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アルカリ土類金属の由来や性質について
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'''第2族元素'''(だいにぞくげんそ)は、[[周期表]]の第2族に属する[[典型元素]]で[[sブロック元素]]である。[[ベリリウム]]・[[マグネシウム]]・[[カルシウム]]・[[ストロンチウム]]・[[バリウム]]・[[ラジウム]]が分類される。また、これらは'''アルカリ土類金属'''(アルカリどるいきんぞく、{{lang-en-short|alkaline earth metal}})と呼ばれる。一般的にベリリウム・マグネシウムは共有結合性を持ち(すなわち非金属性・半金属性の寄与がある)、ほか4元素と異なる性質を示すため、アルカリ土類金属に含まれないことが多い<ref>[http://www.chemistry.or.jp/news/press/1-1.html 高等学校化学で用いる用語に関する提案(1)](日本化学会、2015年3月17日更新版)。<br>[http://www.chemistry.or.jp/news/information/1-2.html 高等学校化学で用いる用語に関する提案(1)への反応](日本化学会、2018年1月25日更新版)。</ref>。広義には第2族元素とアルカリ土類金属とは言いえて使用される。ラジウムは放射性元素であるため、ほかの元素に比べ化学的性質が分かっていない。
 
== アルカリ土類金属 ==
[[ドミトリ・メンデレーエフ]]が[[周期表]]を提唱する以前より[[カルシウム]]、[[ストロンチウム]]、[[バリウム]]の元素群は化学反応性の類似性により[[ヨハン・デーベライナー]]の提唱による「[[三つ組元素]]({{lang-en-short|triads}})」のひとつとして知られていた。[[周期表]]自体は[[電子構造]]に基づく分類であるが、その分類は化学的性質の共通性もあるため、[[アルカリ金属]]、[[カルコゲン]]、[[ハロゲン]]など化学的性質による元素区分が周期表の族名の別名のようにも使用されてきた。
 
たとえば、[[ベリリウム]]、[[マグネシウム]]の酸化物はアルカリ土類金属の酸化物のような強いアルカリ性を示さない(下記の[[#性質|性質]]で詳しく述べる)。「アルカリ土類金属」と呼ぶ場合の多くはその元素・イオンの化学的性質に着目して使用されるのでため、第2族元素の区分とアルカリ土類金属としての区分が合致しないことがある。
 
また、総論や教養としての基礎化学の分野では第2族元素とアルカリ土類金属との厳密な区分は必要ではないことと歴史的に周期表の族名の別名として利用されてきたのでため、第2族元素とアルカリ土類金属との違いは曖昧なまま言い換えられる場合も多い。
 
===土類の由来===
アルカリ土類金属は自然界に酸化物として多く存在しており、熱に強く水に溶けにくい性質(この性質を発見当時の化学者は土類({{Lang-en-short|earth}})と名付けていた)つ。これらの酸化物は長年元素だと考えられており、水に溶けることでアルカリ性を示すためアルカリ土類と呼ばれていた。1789年に[[ラボアジェ]]が書いた化学概説においてこれらは土類元素と表現されている。のちに金属の酸化物であることが分かり現在のようにアルカリ土類金属と呼ばれるようになった。
 
== 性質 ==
第2族元素は[[周期表]]において、左から2列目に位置する[[元素]]群で、[[価電子]]は[[最外殻]]のs軌道にある[[電子]]である。s軌道は2つの電子により満たされており、いずれの元素も2価の[[陽イオン]]になりやすく、通常+2の酸化数をつ。逆に1価の陽イオンはいずれも不安定であり、生成しても不均化により速やかに2価の陽イオンとなる。
{| class="wikitable"
!!![[ベリリウム]]<br />'''<sub>4</sub>Be'''!![[マグネシウム]]<br />'''<sub>12</sub>Mg'''!![[カルシウム]]<br />'''<sub>20</sub>Ca'''!![[ストロンチウム]]<br />'''<sub>38</sub>Sr'''!![[バリウム]]<br />'''<sub>56</sub>Ba'''!![[ラジウム]]<br />'''<sub>88</sub>Ra'''
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また、2族の元素は閉殻構造による遮蔽を受けない核電荷が同一周期の1族元素より大きいため、[[アルカリ金属]]よりも原子間の金属結合が強く、単体の融点・硬度が高い。
 
また、同じ理由により[[陽イオン]]は同周期の1族元素よりも[[イオン半径]]が小さい。それゆえ、2族元素塩の結晶格子は相対的に小さく、結合は強く結びついている。塩の水溶性に格子の解離エネルギーが与える影響は大きく、1族元素塩に比べ2族元素塩の溶解性が小さい理由のひとつになっている。2族元素の切断面はすべて銀白色の金属光沢をつが、周期が大きくなるほど[[原子半径]]が大きくなり[[s軌道]]電子の束縛は緩やかになるため金属性がより強くなる。
 
第2族元素の一部は[[炎色反応]]を示すものが存在する。
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|}
 
2族元素の中でも'''ベリリウム'''は化合物中において共有結合性が強く表れ、'''カルシウム'''以下の2族元素(アルカリ土類金属)とはいささか化学的性質が異なる。'''マグネシウム'''はベリリウムとアルカリ土類金属の中間的な性質を持ち、ひいては[[グリニャール試薬]]など[[有機金属試薬]]として有用な性質を有している。マグネシウムは海水中に多く含まれ、特にカルシウムなどアルカリ土類金属は鉱石などの主要成分のひとつとして地殻中に普遍的に見出される。
 
2族元素の[[酸化還元電位]]は相当低いため、還元力は強い。しかし、[[ベリリウム]]やマグネシウムの単体金属は強固な酸化皮膜で覆われ不動態を形成するため、強い還元作用が表面には現れにくい。マグネシウムは熱水とは反応し水酸化物を形成する。一方、それ以外の[[カルシウム]]、[[ストロンチウム]]、[[バリウム]]は[[水]]などの[[プロトン性溶媒]]と反応して、1族元素に次ぐ烈しさで反応し水素を発生する。そのため扱いが困難である。
 
== 水素化物 ==
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== ハロゲン化物 ==
フッ化ベリリウム'''BeF<sub>2</sub>'''を除いていずれの第2族元素フッ化物も[[水]] に難溶性の塩を形成する。しかし、右に挙げたもの以外の第2族元素ハロゲン化物はいずれも水に対する溶解性は大である。これらのハロゲン化物は共有結合である塩化ベリリウムを除き、イオン結晶を形成する。[[潮解性]]を示すものが多く、特に塩化カルシウム'''CaCl<sub>2</sub>'''は乾燥剤として利用される。
 
== 脚注 ==