「密着結合」の版間の差分

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書誌情報
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==== 代謝 ====
[[クローディン]]は細胞内で合成された後、直接密着結合に輸送されるのではなく、一度細胞表面に輸送された後で密着結合に向かって移動し、クローディン同士の相互作用を介して密着結合に取り込まれる<ref>Mol Biol Cell. 2019 Jun 1;30(12):1406-1424. PMID 30943107</ref>。[[培養細胞]]におけるクローディン5の[[半減期]]は90分と非常に短い<ref>J Cell Biochem. 2012 Jul;113(7):2415-23. PMID 22389112</ref>。クローディン4の半減期は6時間でクローディン2の半減期は9時間である<ref>J Membr Biol. 2004 May 1;199(1):29-38. PMID 15366421</ref>。クローディンの密着結合への局在に脂質修飾である[[パルミトイル化]]が重要という意見もある<ref>J Biochem. 2018 Apr 1;163(4):265-272. PMID 29186552</ref>。
 
==== 立体構造 ====
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上皮におけるトリセルリンやアンギュリン・ファミリーの研究は数多く報告されたが[[血管]]内皮のトリセルリンやアンギュリン・ファミリーに関しては長い間報告がなかった。2013年に岩本、古瀬らによってはじめて報告された<ref>Cell Struct Funct. 2014;39(1):1-8. PMID 24212375</ref>。非神経組織として[[小腸]]、[[膵臓]]、大血管、[[肺]]、[[結腸]]、[[肝臓]]、[[腎臓]]の血管内皮ではアンギュリン・ファミリーやトリセルリンは認められなかった。上皮組織では認められた。脳に関しては[[大脳]]や[[小脳]]を含む脳実質ではLSRとトリセルリンがトリセルラーコンタクトに局在していた。脈絡叢と[[脳室周囲器官]](CVO)の血管内皮ではLSRとトリセルリンの発現は認められなかった。網膜内皮細胞にはLSRとトリセルリンがトリセルラーコンタクトに局在していた。また脳実質内ではILDR1とILDR2の発現は認められなかった。LSRは血管内皮では脳実質と網膜の血管内皮で特異的でありBBB成熟後に発現をしめす<ref>J Cell Biol. 2015 Mar 16;208(6):703-11. PMID 25753034</ref>。[[脳梗塞]]と[[多発性硬化症]]では[[血液脳関門]]のバリア機能が低下している<ref>Mol Biol Cell. 2017 Jul 15;28(15):2023-2034. PMID 28705832</ref>。多発性硬化症の動物モデルである[[実験的自己免疫性脳脊髄炎]](EAE)のマウスの炎症部位ではLSRの発現が低下しており、また[[脳梗塞]]の動物モデルである中大脳動脈閉塞(MCAO)のマウスの血管閉塞側でもLSRの発現が低下していた<ref>J Cell Biol. 2015 Mar 16;208(6):703-11. PMID 25753034</ref>。
 
LSRのSer288がリン酸化するとトリセルラーコンタクトに局在し、リン酸化しない場合は脂質代謝に関わると考えられている<ref>Genes Cells. 2014 Jul;19(7):565-81. PMID 24889144</ref>。またLSRの細胞質ドメインの脂質修飾である[[パルミトイル化]]と細胞外ドメインの作用がLSRの三細胞接着部位への局在に重要という報告もある<ref>J Biol Chem. 2020 Mar 27;295(13):4289-4302. PMID 32079676</ref>。LSR抗体である#1~25は[[卵巣腫瘍|卵巣上皮癌]]の治療薬となる可能性がある<ref>Cancer Res. 2018 Jan 15;78(2):516-527. PMID 29187404</ref>。
 
== 傍細胞経路 ==