン・イラストレーテッド』Vol.20 p.051</ref>。また、2本のクランクシャフトの間で1シリンダー内のピストン2個が対向する「[[対向ピストン機関|対向ピストンエンジン]]」と区別するため、'''対向シリンダーエンジン'''とも呼ばれる<ref name="mfi20-053">『モーターファン・イラストレーテッド』Vol.20 p.053</ref>。<br />
日本語の「水平対向エンジンおよび180°V型エンジンの総称」に対応するアメリカでの呼称は「'''flat engine'''」(平らなエンジン)である。[[富士重工業]](現:スバル)では水平対向エンジンの英訳として、[[スバル・レオーネ|レオーネ]]およびそれ以前のエンジンについて「FLAT-4」をあてていた。その後、[[スバル・レガシィ|レガシィ]]以降は「flat engine」という[[アメリカ英語]]を採用している。
 
=== 種類 ===
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=== 利点 ===
* 水平対向エンジンは、1軸では最も振動特性に優れたクランク、シリンダー形式のエンジンで、少気筒数でも[[バランスシャフト]]を使用することなく2次以上の振動まで相殺することができる。なお、クランクの関係で対向シリンダーを同一軸線上には配置できないことから、2気筒では弱い1次[[偶力]]振動(カップリング振動)が発生するが、4気筒以上であれば前後の気筒間で打ち消しあうことができる<ref name="mfi20-067">『モーターファン・イラストレーテッド』Vol.20 p.067</ref>。
* 水平対向エンジンは特別な細工なしで等間隔燃焼となる<ref name="mfi20-051" /><!-- ←出典有効。「点火(爆発)間隔も小細工なしに均等になる。」文あり。-->。これに対し直列型<ref>[[直列2気筒]]の[[4ストロークエンジン]]において、360°クランク(2(2つの気筒のクランクピンの位相が同じ)では等間隔燃焼になるが1次振動が発生し、180°クランク(2(2つの気筒のクランクピンが軸対称位置)では1次振動は打ち消せるが不等間隔燃焼となる。<br />水平対向2気筒では、直列2気筒中の1気筒をクランクシャフト中心で180°移動させて180°クランクを使用する形であり、等間隔燃焼と振動の相殺が両立される。この考え方はそのまま任意の気筒数の水平対向エンジンに拡張できる。</ref>やV型<ref>気筒数やバンク角によっては、クランクピンを両バンクで共有したままでは不等間隔燃焼となり、位相クランクを用いて等間隔燃焼とすると振動特性が悪化する場合がある。</ref>のエンジンでは、特に少気筒数において等間隔燃焼と低振動は両立できない。
* 水平対向エンジンのクランクシャフトは、特に直列型エンジンに対しては短く軽くなる。V型エンジンに対しても、上記のとおりバランスウェイトが不要なため、低振動のままクランクシャフトを軽量にできる。
* フラットエンジンは、同気筒数のV型エンジンに比べて全高を低くすることができる。またそれにより、エンジン単体として低[[重心]]<ref>多くの量産エンジンに[[DOHC]]化や[[マルチバルブ]]化、可変バルブタイミング化、直噴化など、シリンダーヘッド周辺の重量を増加する機構が採用されるようになってきたため、直列型やV型エンジンの重心は高くなっている。これに対しフラットエンジンでは、クランクシャフトとほぼ同じ高さに[[シリンダーヘッド]]があり、これらの機構を採用しても静的な重心が高くならない。</ref>を実現できる。<!--(実際には排気管の取り回しや出力軸の取り出しなどで制約がある)⬅️欠点に重複表記あり--><!--ただし最も重く、しかも高速回転する部品であるクランク軸位置は直列やV型よりも高くなる。⬅️高くない。排気管によりエンジン位置自体が高くなる場合があることは欠点に表記あり。よく読め!-->
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=== 欠点 ===
* 水平対向エンジンは直列型エンジンよりは明らかに全長が短いが、V型エンジン(180(180°V型を含む)との比較では若干長い。これはV型エンジンでは同一のクランクピンを左右バンクで共用するが、水平対向エンジンでは対になる気筒のクランクピンは180°位相で独立していて、この間を繋ぐクランクウエブの厚みによりクランクシャフトが長くなり、エンジン全長も長くなるためである。
* フラットエンジンは全幅が大きいため、車体・機体への搭載時に制約を受けることがある。このため、車体・機体の重心が必ずしも下がらないことなど、長所(エンジン単体の低重心など)が生かせない場合がある。逆に全幅を抑えるためにエンジンの設計が制約されることもある。
* フラットエンジンでは左右バンク(気筒列)のシリンダーヘッドがエンジンの両端となり、間隔が離れる。そのため吸排気、燃料供給、点火、吸排気バルブ駆動などの、燃焼室を含むシリンダーヘッドへのアクセスが必要な系統の取り回しが煩雑となる。特に燃焼により膨張したガスを通すために吸気に比して太い配管が必要となる排気系では影響が大きい。
* フラットエンジンでは、通常は吸気系をエンジンの上側に、排気系を下側に配置するため、排気系の取り回しによってはエンジン搭載位置が高くなってしまい、エンジン自体が低重心であるという長所を損なうことがある。
* フラットエンジンのような水平シリンダー配置の場合には、シリンダー内面の潤滑油膜が上下で不均一になることによる偏摩耗など、潤滑に起因する問題を生じやすくなる。このため、直列型などの他形式よりも設計・製造・保守における配慮<ref>筒内圧解析、ボアに対するピストンピンオフセット、ピストンスカートプロフィールの最適形状化など動的なシミュレーション技術の利用など</ref>が必要となる<ref>国鉄がディーゼル機関車に使用していた縦型のDMF31系エンジンを気動車用に水平シリンダー化したエンジンの開発を進めたが、<!--これより原文のまま-->大径シリンダーの水平配置という特殊な構造のために潤滑系の問題が発生した<!--ここまで原文のまま-->ことなどで開発が難航して、結局実用化されなかった。(『鉄道のテクノロジー Vol.4』三栄書房、p.051、ISBN 978-4-7796-0715-8) 8)なおこの経験は、その後に開発・実用化された180°V型エンジンの潤滑設計などに生かされている。</ref>。
 
