「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」の版間の差分

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|次作=[[男はつらいよ 寅次郎心の旅路]]
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『'''男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日'''』(おとこはつらいよ とらじろうサラダきねんび)は、[[1988年]][[12月24日]]に公開された[[日本映画]]。[[男はつらいよ|『男はつらいよ]]シリーズの40作目。上映時間は100分。観客動員は182万2000人<ref name=nb_960902>『[[日経ビジネス]]』1996年9月2日号、131頁。</ref>。[[配給収入]]は12億5000万円<ref>{{映連配給収入|1989}}</ref>(12億3000万円<ref name=nb_960902 />とも)。同時上映は、後にシリーズ化される『[[釣りバカ日誌]]』の第1作。
 
==作品概要==
*題名の由来は[[俵万智]]の歌集『[[サラダ記念日]]』から。寅次郎が[[早稲田大学]]で講義を受ける場面があるなど、歌集の世界を反映した内容となっている。俵の歌も随所に使われている。
*公開2年前に大河ドラマ『[[いのち (NHK大河ドラマ)|いのち]]』で女医役を演じ高い評価を得た三田佳子が再びマドンナの、本作でも女医役として出演した。また番組『いのち』でナレーションを務めた[[奈良岡朋子]]は、本作では三田佳子演じる真知子の役で出演している。
*早稲田大学での撮影では、実際の早大生がエキストラとして出演している。
*この作品から第45作まで御前様は座っているシーンが多く、最後のさくらと話をする座っているシーンしか出番がない。これは[[笠智衆]]が癌となったため出演シーンは笠の自宅で撮影していたからである{{要出典|date=2019年8月}}。
*上映中に元号が[[平成]]に変わったため、シリーズ中では[[昭和]]最後の作品ということになる。
*「本家とらや老舗」の屋号が「本家くるま菓子舗」(通称:くるまや)に変更し、店員として新しく関西出身の従業員・三平([[北山雅康]])が雇われた。
*後の『[[男はつらいよ 寅次郎紅の花]]』では満男と寅次郎の会話のやりとりで原田真知子のことが言及されている。
 
== あらすじ ==
冒頭、寅次郎はさくらへの便りの形で、「お前の息子に、決して伯父さんみたいな人間になるなと、朝晩言って聞かせてやれよ」と独白する。
 
初秋の信州は[[小諸市|小諸]]を訪れた寅次郎は、そこで一人暮らしの老婆(鈴木光枝)と知り合い、請われる形で老婆の家を訪れ、楽しい一晩を過ごした。そこへ未亡人翌朝、小諸病院の女医真知子(三田佳子)が老婆を迎えに来が、老婆は病院でなく、家で死にたいとう。しかし寅次郎院まで付き添うと言ったで、老婆を励まも何とか納得して、わが家の別れを惜しみつつ、入院させ事に成功したそんないきさつから真知子とすっかり仲良くなった寅次郎は家<ref>一戸建ての一部を間借りしている下宿のような形態である。</ref>に招かれ、真知子が未亡人ということもあって、またしても恋の虜になったのであった。そこへ、東京から真知子の姪の由紀(三田寛子)が訪ねてくる。由紀の趣味である短歌などの話題で盛り上がるが、真知子は亡き最愛の夫の影を寅次郎に感じていた。「ため息をどうするわけでもないけれど少し厚めにハム切ってみる」。
 
柴又に帰った寅次郎は、由紀が通う早稲田大学へ出かける。ひょんなことから講義を受ける事になるが、ワットに始まる産業革命を語る教授に対しておかしな質問をして講義を滅茶苦茶にしてしまい、ついには自分で、興味を持った学生たちを前に、友人の「ワットくん」(第20作『[[男はつらいよ 寅次郎頑張れ!]]』で[[中村雅俊]]が演じた青年)<ref name="注" group="注">第20作では長崎県出身という設定だったが、今作では宮城県出身と言及されている。</ref>のガス自殺未遂の話などおかしな講義を行ってしまう。「寅さんが早稲田の杜にあらわれてやさしくなった午後の教室」。
 
真知子は、母親(奈良岡朋子)に預けた息子に会いに東京に来るが、このまま女の幸せを犠牲にして小諸で働き続けることに疑問を感じ始めていた。そんな時、由紀に大学に来た寅次郎の話を聞いて電話番号を調べてもらい、柴又に家族揃って遊びに行く。若者たちが江戸川堤で遊ぶ中、真知子はくるまやの茶の間で寅次郎たちと思い出話に浸り、小諸の老婆とその夫の最後まで心の通い合った関係を寅次郎に聞いて、亡き愛する夫に対するもどかしさを語る。そして、柴又駅での別れ際、寅次郎に「寅さんと話してるとね、私が一人の女だということを思い出すの」と告げる。寅次郎はそんな真知子の言葉に、何も返答することができない。「愛ひとつ受けとめかねて帰る道長針短針重なる時刻」。
 
しばらくすると、小諸の老婆が危篤だという連絡が真知子から入る。寅次郎は由紀と、寅次郎がきっかけで由紀のボーイフレンドになった茂(尾美としのり)の車で急いで小諸へ向かうが、一足遅く老婆は亡くなってしまっていた。家で最期を迎えたいと望んでいた老婆の思いに応えることができなかったということを含め、現状の自分に悩む真知子は、寅次郎の胸で肩に顔を当てて泣く。しかし、相変わらず寅次郎は受け止めてやれない。真知子を支えられる男性として、「筋道を立てて」一緒に「考えてくれる」人の存在が必要だと感じ、自分にはその役割はできないと感じたのだった。<ref>これより前、寅次郎は満男の「何のために勉強するのかな」という問いに、「人間長い間生きてりゃいろんなことにぶつかるだろ。そんなときに俺みたいに勉強してない奴は、振ったサイコロで出た目で決めるとか、その時の気分で決めるよりしょうがない。ところが勉強した奴は、自分の頭できちんと筋道を立てて考えることができるんだ」と答えている。</ref>寅次郎は真知子の帰宅前に小諸から去ることにする。それを知った由紀が、「叔母ちゃまを好きなのね」と呟く。すると寅は由紀が作ったばかりのサラダを一口食べて、「うん、いい味だ」とだけ答える。「寅さんが『この味いいね』と言ったから師走六日はサラダ記念日」。
 
寅次郎は松本、そしてさらには九州へと旅立って行った。真知子からくるまやに電話が来て、寅次郎が去ったことを告げるが、くるまやの人たちはみな誰も寅次郎のことを馬鹿にすることなく、思いやる。「旅立ってゆくのはいつも男にてカッコよすぎる背中見ている」。
 
さくらと博は、由紀の短歌がとてもいいから、『サラダ記念日』として出版して大もうけできるかもと笑い合うのであった。
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*靴泥棒:[[笹野高史]]
*ポンシュウ:[[関敬六]]
*くるまの店員:[[北山雅康]]
 
==ロケ地==