「法と経済学」の版間の差分

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ただし、資源配分の効率化、最適化を目的関数とする経済学的アプローチは当然のことながら「[[社会的公正]]」の要素を考慮しないため{{efn|資源配分の最適化が経済「厚生」のみならず社会的「公正」につながるといった信仰に近い極端な考え方は除く。もっとも基本的には、談合や独占やパターナリスティックな介入による資源配分よりは市場を通じた資源配分のほうがいくぶん公正であろう。}}、正義の実現という価値判断も必要な法律においては、そのアプローチの限界をも十分に認識すべきであり、経済学的アプローチが普遍的に通用するものではない。たとえば、「パターナリスティックな介入による資源配分」であっても、社会保障の分野のように、そのこと自体が公平性の実現から期待される場合もあるからである。
 
また経済モデルのような高度に抽象的なモデルから得た解が現実社会の中でうまく働くとは限らないが、法と経済学は法という現実社会に密接に関わる分野について経済学を応用する学問分野であることから、つねに現実との対話が必要となる。とすると、現実の社会のなかでは何が経済的に合理的なのかという判断自体が経済学者の間で論争となることも多く、経済学の利用によって現実社会の中で一意に最適な解が得られるとは限らない。近年ではヤミ金問題に端を発した、消費者金融における上限金利の引き下げについて、[[池尾和人]]と[[大竹文雄]]との論争など経済学者の中でも意見が別れたことが注目された。池尾、大竹論争など。<ref>[http://www.nira.or.jp/past/newsj/casess/pdf/2007-11-AB-10.pdf 川本敏『消費者金融の上限金利等の引き下げ見直し -貸金業規制法等の改正の背景・決定過程・影響・評価-』]</ref>。
 
 
== 日本における法と経済学 ==