== 180°V型エンジン ==
[[ファイル:Moteurs_à_Plat_-_V_à_180°_vs._Boxer.png|200px|thumb|right200px|ピストンの動き(6(6気筒の場合)<br />左:180°V型 右:水平対向]]
[[Fileファイル:SC06 1991 Ferrari Testarossa engine.jpg|thumb|200px|[[フェラーリ・テスタロッサ]]の180°V型12気筒エンジン]]
 
外観上から水平対向エンジンであるか180°V型エンジンであるかを識別することは極めて困難である<ref>左右のシリンダ列の軸方向のズレ量が、180°V型(共有したクランクピン内のコンロッド1本分のズレ)は水平対向型(共有できないクランクピン間のクランクウェブ等の厚みがコンロッド1本分に加わったズレ)よりも小さいことを外観で識別できれば、不可能ではない。<!--他形式で例えると、V型エンジンで60°Vと65°Vのバンク角の識別が容易でない事に近いかも。--></ref>ものの、実際には内部構造(クランク・シリンダー形式)や動作特性(振動など)は「水平対向エンジン」と「180°V型エンジン」とは別のものである。具体的な構造の相違点は、水平対向が左右のバンクで対をなすシリンダー間で位相を180°ずらしたクランクシャフトを採用するのに対し、180°V型では左右シリンダーにおけるクランクピンが共通(同位相)という点である<!--<ref>ある気筒のピストンが[[死点]]にあるとき、クランクピンを共用するもう一方のピストンはストロークのほぼ中間にあり、[[平均ピストンスピード|ピストンスピード]]もほぼ最大となる。</ref>。⬅️これはウソ。フラットエンジンでは一方が死点なら対のもう一方も死点(水平対向は同じ死点、180°Vは上死点/下死点)。90度V型と混同されてる様で。クランクピン共用なら位相クランクでの話でも無いし。-->
 
180°V型エンジンでは水平対向と異なり振動を対向シリンダーの間で相殺することができないため、片側バンクのみで[[一次振動]]・偶力振動を相殺できる8気筒(片バンク4気筒)以上の気筒数でなければ、激しい振動が発生する<ref name="mfi20-051" />。ただし[[二次振動]]に関しては水平対向と同様に対向シリンダー間で相殺される。また、気筒数によっては等間隔燃焼にならないという短所がある。
 
8気筒エンジンにおける180°V型の長所は、二次振動特性が良好なままシンプルなフラットプレーンクランクシャフトを使用できる点である。ただしその場合は2気筒づつの同爆となるため、燃焼間隔は直列4気筒と同等の180°となる<ref>4個のピストンが同時に上死点に達するため。ちなみに90°V型8気筒では、クランクシャフトがフラットプレーンでもクロスプレーンでも90°の等間隔燃焼にできる。</ref>。90°の等間隔とするためには[[クロスプレーン]]クランクシャフトを使用する必要があり、発生する偶力振動を低減する為のシャフト両端のバランスウェイトが90°V型と同様に用いられる。
 
12気筒エンジンでは、水平対向よりも圧倒的に180°V型が多い。バランスウェイトの無いシンプルな6クランクピン(120(120°位相)のクランクシャフトによる180°V型とした場合でも、60°の等間隔燃焼を得られるとともに、片側バンクのみで直列6気筒と同様に一次振動・二次振動・偶力振動ともバランスする。そのため複雑で長くなる12ピンクランクシャフトによる水平対向式とする必要はなく、180°V型とすることで長くなりがちな12気筒エンジンの全長を短縮する事が可能<ref>ただし全幅を抑える等の目的で[[ボアストローク比|ショートストローク]]型とする場合には、ボア径の増大によりシリンダーピッチ(気筒間隔)が長くなり、180°V型でもクランクシャフトは短くできずに重量軽減のみとなる事もありうる。</ref>なためである。<br />
12気筒での採用例としては、自動車用では[[フェラーリ]]の市販[[ミッドシップ]]12気筒モデル<ref>[[フェラーリ・365GT4BB|365GT4BB]]から[[フェラーリ・F512M|F512M]]まで</ref>や、[[レーシングカー]]用の[[メルセデス・ベンツ・C291|メルセデス・ベンツ・M291エンジン]]、富士重工と[[モトーリ・モデルニ]]が共同開発したエンジンがあり、鉄道車両用では[[日本国有鉄道]]の[[DML30系エンジン]]がある。
 
== ベアリングの数 ==
水平対向4気筒の場合、[[クランクシャフト]]を支える[[ベアリング]]数はいくつかバリエーションがある。かつての[[フォルクスワーゲン・タイプ1]]の例ではベアリングは両端と中央の3つであった。スバルでも過去の[[スバル・EA型エンジン|EAエンジン]]は3ベアリングであった。スバルの[[スバル・EJエンジン|EJエンジン]]は[[直列4気筒]]と同じくベアリングは5つである。<!--そのためクランクシャフトが長くなり[[ボアピッチ]]も大きく、同程度の排気量を持つ直列4気筒エンジンよりもボアが大きくなっている。← ボアが大きいのはエンジン全幅を広げない為というのが通説。--><br />
ちなみに、より一般的な直列4気筒エンジンの場合は、両端と各気筒の間の合計5つという例が多い。また[[V型4気筒]]の場合は、両端と中間の合計3つである。
 
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== 用途 ==
=== 自動車用(オートバイ含む) ===
フラットエンジンの低全高かつ広全幅という形状は四輪車の車体構造にとっては基本的に好ましい。四輪車では、エンジンルーム高さは極力抑えるべきものであるのに対し、幅に関してはトレッド(車輪左右間隔)やキャビン(乗員空間)の確保のために、エンジン幅にかかわりなくある程度大きく取る必要がある。つまり四輪車のエンジンルームの空間は、フラットエンジンにより有効活用できる。<br />
特に、高回転型の[[縦置きエンジン|縦置き]]多気筒エンジンを低く幅広なボディに搭載することが多いスポーツカーにおいては、水平対向エンジンのメリットは大きい。高回転型のエンジンは自ずとショートストローク型となり、高回転域を多用する都合で振動特性の良さが求められるからである。また低く幅広なボディは、低全高・広全幅の水平対向エンジンとの相性が良い。スポーツカーは量産実用車と比較すれば燃費性能・排ガス性能を厳しく求められないことも、水平対向エンジンにとって有利な点であるといえる。<br />
また大衆車においても、軽量で少気筒数でも低振動であることや冷却性の良さなどから、1960年代頃までは空冷水平対向エンジンが好んで用いられた。
 
しかし気筒配置にかかわらずエンジン振動を低減する技術の進歩、横置きエンジン+FFレイアウトの一般化、低燃費化要求によるロングストローク化、排ガス対策による排気系の複雑化など、上記の水平対向エンジンの「長所」を弱め「短所」を強めるような環境変化が多く、自動車への採用は減っている。そのうえ特に日本では全高・エンジンルーム高ともに高い乗用車が一般化してきたため、この点でも水平対向エンジンのメリットは薄れている。
 
低重心のフラットエンジンにより、車両の重心が逆に高くなるとする意見がある。実際に自動車に搭載する場合、フラットエンジンは全幅が大きく、しかもクランクシャフトの高さあるいはそれより下部(下側カムシャフト部など)で最大幅となる。このため、低い位置にある他部品(ステアリング系やサスペンション系など)との干渉を避けるためにエンジンを高い位置に搭載すると、重い[[トランスミッション]]などの搭載位置もクランクシャフトの高さに合わせる必要があるため、車両全体で他形式エンジンより低重心を実現できるとは限らない。したがって、水平対向エンジンの長所を最大限に生かすためには、前述した問題点を考慮に入れた車体設計が必要になる。
 
ストローク(シリンダ)を伸ばすとエンジン本体の横幅が大きくなり、縦置きの場合は車体幅を広げる必要がある。車体幅には制限があるため、トルクを出しやすい[[ロングストローク]]エンジンが作りにくくなる。そのため、フラットエンジンでは[[ショートストローク]]エンジンが主流である。
 
かつて水平対向4気筒エンジンの独特の排気音は、「ボクサーサウンド」としてファンから親しまれていた。不等間隔燃焼である片バンクごとに排気管を集合させたために生じる排気干渉による音であり、前側2気筒と後側2気筒をそれぞれ等長排気管で集合させれば、この排気干渉は回避できる<ref>なお水平対向であっても6気筒エンジンの場合は、片バンク3気筒がクランク角240°ごとの等間隔燃焼であり、片バンクごとに排気管を集合しても干渉しない。</ref>。クロスプレーンクランクシャフトのV型8気筒エンジンでも片バンクが不等間隔燃焼であり、やはり「V8サウンド」としてファンに親しまれるが、ボクサーサウンドとも近い音であるといわれる。
 
==== 搭載車種 ====
2019年(令和元年)時点で水平対向エンジンを搭載した4輪車を生産している企業は、[[スバル|SUBARU]]<ref name="dousyano2017">[[SUBARU (自動車)|同社]]の2017年3月31日までの正式社名は[[富士重工業]]だった。</ref>([[いすゞ自動車]]および[[サーブ・オートモービル]]に[[OEM|OEM供給]]されていた製品<ref>[[いすゞ自動車|前者]]は[[いすゞ・ジェミネットII|ジェミネットII]]と[[いすゞ・アスカ|アスカ]]([[いすゞ・アスカ#2代目 BCK/BCL/BCM型(1990年-1994年)|2代目]])、[[サーブ・オートモービル|後者]]は[[サーブ・9-2X|9-2X]]が該当する。</ref>と、[[トヨタ自動車]]との共同開発車<ref>[[トヨタ自動車]]との共同開発車としては[[スバル・BRZ|スバルのBRZ]]と、[[スバル・BRZ|その]][[姉妹車]]である[[トヨタ・86]]が該当する。</ref>を含む)および[[ポルシェ]]の2社のみである。この両社は市販4輪車用の水平対向エンジンを長年にわたり生産し続けている。
 
オートバイでは[[BMW]]や[[ツェンダップ|ツュンダップ]] ([[:de:Zündapp|Zündapp]]) をはじめ、その亜流も含めて数社が水平対向エンジンを生産していたが、開発を続けているのは[[BMW]]([[BMWモトラッド]])、[[本田技研工業]](ホンダ)、[[IMZ・ウラル|ウラルモト]] (IMZ)、[[長江モーターワークス]]のみとなっている。
 
[[Imageファイル:Opposed-cylinders-500.jpg|250px|thumb|right250px|[[BMW]] [[:de:BMW R 50|R 50]]のエンジン]]
[[Imageファイル:Boxermotor uit de BMW-7 serie.jpg|250px|thumb|right250px|[[BMW]] 7シリーズエンジン]]
[[Fileファイル:Subaru Boxer Diesel engine for 2008 Legacy in Eco-Products 2008.jpg|thumb|250px|right|スバルの水平対向ディーゼルエンジン]]
 
(アルファベット順)
 
* BMW
** [[BMW・Rシリーズ|Rシリーズ]] (オートバイ)
*** 第二次世界大戦中以降の同車のコピー
**** [[長江・CJ-750]]シリーズ ([[サイドカー]])
**** [[IMZ・ウラル]]シリーズ (サイドカー)
**** [[IMZ・ウラル#KMZ-DNEPR(ドニエプル)|KMZ・ドニエプル]] (サイドカー)
* ホンダ
** [[ホンダ・ゴールドウイング|ゴールドウイング]] (オートバイ)
* ポルシェ
** [[ポルシェ・911|911]]
108行目:
** [[トヨタ・86|86]]
* 軍用
** [[BMP-3]] ([[歩兵戦闘車]])
** [[FH70]] (155mm(155mm[[榴弾砲]]) :自走用に水平対向エンジンを搭載
 
===== 過去の搭載車種 =====
[[画像ファイル:Subaru EG33.jpg|thumb|250px|right|[[スバル・アルシオーネSVX]]用3.3L[[水平対向6気筒]]エンジン]]
[[画像ファイル:Diesel Engine Type DS140 2C Hino.jpg|250px|thumb|right250px|[[日野自動車]]・[[国鉄専用型式|RA900P]]に搭載されていた水平対向12気筒エンジン]]
 
(アルファベット順)
 
* [[愛知機械工業]]
** [[コニー・360]] (軽自動車)
** [[ヂャイアント・コンドル]] (オート三輪)
* [[アルファロメオ]]
** [[アルファロメオ・145|145]]
131行目:
** [[シトロエン・GS|GS/GSA]]
* [[ダイハツ工業|ダイハツ]]
** [[ダイハツ・Bee|Bee]] (三輪乗用車)
* [[ゼネラルモーターズ]]
** [[シボレー・コルヴェア]]
* [[日野自動車|日野]]
** [[日野・セレガ#RA100P|RA100P]] (高速バス)
** [[日野・セレガ#RA900P|RA900P]] ([[国鉄専用型式]]の高速バス)
* ホンダ
** [[ホンダ・ジュノオ|ジュノオ (M80/M85)]] (スクーター)
** [[ホンダ・ワルキューレ|ワルキューレ]] (オートバイ)
** [[ホンダ・ワルキューレルーン|ワルキューレルーン]] (オートバイ)
* ジオット
** [[ジオット・キャスピタ|キャスピタ]] (未市販のプロトタイプ)
* [[ランチア]]
** [[ランチア・フラヴィア|フラヴィア]]
** [[ランチア・ガンマ|ガンマ]]
* [[丸正自動車製造]]
** ライラックR92 (R92(オートバイ)
** ライラックR92・マグナム・エレクトラ (オートバイ)
* ポルシェ
** [[ポルシェ・356|356]]
172行目:
* [[フォルクスワーゲン]]
** [[フォルクスワーゲン・カルマンギア|カルマンギア]]
** [[フォルクスワーゲン・タイプ1|タイプ1 (1(ビートル)]]
** [[フォルクスワーゲン・タイプ2|タイプ2 (2(トランスポルター)]]
** [[フォルクスワーゲン・タイプ3|タイプ3]]
** [[フォルクスワーゲン・タイプ4|タイプ4]]
 
==== モータースポーツ ====
[[フォーミュラ1|F1]]のエンジンとして、かつて[[ポルシェ]]や[[スクーデリア・フェラーリ|フェラーリ]]、[[アルファロメオ]]などがフラットエンジンを開発していた。特にフェラーリの180°V型12気筒エンジンは、ドライバーズタイトルやコンストラクターズタイトルを獲得するなど、低重心を生かし成功を収めたといえる。<br />
しかし[[グラウンド・エフェクト・カー]]時代になると、[[ダウンフォース]]<ref>速く走るためにタイヤを路面に押しつける事に利用する、車体周囲を流れる空気による下向きの力。<br />この時代の当初は飛行機の翼を裏返した様な断面のサイドポンツーンで下向きの[[揚力]]を発生させている様にも見られたが、実際には車体底面と路面との間で構成された[[ベンチュリ]]内の高速気流によって負圧を生じさせて、車体を路面に吸い付かせていた。</ref>をより多く得るために車体底面に空気の流れる空間を広く確保することが重要視されて、エンジン左右に空間的な余裕があって有利なV型エンジンに対して、低い位置で幅の広いフラットエンジンは廃れていった。車体底面の形状を制約したフラットボトム規制以降の1990年(平成2年)に、スバルとモトーリ・モデルニが提携して[[モトーリ・モデルニ#F12エンジン|180°V型12気筒エンジン]]を供給した事もあるが、パワーも信頼性も[[コローニ|供給先チーム]]の資金も不足する中で、予備予選すら通過できないままシーズン途中で撤退した。<br />
2000年(平成12年)からF1のエンジンはレギュレーションで[[V型エンジン]]に統一されたが、それ以前からF1の空力処理は可能な限り車体後部の左右を絞り込んで行う事が主流となっており、仮に参加が許されていたとしても、幅の広いフラットエンジンにかつてのフェラーリのような成功は期待できなかった。
 
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=== 鉄道車両用 ===
==== 日本 ====
[[画像ファイル:Dml30hsi.jpg|thumb|300px|right|[[国鉄キハ183系気動車]]のDML30HSI: 180°V型12気筒ディーゼルエンジン]]
鉄道車両、特に[[気動車]]においては、直列エンジンの場合にはシリンダーを寝かせた横型の[[ディーゼルエンジン]]が主流となってきている<ref>鉄道車両むけ直列エンジンでも床上搭載が可能な[[機関車]]においては潤滑に有利な縦型が主流である。気動車でも技術的観点から黎明期には縦型エンジンの採用例があったように、横型だけで縦型のものが皆無という訳ではないが、近年は低重心化・低床化のニーズが高まっているため、横型化への要求は強い。</ref>。そのため、フラットエンジンはクランクシャフトの逆側にシリンダーを増設した高出力版という位置づけで開発されていた。なお、気動車において横型が主流である理由は、レールと車体台枠の間の狭い空間にエンジンを収めなければならないこと、縦型では上向きにシリンダーヘッドが位置し、客室床面にメンテナンスホールを設けなければならないため防音上不利であることの2つである。ともにフラットエンジンであれば問題はない。
 
国鉄で初めての[[特急形車両|特急形]]気動車[[国鉄キハ80系気動車|キハ80系]]には、当時の標準エンジンだった[[DMH17系エンジン|DMH17H]]([[直列8気筒]]、[[燃焼室#副室式|予燃焼室式]]、180馬力)が1両に最大2基搭載された<ref>当初は新開発の[[DMF31系エンジン|DMF31HS]](直列6気筒横型)搭載が目論まれていたが、不具合が多く解決まで時間がかかるとして変更された。</ref>。この構成では最大でも1両あたり360馬力にとどまり、特急用としては力不足であった。そこで新型気動車の試作開発時に、500馬力のターボ付き30リットル180°V型12気筒のフラットエンジン[[DML30系エンジン|DML30HSA]]が開発され、[[国鉄キハ90系気動車|キハ91形]]に初搭載された。[[直列6気筒]]の[[DMF15系エンジン|DMF15HZ]]<ref>同時期にDML30HS系の片バンク6気筒分をなくした直列6気筒の派生エンジンDMF15系が並行開発されており、キハ90形には300馬力のインタークーラーターボ仕様が搭載された。DMF15系は次世代特急形気動車用エンジンにはならなかったものの、車載[[発電機]]用や、デチューンされた上で[[国鉄キハ40系気動車 (2代)|キハ40系気動車]]の駆動用として車両に搭載される事となった。</ref>を2基搭載したキハ90形との比較試験の結果、DML30HSの1基搭載が有利であるとされ、その後の特急型・[[急行形車両|急行形]]気動車にはDML30HS系エンジンが搭載された。
 
[[国鉄分割民営化|国鉄民営化]]後になると、[[燃焼室#直接噴射式|直接噴射]]化し[[インタークーラー]]を装着したDML30HZ(660DML30HZ(660馬力)を搭載した[[国鉄キハ183系気動車|キハ183系]]を最後に、フラットエンジンの採用は打ち切られた。民営化前後からは小型軽量高出力の直列6気筒エンジン<ref>新しい直列6気筒エンジンは、特急形気動車では[[国鉄キハ185系気動車|キハ185系]]以降の新型車から採用。直接噴射式の[[インタークーラー]][[ターボチャージャー|ターボ]]付きで排気量11 - 15リットル級、330 - 460馬力程度で、1両あたり2基搭載した車両も多い。なお大柄な180°V型12気筒のDML30系エンジンでは、2基搭載はほぼ不可能である。</ref>が主流となっており、DML30系などの従来型エンジンから換装した車両も多い。
 
==== 日本国外 ====
205行目:
** [[国鉄キハ181系気動車|キハ181系]]
** [[国鉄キハ65形気動車|キハ65]]
** [[国鉄キヤ191系気動車|キヤ191系]] (架線・信号検測車)
** [[国鉄キハ66系気動車|キハ66・67系]] (リニューアル工事でDMF13HZAに換装)
** [[国鉄キハ183系気動車|キハ183系]] (ニセコエクスプレス・クリスタルエクスプレス・ノースレインボーエクスプレスを除く)
* 4ZG14型
** BDm2/4形 (スイス国鉄)
 
=== 航空用 ===
現代の小型飛行機が装備する航空用[[レシプロエンジン]]は、冷却特性の良さや振動の少なさから、ほとんどすべて空冷水平対向型である。エンジンのパーツナンバーには対向型 (Opposed) を表すO-が付く。飛行機の他に[[ロビンソン・ヘリコプター]]社製ピストンエンジンヘリコプターにも採用されている
飛行機の他に[[ロビンソン・ヘリコプター]]社製ピストンエンジンヘリコプターにも採用されている。
 
「空のF1」とも呼ばれる[[レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ]]では、全チームに同じ規格の空冷水平対向6気筒エンジンの使用が義務付けられている。
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== 脚注・出典 ==
{{Reflist}}
<references />
 
== 関連項目 ==